14 / 28
14
しおりを挟む
数日後、私たちは王都に到着した。
久しぶりに吸う王都の空気は、北の領地に比べてどこか埃っぽくてせわしない匂いがした。
「リーリア様、ご安心ください。私が、貴女様の半径三メートル以内にはいかなる不審な輩も近づけさせません」
王都の公爵邸へ向かう馬車の中、私の護衛騎士様は、鎧でも着ているかのようにガチガチに緊張していた。
そのあまりの硬直ぶりに、私は思わずくすりと笑ってしまう。
「ふふ、頼もしいですこと。では、わたくしの心の平穏は、団長にお任せいたしますわね」
「はっ! お任せください!」
この真面目すぎる騎士との道中は、思ったよりも退屈しなかった。
彼の朴念仁ぶりをからかうのが、最近の私のささやかな楽しみになっている。
そして、運命の建国記念式典、その初日の夜会。
煌びやかなシャンデリアが輝く、王宮の大広間。
私がアシュトン団長を伴ってその場に足を踏み入れた瞬間、あれほど賑やかだった会場が、水を打ったように静まり返った。
全ての視線が、値踏みするように、あるいは好奇に満ちた眼差しで、私に突き刺さる。
(まあ、皆様、お行儀が悪いですこと)
私は少しも臆することなく、背筋を伸ばし、完璧な淑女の笑みを浮かべてみせた。
隣で、アシュトン団長が全身から「触れる者は斬る」という凄まじい気迫を放っているのが、頼もしい。
会場の奥、玉座の前には、国王陛下と王妃殿下、そして、ジークフリード殿下と、その隣で寄り添うように立つエミリアさんの姿があった。
目が合ったジークフリード殿下が、気まずそうに視線を逸らす。
エミリアさんは私を睨みつけ、扇で強く顔を扇いでいた。
(さて、面倒なご挨拶は、さっさと済ませてしまいましょう)
国王陛下と王妃殿下への挨拶を恙無く終え、私たちは当たり障りのない会話を交わす。
その時だった。
一人の恰幅の良い紳士が、私たちの方へ近づいてきた。
隣国、ガルニア帝国の特命大使、ゲルハルト公爵だ。
彼は、気難しく、そして非常に愛国心の強い人物として知られている。
「これは、ジークフリード殿下。そして、こちらが新しいご婚約者のエミリア嬢ですかな」
「ええ、大使。私の愛する女性です」
ジークフリード殿下の紹介を受け、エミリアさんはこれ以上ないほど甘い笑顔で、カーテシーをした。
「エミリア・ローゼンと申しますわ、ゲルハルト大使。お噂はかねがね」
ここまでは良かった。
しかし、彼女は舞い上がってしまったのだろう。
余計な一言を付け加えてしまったのだ。
「大使の故郷、ガルニア帝国は、『黒狼の国』と呼ばれるほど、勇壮な黒狼を大切にされているとか。素敵ですわね! わたくし、黒くてふわふわしたものが大好きなんです! あの毛皮を纏えば、さぞ暖かいのでしょうね!」
その瞬間、場の空気が、急速に凍りついていくのが分かった。
アシュトン団長が、隣で息を呑む気配がする。
無理もない。
ガルニア帝国において、「黒狼」は神聖な生き物。国の象徴であり、民の魂そのものとされている。
それを「毛皮」などと表現するのは、相手の国の国旗を暖炉の薪にしたい、と言うのと同義の、最大の侮辱だった。
ゲルハルト大使の温和だった表情が、みるみるうちに能面のように無表情になる。
「……ほう。我が帝国の魂を……毛皮、と申されましたかな」
「え、ええ! だって、素敵ですもの!」
何も気づかないエミリアさんは、無邪気に微笑んでいる。
ジークフリード殿下の顔からは、さっと血の気が引いていた。
まずい。これは、ただの失言では済まない。国際問題に発展しかねない。
(……はぁ。面倒くさいこと、この上ないですわ)
私は、心の中で本日何度目かのため息をつくと、すっと一歩前に出た。
「ゲルハルト大使、大変ご無沙汰しております。クライネルト公爵家が長女、リーリアにございます」
私が完璧な礼と共にそう言うと、大使は少しだけ驚いた顔で私を見た。
「おお、これはリーリア嬢。息災であったか」
「はい、大使のおかげをもちまして。それより、先ほどのエミリア様のお言葉ですが、少し誤解があるようですわ」
私はエミリアさんの前に立つと、優雅に微笑んだ。
「エミリア様は、大使の故郷で『幸運の象徴』とされている、白い霊鳥『アルビナ』について、大変深い興味をお持ちなのです。その純白の羽は、決して狩ることなく、自然に抜け落ちたものだけを集めて、王家の婚礼の儀に使われるとか。その神聖な文化の素晴らしさを、わたくし、妃教育の折に学び、深く感銘を受けました」
私は、エミリアさんが言った「黒」を「白」に、「毛皮」を「羽」に、「黒狼」を「霊鳥アルビナ」に、瞬時にすり替えた。
そして、侮辱の言葉を相手国への敬意と賞賛の言葉へと、完璧に変換してみせたのだ。
ゲルハルト大使の険しい表情が、ゆっくりと和らいでいく。
「……ほう。白い霊鳥、アルビナのことをご存知であったか。さすがは、クライネルト公爵令嬢。妃教育でよく学ばれておられる」
「もったいないお言葉ですわ」
危機は、去った。
周囲で固まっていた貴族たちから、ほっとしたような小さなため息が漏れる。
ジークフリード殿下は、安堵の表情を浮かべると同時に、何とも言えない、屈辱と後悔が入り混じった顔で私を見ていた。
自分の手で切り捨てた女に、国を救われたのだ。その心境は複雑だろう。
当のエミリアさんはといえば、助けられたことにも気づかず(あるいは、認めたくなくて)、ただ唇を噛み締め、悔しそうに私を睨みつけているだけだった。
「はぁ……疲れましたわ」
一仕事終えた私は、そっとその場を離れ、アシュトン団長と共に、テラスへと向かった。
「……リーリア様。お見事でございました」
隣で、アシュトン団長が、心からの尊敬を込めた声で呟いた。
「別に、あの方を助けたわけではありませんわ。ただ、クライネルト家の、いえ、この国の恥になるのを、未然に防いだだけのこと。全く、面倒なことでしたわ」
そう言って夜風にあたる私の横顔を、アシュトン団長が熱の籠もった瞳で見つめていることに、私はまだ気づいていなかった。
久しぶりに吸う王都の空気は、北の領地に比べてどこか埃っぽくてせわしない匂いがした。
「リーリア様、ご安心ください。私が、貴女様の半径三メートル以内にはいかなる不審な輩も近づけさせません」
王都の公爵邸へ向かう馬車の中、私の護衛騎士様は、鎧でも着ているかのようにガチガチに緊張していた。
そのあまりの硬直ぶりに、私は思わずくすりと笑ってしまう。
「ふふ、頼もしいですこと。では、わたくしの心の平穏は、団長にお任せいたしますわね」
「はっ! お任せください!」
この真面目すぎる騎士との道中は、思ったよりも退屈しなかった。
彼の朴念仁ぶりをからかうのが、最近の私のささやかな楽しみになっている。
そして、運命の建国記念式典、その初日の夜会。
煌びやかなシャンデリアが輝く、王宮の大広間。
私がアシュトン団長を伴ってその場に足を踏み入れた瞬間、あれほど賑やかだった会場が、水を打ったように静まり返った。
全ての視線が、値踏みするように、あるいは好奇に満ちた眼差しで、私に突き刺さる。
(まあ、皆様、お行儀が悪いですこと)
私は少しも臆することなく、背筋を伸ばし、完璧な淑女の笑みを浮かべてみせた。
隣で、アシュトン団長が全身から「触れる者は斬る」という凄まじい気迫を放っているのが、頼もしい。
会場の奥、玉座の前には、国王陛下と王妃殿下、そして、ジークフリード殿下と、その隣で寄り添うように立つエミリアさんの姿があった。
目が合ったジークフリード殿下が、気まずそうに視線を逸らす。
エミリアさんは私を睨みつけ、扇で強く顔を扇いでいた。
(さて、面倒なご挨拶は、さっさと済ませてしまいましょう)
国王陛下と王妃殿下への挨拶を恙無く終え、私たちは当たり障りのない会話を交わす。
その時だった。
一人の恰幅の良い紳士が、私たちの方へ近づいてきた。
隣国、ガルニア帝国の特命大使、ゲルハルト公爵だ。
彼は、気難しく、そして非常に愛国心の強い人物として知られている。
「これは、ジークフリード殿下。そして、こちらが新しいご婚約者のエミリア嬢ですかな」
「ええ、大使。私の愛する女性です」
ジークフリード殿下の紹介を受け、エミリアさんはこれ以上ないほど甘い笑顔で、カーテシーをした。
「エミリア・ローゼンと申しますわ、ゲルハルト大使。お噂はかねがね」
ここまでは良かった。
しかし、彼女は舞い上がってしまったのだろう。
余計な一言を付け加えてしまったのだ。
「大使の故郷、ガルニア帝国は、『黒狼の国』と呼ばれるほど、勇壮な黒狼を大切にされているとか。素敵ですわね! わたくし、黒くてふわふわしたものが大好きなんです! あの毛皮を纏えば、さぞ暖かいのでしょうね!」
その瞬間、場の空気が、急速に凍りついていくのが分かった。
アシュトン団長が、隣で息を呑む気配がする。
無理もない。
ガルニア帝国において、「黒狼」は神聖な生き物。国の象徴であり、民の魂そのものとされている。
それを「毛皮」などと表現するのは、相手の国の国旗を暖炉の薪にしたい、と言うのと同義の、最大の侮辱だった。
ゲルハルト大使の温和だった表情が、みるみるうちに能面のように無表情になる。
「……ほう。我が帝国の魂を……毛皮、と申されましたかな」
「え、ええ! だって、素敵ですもの!」
何も気づかないエミリアさんは、無邪気に微笑んでいる。
ジークフリード殿下の顔からは、さっと血の気が引いていた。
まずい。これは、ただの失言では済まない。国際問題に発展しかねない。
(……はぁ。面倒くさいこと、この上ないですわ)
私は、心の中で本日何度目かのため息をつくと、すっと一歩前に出た。
「ゲルハルト大使、大変ご無沙汰しております。クライネルト公爵家が長女、リーリアにございます」
私が完璧な礼と共にそう言うと、大使は少しだけ驚いた顔で私を見た。
「おお、これはリーリア嬢。息災であったか」
「はい、大使のおかげをもちまして。それより、先ほどのエミリア様のお言葉ですが、少し誤解があるようですわ」
私はエミリアさんの前に立つと、優雅に微笑んだ。
「エミリア様は、大使の故郷で『幸運の象徴』とされている、白い霊鳥『アルビナ』について、大変深い興味をお持ちなのです。その純白の羽は、決して狩ることなく、自然に抜け落ちたものだけを集めて、王家の婚礼の儀に使われるとか。その神聖な文化の素晴らしさを、わたくし、妃教育の折に学び、深く感銘を受けました」
私は、エミリアさんが言った「黒」を「白」に、「毛皮」を「羽」に、「黒狼」を「霊鳥アルビナ」に、瞬時にすり替えた。
そして、侮辱の言葉を相手国への敬意と賞賛の言葉へと、完璧に変換してみせたのだ。
ゲルハルト大使の険しい表情が、ゆっくりと和らいでいく。
「……ほう。白い霊鳥、アルビナのことをご存知であったか。さすがは、クライネルト公爵令嬢。妃教育でよく学ばれておられる」
「もったいないお言葉ですわ」
危機は、去った。
周囲で固まっていた貴族たちから、ほっとしたような小さなため息が漏れる。
ジークフリード殿下は、安堵の表情を浮かべると同時に、何とも言えない、屈辱と後悔が入り混じった顔で私を見ていた。
自分の手で切り捨てた女に、国を救われたのだ。その心境は複雑だろう。
当のエミリアさんはといえば、助けられたことにも気づかず(あるいは、認めたくなくて)、ただ唇を噛み締め、悔しそうに私を睨みつけているだけだった。
「はぁ……疲れましたわ」
一仕事終えた私は、そっとその場を離れ、アシュトン団長と共に、テラスへと向かった。
「……リーリア様。お見事でございました」
隣で、アシュトン団長が、心からの尊敬を込めた声で呟いた。
「別に、あの方を助けたわけではありませんわ。ただ、クライネルト家の、いえ、この国の恥になるのを、未然に防いだだけのこと。全く、面倒なことでしたわ」
そう言って夜風にあたる私の横顔を、アシュトン団長が熱の籠もった瞳で見つめていることに、私はまだ気づいていなかった。
111
あなたにおすすめの小説
破滅確定の悪役令嬢ですが、魅惑の女王になりました。
専業プウタ
恋愛
中学2年の時、告白をクラスで馬鹿にされたことにより不登校になった橘茉莉花。そんな彼女を両親が心配し、高校からは海外で寮暮らしをしていた。日本の大学に進学する為に帰国したが、通学途中にトラックに轢かれてしまう。目覚めるとスグラ王国のルシア・ミエーダ侯爵令嬢に憑依していた。茉莉花はここが乙女ゲーム『誘惑の悪女』の世界で、自分が攻略対象たちを惑わす悪女ルシアだと気が付く。引きこもり時代に茉莉花はゲームをやり込み、中でも堂々としていて男を惑わす程の色気を持つルシアに憧れていた。海外生活で精神は鍛えられたが、男性不信はなおらなかった。それでも、神様が自分を憧れの悪役令嬢にしてくれたことに感謝し、必死に任務を遂行しようとする。
婚約破棄されたので隣国で働きます ~追放侯爵令嬢、才覚だけで王妃候補に成り上がる~
鷹 綾
恋愛
内容紹介
王宮改革は、英雄の一声では成し遂げられない。
王太子に招かれ、王宮顧問として改革に携わることになった
ルビー・エルヴェール。
彼女が選んだ道は、力で押し切る改革でも、敵を断罪する粛清でもなかった。
評価制度の刷新、情報公開、説明責任、緊急時の判断、責任の分配――
一つひとつの制度は正しくても、人の恐れや保身が、改革を歪めていく。
噂に揺れ、信頼が試され、
「正しさ」と「速さ」、
「個人の覚悟」と「組織の持続性」が、幾度も衝突する。
それでもルビーは、問い続ける。
――制度は、誰のためにあるのか。
――信頼とは、守るものか、耐えるものか。
――改革者は、いつ去るべきなのか。
やがて彼女は、自らが築いた制度が
自分なしでも動き始めたことを確かめ、静かに王宮を去る。
残されたのは、名前の残らない改革。
英雄のいない成功。
だが確かに「生き続ける仕組み」。
これは、
誰かが称えられるための物語ではない。
考えることを許し、責任を分かち合う――
その文化を残すための、40話の改革譚。
静かで、重く、そして誠実な
“大人のための王宮改革ファンタジー”。
竜帝に捨てられ病気で死んで転生したのに、生まれ変わっても竜帝に気に入られそうです
みゅー
恋愛
シーディは前世の記憶を持っていた。前世では奉公に出された家で竜帝に気に入られ寵姫となるが、竜帝は豪族と婚約すると噂され同時にシーディの部屋へ通うことが減っていった。そんな時に病気になり、シーディは後宮を出ると一人寂しく息を引き取った。
時は流れ、シーディはある村外れの貧しいながらも優しい両親の元に生まれ変わっていた。そんなある日村に竜帝が訪れ、竜帝に見つかるがシーディの生まれ変わりだと気づかれずにすむ。
数日後、運命の乙女を探すためにの同じ年、同じ日に生まれた数人の乙女たちが後宮に召集され、シーディも後宮に呼ばれてしまう。
自分が運命の乙女ではないとわかっているシーディは、とにかく何事もなく村へ帰ることだけを目標に過ごすが……。
はたして本当にシーディは運命の乙女ではないのか、今度の人生で幸せをつかむことができるのか。
短編:竜帝の花嫁 誰にも愛されずに死んだと思ってたのに、生まれ変わったら溺愛されてました
を長編にしたものです。
婚約破棄された人たらし悪役令嬢ですが、 最強で過保護な兄たちと義姉に溺愛されています
由香
ファンタジー
婚約破棄のその日、
悪役令嬢リリアーナは――弁明すら、しなかった。
王太子と“聖女”に断罪され、すべてを失った彼女。
だがその裏で、王国最強と名高い三人の兄と、
冷静沈着な義姉が、静かに動き始めていた。
再検証によって暴かれる“聖女の嘘”。
広場で語られる真実。
そして、無自覚に人を惹きつけてしまう
リリアーナの優しさが、次々と味方を増やしていく――。
これは、
悪役令嬢として断罪された少女が、
「誰かの物語の脇役」ではなく、
自分自身の人生を取り戻す物語。
過保護すぎる兄たちと義姉に溺愛されながら、
彼女は静かに、そして確実に幸せへ向かっていく。
旦那様、離婚しましょう ~私は冒険者になるのでご心配なくっ~
榎夜
恋愛
私と旦那様は白い結婚だ。体の関係どころか手を繋ぐ事もしたことがない。
ある日突然、旦那の子供を身籠ったという女性に離婚を要求された。
別に構いませんが......じゃあ、冒険者にでもなろうかしら?
ー全50話ー
記憶を無くした、悪役令嬢マリーの奇跡の愛
三色団子
恋愛
豪奢な天蓋付きベッドの中だった。薬品の匂いと、微かに薔薇の香りが混ざり合う、慣れない空間。
「……ここは?」
か細く漏れた声は、まるで他人のもののようだった。喉が渇いてたまらない。
顔を上げようとすると、ずきりとした痛みが後頭部を襲い、思わず呻く。その拍子に、自分の指先に視線が落ちた。驚くほどきめ細やかで、手入れの行き届いた指。まるで象牙細工のように完璧だが、酷く見覚えがない。
私は一体、誰なのだろう?
婚約破棄されたので、慰謝料で「国」を買うことにしました。~知識ゼロの私ですが、謎の魔導書(AI)に従ったら、いつの間にか王家のオーナーに~
ジョウジ
ファンタジー
「セレスティア、貴様との婚約を破棄する!」 卒業パーティーで王子に断罪された公爵令嬢セレスティア。
慰謝料も貰えず、腹いせに立ち寄った古道具屋のワゴンセール。 そこでたった銅貨数枚(100円)で買った「黒い手鏡(スマホ)」を起動した瞬間、運命が変わる。
『警告。3年後の国家破綻およびマスターの処刑確率は99.9%です』 「はあ!? 死ぬのは嫌! それに、戦争が起きたら推し(アルド様)が死んじゃうじゃない!」
知識ゼロ、あるのは魔力と行動力、そして推しへの愛だけ。 パニックになった彼女は、スマホに宿るAI(ジェミニ)の極悪な経済作戦を、自分に都合よく「超訳」して実行に移す。
「敵対的買収……? 要するに、お店の借金を肩代わりして『オーナー』になれば、商品は全部タダ(私のもの)ってことね!?」
これは、内心ガクブルの悪役令嬢が、AIの指示を「素敵なお買い物」と勘違いしたまま国を経済支配し、 結果的に「慈悲深い聖女」「経営の天才」と崇められていく、痛快・勘違い無双コメディ!
※全10話の短期集中連載です。お正月のお供にどうぞ!
※テンポを重視してダイジェスト10話版となります。反響があれば長編の執筆を開始します!
※本作は、物語の構想・執筆補助にAI技術を活用し制作されました。
※小説家になろう・カクヨムにも投稿
枯れ専令嬢、喜び勇んで老紳士に後妻として嫁いだら、待っていたのは二十歳の青年でした。なんでだ~⁉
狭山ひびき
恋愛
ある日、イアナ・アントネッラは父親に言われた。
「来月、フェルナンド・ステファーニ公爵に嫁いでもらう」と。
フェルナンド・ステファーニ公爵は御年六十二歳。息子が一人いるが三十年ほど前に妻を亡くしてからは独り身だ。
対してイアナは二十歳。さすがに年齢が離れすぎているが、父はもっともらしい顔で続けた。
「ジョルジアナが慰謝料を請求された。ステファーニ公爵に嫁げば支度金としてまとまった金が入る。これは当主である私の決定だ」
聞けば、妹のジョルジアナは既婚者と不倫して相手の妻から巨額の慰謝料を請求されたらしい。
「お前のような年頃の娘らしくない人間にはちょうどいい縁談だろう。向こうはどうやらステファーニ公爵の介護要員が欲しいようだからな。お前にはぴったりだ」
そう言って父はステファーニ公爵の肖像画を差し出した。この縁談は公爵自身ではなく息子が持ちかけてきたものらしい。
イオナはその肖像画を見た瞬間、ぴしゃーんと雷に打たれたような衝撃を受けた。
ロマンスグレーの老紳士。なんて素敵なのかしら‼
そう、前世で六十歳まで生きたイオナにとって、若い男は眼中にない。イオナは枯れ専なのだ!
イオナは傷つくと思っていた両親たちの思惑とは裏腹に、喜び勇んでステファーニ公爵家に向かった。
しかし……。
「え? ロマンスグレーの紳士はどこ⁉」
そこでイオナを待ち受けていたのは、どこからどう見ても二十歳くらいにしか見えない年若い紳士だったのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる