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「……ねえ、レオニード様。これ、育ちすぎではありませんか?」
「……うむ。俺も、キャベツを見上げて会話したのは初めてだ」
グライフェン邸の裏庭。
そこには、私の身長を遥かに超える緑の壁――巨大化したキャベツ畑が広がっていた。
昨夜、レオニード様がくれた『地竜の肥料』と、私が『ミスリルの鍬』で耕した土壌の相乗効果である。
効果覿面(てきめん)すぎる。
トマトは赤ん坊の頭サイズになり、キュウリは棍棒のように太く、カボチャに至っては馬車くらいの大きさになっている。
「……これ、市場に出せるかしら?」
「切り売りすれば、いけるんじゃないか?」
「そうですね。『魔公爵印のジャンボ野菜』として売り出しましょう。キャッチコピーは『これを食えば筋肉がつく』で」
私が手帳にメモを取っていると、屋敷の方からギルバートが走ってきた。
珍しく慌てている。
「お、奥様! 大変でございます!」
「どうしたの? またトマトが爆発して種を飛ばしてきた?」
「いいえ! お客様です! 王都から!」
「王都?」
私は眉をひそめた。
ロベルト殿下からの手紙を燃やして数日。
もう次のアクションを起こしてきたのか?
「どなた?」
「リリィ嬢……いえ、リリィ様でございます」
その名前を聞いた瞬間、私はペンを止めた。
リリィ。
男爵令嬢であり、私の元婚約者を奪った張本人。
か弱く、愛らしく、守ってあげたくなるような(と殿下は言っていた)少女。
「……へえ」
私は口の端を吊り上げた。
「わざわざこんな辺境まで来るなんて、感心な行動力ね」
「ど、どうしましょうか? 追い返しますか?」
「まさか! せっかくの『労働力』……じゃなくて、お客様ですもの。丁重にお迎えしましょう」
私は泥だらけのエプロンをパンパンと払い、鍬を肩に担ぎ直した。
「レオニード様は、そのまま作業を続けていてください。私が対応してきます」
「え、俺も行こうか? リリィというと、あの……」
「大丈夫です。女同士の語らい(という名のマウント合戦)ですので、男性は引っ込んでいていただいた方が平和ですわ」
私はニッコリと笑い、屋敷の正面へと向かった。
◇
エントランス前には、ピンク色の可愛らしい馬車が停まっていた。
そこから降り立ったのは、フリルたっぷりのドレスに身を包んだリリィ嬢だ。
日傘を差し、ハンカチで鼻を押さえながら、周囲をキョロキョロと見回している。
「うわぁ……本当にボロボロのお屋敷。空気もなんだか土臭いし……」
彼女は独り言を言いつつ、勝ち誇ったような笑みを浮かべている。
「エーミール様、今頃きっと雑巾掛けでもさせられているのかしら。やつれた顔を見るのが楽しみだわ」
はい、完全に聞こえていますよ。
私は背後の巨大カボチャの陰から、ぬっと姿を現した。
「ごきげんよう、リリィ様。よくいらっしゃいました」
「ひゃっ!?」
リリィ嬢が飛び上がる。
「え、え、エーミール様!? びっくりさせないでくださいまし!」
「あら、ごめんなさい。あまりにも熱心に我が家の査定をしていらしたから」
私は鍬を杖代わりにして立った。
リリィ嬢は私を上から下までジロジロと見る。
泥のついた長靴、腕まくりしたシャツ、そして手には凶器(鍬)。
彼女の目が、「やっぱり落ちぶれた!」という喜びに輝くのが分かった。
「まぁ……エーミール様、そんな格好をして……。やはり噂通り、使用人のような扱いを受けていらっしゃるのですね? 可哀想に……」
彼女は同情するフリをして、口元を隠して笑っている。
「ロベルト様が心配しておられましたのよ。『あいつ、今頃泣いているんじゃないか』って。だから私が、様子を見てきてあげましたの」
「それはご親切に」
私は間髪入れずに言った。
「それで? 様子を見に来たということは、手伝ってくださるおつもりで?」
「は?」
リリィ嬢がキョトンとする。
私は畳み掛けた。
「見上げた心がけですわ! 王都からわざわざ、この辺境の開拓ボランティアに参加してくださるなんて!」
「え、いや、ボランティア……?」
「ちょうど人手が足りなかったのです。見てください、あの畑を」
私は背後の「野菜の森」を指差した。
リリィ嬢が振り返り、絶句する。
「な、なんですかアレ!? キャベツ!? 森じゃなくて!?」
「ええ、収穫期を迎えているのですが、大きすぎて人手が足りないのです。あなたのその若さと健康的な体、大歓迎ですわ!」
私は懐から、予備の軍手(縫製済み)を取り出し、リリィ嬢に押し付けた。
「さあ、着替える必要はありません。そのドレスの裾を少し結べば大丈夫です」
「ちょ、ちょっと待ってください! 私は手伝いに来たわけじゃ……!」
「遠慮なさらないで。ロベルト殿下の名代として、汗を流しに来てくださったのでしょう? 『愛する元婚約者のために』と」
「ち、違います! 私は、あなたが惨めな生活を送っているのを確認して、優越感に浸りに来ただけで……!」
おっと、本音が漏れましたね。
しかし、私は聞こえないフリをした。
「優越感? ああ、労働の後の達成感のことですね! 分かります、汗を流した後の麦茶は格別ですものね!」
「会話が噛み合わない!?」
リリィ嬢が後ずさる。
私はジリジリと距離を詰めた。
「さあ、まずはあの大根を引き抜く作業からです。簡単ですよ、腰を入れて、垂直に引っこ抜くだけ!」
「嫌ぁぁぁ! 泥が付くぅぅ!」
「泥は美容に良いのです。泥パックだと思って!」
私が彼女の手を掴もうとした、その時。
ドスッ、ドスッ、ドスッ。
地響きのような足音が近づいてきた。
「……エーミール。客人に、無理強いはいかんぞ」
低く、重厚な声。
リリィ嬢が動きを止めた。
「え……?」
振り返った先にいたのは、レオニード様だ。
ただし、今の彼は「正装」ではない。
タンクトップ一枚に、作業用ズボン。
全身には汗が滴り、泥で汚れている。
そして肩には、収穫したばかりの超巨大なキュウリ(長さ1メートル)を担いでいる。
逆光の中、その姿はまるで『獲物を仕留めて帰還した蛮族の王』。
圧倒的な雄(オス)のフェロモンが、津波のように押し寄せてくる。
「ひっ……!」
リリィ嬢が息を呑んだ。
「だ、誰……? あの、素敵な筋肉……じゃなくて、野性的な殿方は……?」
おや?
恐怖するかと思ったが、反応が違う。
リリィ嬢の頬が、ポッと赤らんでいる。
ロベルト殿下のような「見かけ倒しの王子」しか知らない彼女にとって、この「本物の肉体美」は刺激が強すぎたらしい。
「あれが、私の夫となるレオニード様ですわ」
私が紹介すると、リリィ嬢は目を丸くした。
「う、嘘……? あの方が、『氷の魔公爵』……? もっとガリガリで陰気な老人だと思っていましたのに……!」
彼女の視線が、レオニード様の大胸筋に釘付けになっている。
まずい。
新たなライバル出現か?
いや、レオニード様は私の「所有物件」だ。誰にも渡さない。
レオニード様は、リリィ嬢の前に立つと、不器用に頭を下げた。
「……遠路はるばる、よく来られた。……何ももてなせないが」
そう言って、肩に担いでいたキュウリを、ドサッと彼女の足元に置いた。
「……食うか?」
「…………」
リリィ嬢が、巨大なキュウリと、レオニード様の顔を交互に見る。
そして。
「い、いりませんわよおおおお!!」
彼女は金切り声を上げた。
「なんなのここ!? 野菜は化け物みたいだし、公爵様は半裸だし、エーミール様は鍬を持ってるし! 狂ってますわ!」
「失礼な。これは『ロハスなスローライフ』です」
「どこがスローよ! 情報の圧が強すぎるのよ!」
リリィ嬢は涙目になって、馬車へと駆け戻った。
「もう帰ります! 二度と来ません! ロベルト様には『あそこは魔窟でした』って報告しておきますから!」
「あら、残念。大根抜き大会、優勝候補だと思いましたのに」
「絶対やらないわよ! バーカ!」
捨て台詞を残し、ピンクの馬車は猛スピードで走り去っていった。
砂埃が舞う中、私とレオニード様は並んでそれを見送った。
「……行ってしまったな」
レオニード様が、少し寂しそうに(キュウリを見ながら)言う。
「せっかく一番太いキュウリを選んだんだが……嫌いだっただろうか」
「いいえ、レオニード様」
私は彼の泥だらけの腕に触れた。
「彼女には、まだ早すぎたのです。この『豊潤な大地の恵み』と『あなたの筋肉の美学』を理解するには」
「……そうか」
「でも、一つ収穫がありましたわ」
「収穫?」
「ええ。彼女、私の生活を見て『惨め』だとは言いませんでした」
ただ「狂っている」と言っただけだ。
それはつまり、私たちの生活が、彼女の想像の斜め上を行くほどエネルギーに満ちていたという証拠だ。
「さあ、邪魔者もいなくなりました。作業を再開しましょう」
私はニッと笑い、鍬を構えた。
「まだ収穫待ちのナスが、山の向こうで待っていますからね!」
「……ああ。俺の妻は、本当に働き者だな」
レオニード様が、優しく微笑む。
リリィ嬢の襲来は、私たちの農作業の良い休憩時間にしかならなかったようだ。
さあ、王都の報告が楽しみだ。
「エーミールは、半裸の野獣と巨大野菜に囲まれて暮らしています」
そんな報告を聞いて、ロベルト殿下がどんな顔をするか。
想像するだけで、ご飯が三杯はいけそうである。
「……うむ。俺も、キャベツを見上げて会話したのは初めてだ」
グライフェン邸の裏庭。
そこには、私の身長を遥かに超える緑の壁――巨大化したキャベツ畑が広がっていた。
昨夜、レオニード様がくれた『地竜の肥料』と、私が『ミスリルの鍬』で耕した土壌の相乗効果である。
効果覿面(てきめん)すぎる。
トマトは赤ん坊の頭サイズになり、キュウリは棍棒のように太く、カボチャに至っては馬車くらいの大きさになっている。
「……これ、市場に出せるかしら?」
「切り売りすれば、いけるんじゃないか?」
「そうですね。『魔公爵印のジャンボ野菜』として売り出しましょう。キャッチコピーは『これを食えば筋肉がつく』で」
私が手帳にメモを取っていると、屋敷の方からギルバートが走ってきた。
珍しく慌てている。
「お、奥様! 大変でございます!」
「どうしたの? またトマトが爆発して種を飛ばしてきた?」
「いいえ! お客様です! 王都から!」
「王都?」
私は眉をひそめた。
ロベルト殿下からの手紙を燃やして数日。
もう次のアクションを起こしてきたのか?
「どなた?」
「リリィ嬢……いえ、リリィ様でございます」
その名前を聞いた瞬間、私はペンを止めた。
リリィ。
男爵令嬢であり、私の元婚約者を奪った張本人。
か弱く、愛らしく、守ってあげたくなるような(と殿下は言っていた)少女。
「……へえ」
私は口の端を吊り上げた。
「わざわざこんな辺境まで来るなんて、感心な行動力ね」
「ど、どうしましょうか? 追い返しますか?」
「まさか! せっかくの『労働力』……じゃなくて、お客様ですもの。丁重にお迎えしましょう」
私は泥だらけのエプロンをパンパンと払い、鍬を肩に担ぎ直した。
「レオニード様は、そのまま作業を続けていてください。私が対応してきます」
「え、俺も行こうか? リリィというと、あの……」
「大丈夫です。女同士の語らい(という名のマウント合戦)ですので、男性は引っ込んでいていただいた方が平和ですわ」
私はニッコリと笑い、屋敷の正面へと向かった。
◇
エントランス前には、ピンク色の可愛らしい馬車が停まっていた。
そこから降り立ったのは、フリルたっぷりのドレスに身を包んだリリィ嬢だ。
日傘を差し、ハンカチで鼻を押さえながら、周囲をキョロキョロと見回している。
「うわぁ……本当にボロボロのお屋敷。空気もなんだか土臭いし……」
彼女は独り言を言いつつ、勝ち誇ったような笑みを浮かべている。
「エーミール様、今頃きっと雑巾掛けでもさせられているのかしら。やつれた顔を見るのが楽しみだわ」
はい、完全に聞こえていますよ。
私は背後の巨大カボチャの陰から、ぬっと姿を現した。
「ごきげんよう、リリィ様。よくいらっしゃいました」
「ひゃっ!?」
リリィ嬢が飛び上がる。
「え、え、エーミール様!? びっくりさせないでくださいまし!」
「あら、ごめんなさい。あまりにも熱心に我が家の査定をしていらしたから」
私は鍬を杖代わりにして立った。
リリィ嬢は私を上から下までジロジロと見る。
泥のついた長靴、腕まくりしたシャツ、そして手には凶器(鍬)。
彼女の目が、「やっぱり落ちぶれた!」という喜びに輝くのが分かった。
「まぁ……エーミール様、そんな格好をして……。やはり噂通り、使用人のような扱いを受けていらっしゃるのですね? 可哀想に……」
彼女は同情するフリをして、口元を隠して笑っている。
「ロベルト様が心配しておられましたのよ。『あいつ、今頃泣いているんじゃないか』って。だから私が、様子を見てきてあげましたの」
「それはご親切に」
私は間髪入れずに言った。
「それで? 様子を見に来たということは、手伝ってくださるおつもりで?」
「は?」
リリィ嬢がキョトンとする。
私は畳み掛けた。
「見上げた心がけですわ! 王都からわざわざ、この辺境の開拓ボランティアに参加してくださるなんて!」
「え、いや、ボランティア……?」
「ちょうど人手が足りなかったのです。見てください、あの畑を」
私は背後の「野菜の森」を指差した。
リリィ嬢が振り返り、絶句する。
「な、なんですかアレ!? キャベツ!? 森じゃなくて!?」
「ええ、収穫期を迎えているのですが、大きすぎて人手が足りないのです。あなたのその若さと健康的な体、大歓迎ですわ!」
私は懐から、予備の軍手(縫製済み)を取り出し、リリィ嬢に押し付けた。
「さあ、着替える必要はありません。そのドレスの裾を少し結べば大丈夫です」
「ちょ、ちょっと待ってください! 私は手伝いに来たわけじゃ……!」
「遠慮なさらないで。ロベルト殿下の名代として、汗を流しに来てくださったのでしょう? 『愛する元婚約者のために』と」
「ち、違います! 私は、あなたが惨めな生活を送っているのを確認して、優越感に浸りに来ただけで……!」
おっと、本音が漏れましたね。
しかし、私は聞こえないフリをした。
「優越感? ああ、労働の後の達成感のことですね! 分かります、汗を流した後の麦茶は格別ですものね!」
「会話が噛み合わない!?」
リリィ嬢が後ずさる。
私はジリジリと距離を詰めた。
「さあ、まずはあの大根を引き抜く作業からです。簡単ですよ、腰を入れて、垂直に引っこ抜くだけ!」
「嫌ぁぁぁ! 泥が付くぅぅ!」
「泥は美容に良いのです。泥パックだと思って!」
私が彼女の手を掴もうとした、その時。
ドスッ、ドスッ、ドスッ。
地響きのような足音が近づいてきた。
「……エーミール。客人に、無理強いはいかんぞ」
低く、重厚な声。
リリィ嬢が動きを止めた。
「え……?」
振り返った先にいたのは、レオニード様だ。
ただし、今の彼は「正装」ではない。
タンクトップ一枚に、作業用ズボン。
全身には汗が滴り、泥で汚れている。
そして肩には、収穫したばかりの超巨大なキュウリ(長さ1メートル)を担いでいる。
逆光の中、その姿はまるで『獲物を仕留めて帰還した蛮族の王』。
圧倒的な雄(オス)のフェロモンが、津波のように押し寄せてくる。
「ひっ……!」
リリィ嬢が息を呑んだ。
「だ、誰……? あの、素敵な筋肉……じゃなくて、野性的な殿方は……?」
おや?
恐怖するかと思ったが、反応が違う。
リリィ嬢の頬が、ポッと赤らんでいる。
ロベルト殿下のような「見かけ倒しの王子」しか知らない彼女にとって、この「本物の肉体美」は刺激が強すぎたらしい。
「あれが、私の夫となるレオニード様ですわ」
私が紹介すると、リリィ嬢は目を丸くした。
「う、嘘……? あの方が、『氷の魔公爵』……? もっとガリガリで陰気な老人だと思っていましたのに……!」
彼女の視線が、レオニード様の大胸筋に釘付けになっている。
まずい。
新たなライバル出現か?
いや、レオニード様は私の「所有物件」だ。誰にも渡さない。
レオニード様は、リリィ嬢の前に立つと、不器用に頭を下げた。
「……遠路はるばる、よく来られた。……何ももてなせないが」
そう言って、肩に担いでいたキュウリを、ドサッと彼女の足元に置いた。
「……食うか?」
「…………」
リリィ嬢が、巨大なキュウリと、レオニード様の顔を交互に見る。
そして。
「い、いりませんわよおおおお!!」
彼女は金切り声を上げた。
「なんなのここ!? 野菜は化け物みたいだし、公爵様は半裸だし、エーミール様は鍬を持ってるし! 狂ってますわ!」
「失礼な。これは『ロハスなスローライフ』です」
「どこがスローよ! 情報の圧が強すぎるのよ!」
リリィ嬢は涙目になって、馬車へと駆け戻った。
「もう帰ります! 二度と来ません! ロベルト様には『あそこは魔窟でした』って報告しておきますから!」
「あら、残念。大根抜き大会、優勝候補だと思いましたのに」
「絶対やらないわよ! バーカ!」
捨て台詞を残し、ピンクの馬車は猛スピードで走り去っていった。
砂埃が舞う中、私とレオニード様は並んでそれを見送った。
「……行ってしまったな」
レオニード様が、少し寂しそうに(キュウリを見ながら)言う。
「せっかく一番太いキュウリを選んだんだが……嫌いだっただろうか」
「いいえ、レオニード様」
私は彼の泥だらけの腕に触れた。
「彼女には、まだ早すぎたのです。この『豊潤な大地の恵み』と『あなたの筋肉の美学』を理解するには」
「……そうか」
「でも、一つ収穫がありましたわ」
「収穫?」
「ええ。彼女、私の生活を見て『惨め』だとは言いませんでした」
ただ「狂っている」と言っただけだ。
それはつまり、私たちの生活が、彼女の想像の斜め上を行くほどエネルギーに満ちていたという証拠だ。
「さあ、邪魔者もいなくなりました。作業を再開しましょう」
私はニッと笑い、鍬を構えた。
「まだ収穫待ちのナスが、山の向こうで待っていますからね!」
「……ああ。俺の妻は、本当に働き者だな」
レオニード様が、優しく微笑む。
リリィ嬢の襲来は、私たちの農作業の良い休憩時間にしかならなかったようだ。
さあ、王都の報告が楽しみだ。
「エーミールは、半裸の野獣と巨大野菜に囲まれて暮らしています」
そんな報告を聞いて、ロベルト殿下がどんな顔をするか。
想像するだけで、ご飯が三杯はいけそうである。
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