3 / 40
3.焚火のほとり
しおりを挟む
あら?
──パチ、パチ。
乾いた音が夜の静寂を裂いて、耳の奥で小さく弾ける。
これは……木がはぜる音?
ゆっくりと、まぶたを持ち上げた。視界に飛び込んできたのは、揺らめく焚火の淡い橙。夜の帳に包まれた世界の中で、それだけが確かな光だった。
肌にじんわりと伝わってくる熱。
指先から少しずつ感覚が戻り、凍りついた身体がようやく現実に引き戻されていく。それでも、芯まで染み込んだ冷えは簡単には去ってくれなかった。
朦朧とする意識のまま、私は身体をゆっくりと起こす。その瞬間、低く、よく通る男の人の声が飛び込んできた。
「起きたか? 通りかかった俺がいなかったら、お前、今頃、狼の餌になってたぞ」
焚火の向こう側で木を組み直していた男の人が、こちらを見もせずに笑っている。その言葉に反応するように、遠くで狼の遠吠えが響いた。
夜を切り裂くような、鋭く長い鳴き声。
私は思わず肩をすくめ、薄く震える。
「狼の餌……」
でもーー。
「ふふ、お腹の空いた狼の餌になって神の御許へ還るのも、また運命だったのかもしれない。神は、きっと温かく迎えてくれるわ」
希望とも諦めともつかない想いが、冷たく澄んだ夜の空気にふわりと溶けていった。吐いた息は白く、言葉とともにそっと消えてゆく。
焚き火の橙色の光が、静かに頬を撫でた。けれどその明かりは暖かいというより、誰かの墓前にともる蝋燭のように、静かで、どこか寂しげだった。
そのとき、焚き火をじっと見つめていた男が、ふと手を止めた。眉をわずかにひそめ、戸惑いを隠せない表情でこちらを見る。
「神の御許? 聖職者か?」
私は、少しだけ視線を下げて頷いた。
「ええ。聖女です。『光耀の癒聖』と呼ばれていました」
「ふーん。聖女ってのは、そんなに神の御許へ急ぎたがるものなのか?」
男の人は冗談めかして笑った。けれど、その声の奥には小さな引っかかりがあった。きっと気づいてしまったのだろう。私が、本気で言っていることに。
「……ええと。違うと思いますわ。でも――運命に逆らってはいけない、と」
焚き火の揺らぐ炎が、彼の頬に柔らかな影を落とす。
「教えてほしいことがあるのです。あなたは……どうして、生きているのですか? 生きるというのは、寂しく辛く……ありませんか?」
男は怪訝そうに目を細め、少し考え込んだ。
「は? どうして生きているか? 考えたこともなかったな……朝起きたら、生きてた。だから生きてるんだろうな」
彼の声は穏やかだった。日常の延長のように淡々としていたけれど、その言葉には、奇妙な重みがあった。
それでも、私は尋ねずにはいられなかった。
「……仕方なく、生きておられるのですか?」
自分の声が、遠くで響いているようだった。どこか他人事のようで、それでも心の奥のどこかに微かに滲む痛み。私はこの数日で、「生きる」ということに疑問を持ってしまったのかもしれない。
男の人は少し呆れたように頭をかき、焚火にくべた木の枝をひとつ動かす。
その仕草は何気ないのに、不思議と目を引いた。
粗末な旅装のはずなのに、指先の動きや背筋の伸ばし方には、どこか育ちの良さを感じさせた。声は素朴でも、言葉の選び方や間合いには、ささやかな品が滲んでいた。
焚火の光が彼の横顔を照らすたび、ふとした瞬間にそれが浮かび上がる。
長く旅に生きながら、もともとの身分や教養を、どこかに置き忘れていないような――そんな雰囲気。
「なんだ。聖女のくせに、悲観的だな。生きていたくない理由でもあるのか?」
私は答えられなかった。視線を足元へ落とし、唇をゆっくりと開いた。
「理由……強いて言うなら、靴が、ないのです。こんな足では、どこにも行けません。このまま、ここで朽ちて……神のもとへ――」
足元には、赤黒く汚れた裸足。傷は治したが、乾いた土と血と草が、足にこびりついている。もう、立ち上がる力は残っていなかった。
「おいおい、話が飛びすぎだろ。命を捨てるほどのことじゃない」
焚火のぱちぱちと弾ける音に混ざって届いた彼の声は、少し呆れたようでいて、それ以上に優しかった。深い夜に沈みかけた私の心を、そっと引き戻してくれるような響きだった。
彼は鞄をごそごそ探ると、一足の布靴を差し出した。
「履いてみろ。――よし、ぴったりだ。ほら、これで、どこへでも行けるだろ?」
古びた靴だった。けれど足を包み込む温もりは、不思議なほど柔らかく、安心感があった。
「……ありがとうございます。でも、私……」
何かを言いかけた私の言葉を、彼は軽く遮って、茶化すように笑った。
「今日死ぬ理由があっても、それは俺のために明日に延ばせ。靴のお礼、貰わないといけないからな」
冗談めかしたその言葉が、不思議と胸の奥にまっすぐ届いた。
その夜、私は靴を得て、火を分けてもらい――なにより、人の優しさに触れた。
彼は自分を「テオ」と名乗った。
小さな商会を営む行商人で、地方を巡っているのだという。
私が巡礼に出ていると話すと、荷物の担ぎ方、焚火の起こし方、野草の見分け方――旅に必要なことを、惜しみなく教えてくれた。
「……何も知らないんだな。よくそれで一人で巡礼なんか……」
「できることも、あります! ただ……旅が、少しだけ不慣れなだけで……」
この人も、私のことを「世間知らずの聖女様」と思ったかしら。
「何も知らないってことは、これからたくさん知れるってことだ。急ぐ旅でもなさそうだし、のんびり付き合ってやるよ」
「……どういう意味でしょうか?」
「巡礼について行ってやる。巡礼地の近くで仕入れたい品もあるしな」
「そんな……悪いです」
「いいんだよ。だいたい、聖女様に供がいないなんておかしいだろ? それに、聖女様を見捨てたらばちが当たりそうだ。靴のお礼も気長に待ってやるって」
そう言うと、彼は少しだけ真面目な声で言った。
「ということで、まず名前を教えてくれ」
名前。記憶の中の両親であろう二人が、馬車の中の私に向かって呼んでいた名前。
言ってもいいのかしら? でもーー
「……私の名前は、リイナです」
「リイナ? リイナか……。ああ、いい名前だ」
いい名前……ふふ、名前を呼ばれるって、なんだか恥ずかしい。
そんなふうに思いながら、その夜、私は安心して、焚火のそばで目を閉じた。
テオの隣で、誰かと一緒にいるという感覚を、胸に抱きながら。
──パチ、パチ。
乾いた音が夜の静寂を裂いて、耳の奥で小さく弾ける。
これは……木がはぜる音?
ゆっくりと、まぶたを持ち上げた。視界に飛び込んできたのは、揺らめく焚火の淡い橙。夜の帳に包まれた世界の中で、それだけが確かな光だった。
肌にじんわりと伝わってくる熱。
指先から少しずつ感覚が戻り、凍りついた身体がようやく現実に引き戻されていく。それでも、芯まで染み込んだ冷えは簡単には去ってくれなかった。
朦朧とする意識のまま、私は身体をゆっくりと起こす。その瞬間、低く、よく通る男の人の声が飛び込んできた。
「起きたか? 通りかかった俺がいなかったら、お前、今頃、狼の餌になってたぞ」
焚火の向こう側で木を組み直していた男の人が、こちらを見もせずに笑っている。その言葉に反応するように、遠くで狼の遠吠えが響いた。
夜を切り裂くような、鋭く長い鳴き声。
私は思わず肩をすくめ、薄く震える。
「狼の餌……」
でもーー。
「ふふ、お腹の空いた狼の餌になって神の御許へ還るのも、また運命だったのかもしれない。神は、きっと温かく迎えてくれるわ」
希望とも諦めともつかない想いが、冷たく澄んだ夜の空気にふわりと溶けていった。吐いた息は白く、言葉とともにそっと消えてゆく。
焚き火の橙色の光が、静かに頬を撫でた。けれどその明かりは暖かいというより、誰かの墓前にともる蝋燭のように、静かで、どこか寂しげだった。
そのとき、焚き火をじっと見つめていた男が、ふと手を止めた。眉をわずかにひそめ、戸惑いを隠せない表情でこちらを見る。
「神の御許? 聖職者か?」
私は、少しだけ視線を下げて頷いた。
「ええ。聖女です。『光耀の癒聖』と呼ばれていました」
「ふーん。聖女ってのは、そんなに神の御許へ急ぎたがるものなのか?」
男の人は冗談めかして笑った。けれど、その声の奥には小さな引っかかりがあった。きっと気づいてしまったのだろう。私が、本気で言っていることに。
「……ええと。違うと思いますわ。でも――運命に逆らってはいけない、と」
焚き火の揺らぐ炎が、彼の頬に柔らかな影を落とす。
「教えてほしいことがあるのです。あなたは……どうして、生きているのですか? 生きるというのは、寂しく辛く……ありませんか?」
男は怪訝そうに目を細め、少し考え込んだ。
「は? どうして生きているか? 考えたこともなかったな……朝起きたら、生きてた。だから生きてるんだろうな」
彼の声は穏やかだった。日常の延長のように淡々としていたけれど、その言葉には、奇妙な重みがあった。
それでも、私は尋ねずにはいられなかった。
「……仕方なく、生きておられるのですか?」
自分の声が、遠くで響いているようだった。どこか他人事のようで、それでも心の奥のどこかに微かに滲む痛み。私はこの数日で、「生きる」ということに疑問を持ってしまったのかもしれない。
男の人は少し呆れたように頭をかき、焚火にくべた木の枝をひとつ動かす。
その仕草は何気ないのに、不思議と目を引いた。
粗末な旅装のはずなのに、指先の動きや背筋の伸ばし方には、どこか育ちの良さを感じさせた。声は素朴でも、言葉の選び方や間合いには、ささやかな品が滲んでいた。
焚火の光が彼の横顔を照らすたび、ふとした瞬間にそれが浮かび上がる。
長く旅に生きながら、もともとの身分や教養を、どこかに置き忘れていないような――そんな雰囲気。
「なんだ。聖女のくせに、悲観的だな。生きていたくない理由でもあるのか?」
私は答えられなかった。視線を足元へ落とし、唇をゆっくりと開いた。
「理由……強いて言うなら、靴が、ないのです。こんな足では、どこにも行けません。このまま、ここで朽ちて……神のもとへ――」
足元には、赤黒く汚れた裸足。傷は治したが、乾いた土と血と草が、足にこびりついている。もう、立ち上がる力は残っていなかった。
「おいおい、話が飛びすぎだろ。命を捨てるほどのことじゃない」
焚火のぱちぱちと弾ける音に混ざって届いた彼の声は、少し呆れたようでいて、それ以上に優しかった。深い夜に沈みかけた私の心を、そっと引き戻してくれるような響きだった。
彼は鞄をごそごそ探ると、一足の布靴を差し出した。
「履いてみろ。――よし、ぴったりだ。ほら、これで、どこへでも行けるだろ?」
古びた靴だった。けれど足を包み込む温もりは、不思議なほど柔らかく、安心感があった。
「……ありがとうございます。でも、私……」
何かを言いかけた私の言葉を、彼は軽く遮って、茶化すように笑った。
「今日死ぬ理由があっても、それは俺のために明日に延ばせ。靴のお礼、貰わないといけないからな」
冗談めかしたその言葉が、不思議と胸の奥にまっすぐ届いた。
その夜、私は靴を得て、火を分けてもらい――なにより、人の優しさに触れた。
彼は自分を「テオ」と名乗った。
小さな商会を営む行商人で、地方を巡っているのだという。
私が巡礼に出ていると話すと、荷物の担ぎ方、焚火の起こし方、野草の見分け方――旅に必要なことを、惜しみなく教えてくれた。
「……何も知らないんだな。よくそれで一人で巡礼なんか……」
「できることも、あります! ただ……旅が、少しだけ不慣れなだけで……」
この人も、私のことを「世間知らずの聖女様」と思ったかしら。
「何も知らないってことは、これからたくさん知れるってことだ。急ぐ旅でもなさそうだし、のんびり付き合ってやるよ」
「……どういう意味でしょうか?」
「巡礼について行ってやる。巡礼地の近くで仕入れたい品もあるしな」
「そんな……悪いです」
「いいんだよ。だいたい、聖女様に供がいないなんておかしいだろ? それに、聖女様を見捨てたらばちが当たりそうだ。靴のお礼も気長に待ってやるって」
そう言うと、彼は少しだけ真面目な声で言った。
「ということで、まず名前を教えてくれ」
名前。記憶の中の両親であろう二人が、馬車の中の私に向かって呼んでいた名前。
言ってもいいのかしら? でもーー
「……私の名前は、リイナです」
「リイナ? リイナか……。ああ、いい名前だ」
いい名前……ふふ、名前を呼ばれるって、なんだか恥ずかしい。
そんなふうに思いながら、その夜、私は安心して、焚火のそばで目を閉じた。
テオの隣で、誰かと一緒にいるという感覚を、胸に抱きながら。
544
あなたにおすすめの小説
【完結】聖女になり損なった刺繍令嬢は逃亡先で幸福を知る。
みやこ嬢
恋愛
「ルーナ嬢、神聖なる聖女選定の場で不正を働くとは何事だ!」
魔法国アルケイミアでは魔力の多い貴族令嬢の中から聖女を選出し、王子の妃とするという古くからの習わしがある。
ところが、最終試験まで残ったクレモント侯爵家令嬢ルーナは不正を疑われて聖女候補から外されてしまう。聖女になり損なった失意のルーナは義兄から襲われたり高齢宰相の後妻に差し出されそうになるが、身を守るために侍女ティカと共に逃げ出した。
あてのない旅に出たルーナは、身を寄せた隣国シュベルトの街で運命的な出会いをする。
【2024年3月16日完結、全58話】
『悪役令嬢は、二度目の人生で無言を貫く。~処刑回避のために黙っていただけなのに、なぜか冷徹宰相様から「君こそ運命の人だ」と溺愛さています~』
放浪人
恋愛
「もう、余計なことは喋りません(処刑されたくないので!)」
王太子の婚約者エリスは、無実の罪を着せられた際、必死に弁解しようと叫び散らした結果「見苦しい」と断罪され、処刑されてしまった。 死に戻った彼女は悟る。「口は災いの元。二度目の人生は、何があっても口を閉ざして生き延びよう」と。
しかし、断罪の場で恐怖のあまり沈黙を貫いた結果、その姿は「弁解せず耐え忍ぶ高潔な令嬢」として称賛されてしまう。 さらに、人間嫌いの冷徹宰相クラウスに「私の静寂を理解する唯一の女性」と盛大な勘違いをされ、求婚されてしまい……!?
「君の沈黙は、愛の肯定だね?」(違います、怖くて固まっているだけです!) 「この国の危機を、一目で見抜くとは」(ただ臭かったから鼻を押さえただけです!)
怯えて黙っているだけの元悪役令嬢と、彼女の沈黙を「深遠な知性」と解釈して溺愛する最強宰相。 転生ヒロインの妨害も、隣国の陰謀も、全て「無言」で解決(?)していく、すれ違いロマンティック・コメディ! 最後はちゃんと言葉で愛を伝えて、最高のハッピーエンドを迎えます。
白い結婚の末、離婚を選んだ公爵夫人は二度と戻らない』
鍛高譚
恋愛
白い結婚の末、「白い結婚」の末、私は冷遇され、夫は愛人を溺愛していた――ならば、もう要らないわ」
公爵令嬢 ジェニファー・ランカスター は、王弟 エドワード・クラレンス公爵 のもとへ政略結婚として嫁ぐ。
だが、その結婚生活は冷たく空虚なものだった。夫は愛人 ローザ・フィッツジェラルド に夢中になり、公爵夫人であるジェニファーは侮辱され、無視され続ける日々。
――それでも、貴族の娘は耐えなければならないの?
何の愛もなく、ただ飾り物として扱われる結婚に見切りをつけたジェニファーは 「離婚」 を決意する。
しかし、王弟であるエドワードとの離婚は容易ではない。実家のランカスター家は猛反対し、王宮の重臣たちも彼女の決断を 「公爵家の恥」 と揶揄する。
それでも、ジェニファーは負けない。弁護士と協力し、着々と準備を進めていく。
そんな折、彼女は北方の大国 ヴォルフ公国の大公、アレクサンダー・ヴォルフ と出会う。
温かく誠実な彼との交流を通じて、ジェニファーは 「本当に大切にされること」 を知る。
そして、彼女の決断は、王都の社交界に大きな波紋を呼ぶこととなる――。
「公爵夫人を手放したことを、いつか後悔しても遅いわ」
「私はもう、あなたたちの飾り人形じゃない」
離婚を巡る策略、愛人の凋落、元夫の後悔――。
そして、新たな地で手にした 「愛される結婚」。
【完結】キズモノになった私と婚約破棄ですか?別に構いませんがあなたが大丈夫ですか?
なか
恋愛
「キズモノのお前とは婚約破棄する」
顔にできた顔の傷も治らぬうちに第二王子のアルベルト様にそう宣告される
大きな傷跡は残るだろう
キズモノのとなった私はもう要らないようだ
そして彼が持ち出した条件は婚約破棄しても身体を寄越せと下卑た笑いで告げるのだ
そんな彼を殴りつけたのはとある人物だった
このキズの謎を知ったとき
アルベルト王子は永遠に後悔する事となる
永遠の後悔と
永遠の愛が生まれた日の物語
私が行方不明の皇女です~生死を彷徨って帰国したら信じていた初恋の従者は婚約していました~
marumi
恋愛
「あら アルヴェイン公爵がドゥーカス令嬢をエスコートされていますわ」
「ご婚約されたと噂を聞きましたが、まさか本当だとは!」
私は五年前までこの国の皇女エリシアだった。
暗殺事件に巻き込まれ、幼なじみで初恋の相手だった従者――アルヴェイン公子と共に命からがら隣国、エルダールへ亡命した。
彼の「必ず迎えに来る」その言葉を信じて、隣国の地で彼を待ち続けた……。
それなのに……。
やっとの思いで帰国した帝国の華やかなパーティー会場で、一際目立っているのは、彼と、社交界の華と言われる令嬢だった――。
※校正にAIを使用していますが、自身で考案したオリジナル小説です。
※イメージが伝わればと思い、表紙画像をAI生成してみました。
結婚後、訳もわからないまま閉じ込められていました。
しゃーりん
恋愛
結婚して二年、別邸に閉じ込められていたハリエット。
友人の助けにより外に出ることができ、久しぶりに見た夫アルバートは騎士に連行されるところだった。
『お前のせいだ!』と言われても訳がわからなかった。
取り調べにより判明したのは、ハリエットには恋人がいるのだとアルバートが信じていたこと。
彼にその嘘を吹き込んだのは、二人いたというお話です。
【完結】離縁王妃アデリアは故郷で聖姫と崇められています ~冤罪で捨てられた王妃、地元に戻ったら領民に愛され「聖姫」と呼ばれていました~
猫燕
恋愛
「――そなたとの婚姻を破棄する。即刻、王宮を去れ」
王妃としての5年間、私はただ国を支えていただけだった。
王妃アデリアは、側妃ラウラの嘘と王の独断により、「毒を盛った」という冤罪で突然の離縁を言い渡された。「ただちに城を去れ」と宣告されたアデリアは静かに王宮を去り、生まれ故郷・ターヴァへと向かう。
しかし、領地の国境を越えた彼女を待っていたのは、驚くべき光景だった。
迎えに来たのは何百もの領民、兄、彼女の帰還に歓喜する侍女たち。
かつて王宮で軽んじられ続けたアデリアの政策は、故郷では“奇跡”として受け継がれ、領地を繁栄へ導いていたのだ。実際は薬学・医療・農政・内政の天才で、治癒魔法まで操る超有能王妃だった。
故郷の温かさに癒やされ、彼女の有能さが改めて証明されると、その評判は瞬く間に近隣諸国へ広がり──
“冷徹の皇帝”と恐れられる隣国の若き皇帝・カリオンが現れる。
皇帝は彼女の才覚と優しさに心を奪われ、「私はあなたを守りたい」と静かに誓う。
冷徹と恐れられる彼が、なぜかターヴァ領に何度も通うようになり――「君の価値を、誰よりも私が知っている」「アデリア・ターヴァ。君の全てを、私のものにしたい」
一方その頃――アデリアを失った王国は急速に荒れ、疫病、飢饉、魔物被害が連鎖し、内政は崩壊。国王はようやく“失ったものの価値”を理解し始めるが、もう遅い。
追放された王妃は、故郷で神と崇められ、最強の溺愛皇帝に娶られる!「あなたが望むなら、帝国も全部君のものだ」――これは、誰からも理解されなかった“本物の聖女”が、
ようやく正当に愛され、報われる物語。
※「小説家になろう」にも投稿しています
「地味で無能」と捨てられた令嬢は、冷酷な【年上イケオジ公爵】に嫁ぎました〜今更私の価値に気づいた元王太子が後悔で顔面蒼白になっても今更遅い
腐ったバナナ
恋愛
伯爵令嬢クラウディアは、婚約者のアルバート王太子と妹リリアンに「地味で無能」と断罪され、公衆の面前で婚約破棄される。
お飾りの厄介払いとして押し付けられた嫁ぎ先は、「氷壁公爵」と恐れられる年上の冷酷な辺境伯アレクシス・グレイヴナー公爵だった。
当初は冷徹だった公爵は、クラウディアの才能と、過去の傷を癒やす温もりに触れ、その愛を「二度と失わない」と固く誓う。
彼の愛は、包容力と同時に、狂気的な独占欲を伴った「大人の愛」へと昇華していく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる