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なごみ

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息子の冤罪

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午後から週3回のヘルパーさんが来てくれて、洗濯や簡単な掃除、それと買い物もして夕食を作ってくれる。


ヘルパーの来る日だけは、まともな食事が用意される。


焼き魚に煮物やおひたしなどは、いつも食べているコンビニの弁当にも、たまに入ってはいるけれど、手作りとはまるで違う。


夕方の5時も過ぎて、焼き魚や煮物のいい匂いがしてきた。


ピンポーン!  とブザーが鳴り、ヘルパーさんが料理の手を休めて、「はーい!」と言って玄関へ向かった。


ヘルパーはすぐに戻ってきて、


「あの、刑事さんが二人見えてるんですけど、息子さんの健太くんに会いたいんですって」


刑事が?   健太に何の用だろう?


嫌な胸騒ぎがしたけれど、断って済むものでもないだろう。


学校へ行かないのは何か警察沙汰になるような悪いことでもしていたからだろうか?


メモに「健太を呼んできて」と殴り書きしてヘルパーに見せた。


ドスンドスンと階段を降りてきた健太が、玄関で刑事になにか尋問を受けているようだ。


ここからは何も聞こえない。


貴之に連絡して早く帰ってもらったほうがいいだろうか。


枕元の携帯を取り、文字を入力していると、二人の刑事が健太と一緒に和室へ入ってきた。


「あ、お母さんですか?  ◯◯署の高木と山川と言うものです。ちょっと息子さんの健太くんにですね、確認しておきたいことがありましてね、署までご同行を願いに参りました」


 五十を過ぎた年配の刑事が、穏やかな口調で言った。


ちょっと待ってください!  今、主人に連絡を取ってます。


左手で書く文字は遅すぎてイライラする。


息子が一体何をしたと言うんです!


殴り書きしたメモを渡す。


「あの、お母さん。ショックだと思いますが、一応、逮捕状も出ています。ただ未成年ですのでね」


ーー逮捕状!!


「半年前にいとこの高橋和樹くんが自殺で亡くなってますよね。かなり不審な点が多い事件だったもんで、洗いなおしてましてね。なんでも、健太くんはそのラーメン屋でアルバイトをしていたと言うことですが、、、」


健太が、健太が逮捕!  


ーー和樹を殺した犯人!!






そんなバカなことって、、絶対に違う。


うちの子に限ってと母親なら誰でもそう思うのだろう。だけどそんな不確かなものではなく、健太ではない。


私はそれを知っている。なぜだかわからないけれど、絶対に健太が犯人などではない。


どんな証拠があって健太ということになったのだろう。


確かに健太は子どもの頃からいとこの和樹になついて、よく遊んでもらっていた。


友達の少ない人見知りの和樹も、人懐こい健太にだけはうち解けていた。


年が離れていても、ふたりは気が合ったのだろう。実の弟よりも和樹は健太とよく遊んでいたように思う。


だけど、和樹のラーメン屋を手伝っていたなんて、一度も聞いてなかった。


いつも、野球部の練習で遅くなっていたとばかり思っていたのに。





ベッドから車椅子に移動させてもらって、貴之の帰りを待った。


私のメールに驚いて、貴之が慌てて帰って来た。


「一体、どういうことだ!  あいつが和樹を殺したっていうのか?」


さすがの貴之もあまりの衝撃に、青ざめていた。


「まったく、この家はどうなってるんだよ!」


食卓テーブルの椅子に腰をおろし、貴之が頭を抱えた。


ヘルパーがせっかく美味しそうな料理を用意していってくれたけれど、とても夕食を食べられるような心境ではなかった。


どうしてわが家にだけ、こんなに不幸が押し寄せるのだろう。


食卓テーブルに伏せっていた貴之が顔をあげ、立ち上がった拍子に箸が床に転げ落ちた。


足元に1本だけ転がり落ちてきた箸を見て、衝撃が走る!


後頭部に箸が突き刺さった男が崩れるように倒れていく姿が目に浮かんだ。


ーー和樹!!


それは和樹だった。


私はその場にいて、和樹が倒れていくのをジッと見ていた。


ーーーは、犯人は、、、わ、わたし?






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