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転生、そしてもふもふとの出会い
しおりを挟む私は、ある日突然魔女アリアンヌとして乙女ゲームの世界に転生してしまった。
この世界において魔女は冷徹な存在として認識されており、強大な魔法という権能を持つことも相まって、人々の恐怖の象徴だった。
この乙女ゲームの世界には数多くの人種が存在するのだが、その中でも私が大好きだったのは獣人族。もふもふとした動物が元から好きだった私は、獣人という存在を知った瞬間から虜にされてしまっていたのだ。
もふもふ、それは私が心から愛してやまない魔法の言葉。動物たちと触れ合えば、もふもふとした体毛の柔らかさと温もりが、私の心を包み込んでくれる。その触れ心地は、穏やかな風に触れるようで、何よりも安心感をもたらしてくれる。
彼らのもふもふな耳、触れるたびにふわりと揺れるその様子は、まるで心の鼓動のように感じられる。そして、獣人たちの笑顔が優しさと愛情で満ち溢れていることを感じると、私の胸もふわりと軽くなるのだ。
もふもふのしっぽは、彼らの感情や気持ちを表す大切な一部。振り動かすたびに、その微細な動きが喜びや楽しさを物語ってくれる。彼らのしっぽの動きを見ていると、言葉以上に深いコミュニケーションが成り立っているような気がする。
乙女ゲームの獣人たちと過ごす時間は、私にとって本当に尊いものだった。もふもふの触れ心地や、彼らの愛らしい仕草は、私の孤独な心を癒してくれていたのだ。
そんな大好きな世界に転生したのだから、私は当然歓喜した。そして、すぐにでも獣人に会いに行こうと行動した。
しかし、私達魔女の冷酷な評判と、獣人たちからの畏怖の目が私と彼らの関係を阻んでいた。私は獣人たちが好意的に接してくれることは望むべくもなかった。恐れられる存在として、愛や信頼を得ることはできなかったのだ。
そんな私は、孤独と隔絶感の中で森にある屋敷に引きこもって生活していた。屋敷は優雅ながらも寂しい美しさを持っていた。ここで私は魔法の研究と読書に没頭し、獣人たちのことを想いながら静かな日々を過ごしていたのだ。
◇◇◇
過酷な風が森を吹き抜ける中、私は寂寞なる森の中を歩いていた。森の中でふと足を止めると、小さな犬が足元に座っていた。彼は傷だらけで、虚ろな目で私を見つめている。
彼の中にある強大な魔力と、獣人特有の闘気の残滓が見える。どうやら獣人たちから逃げてきたようだ。私は彼の様子を見て、同じ運命を共有しているのかもしれないと思った。
「大丈夫、怖くないよ。」
私はゆっくりと声をかけ、手を差し伸べた。しかし、彼の目には恐怖が宿り、彼は警戒心からか逃げるようにたじろいだ。その姿を見て、ズキッと心が少しだけ痛む。しかし私はめげすに食べ物を取り出し、それを彼の前に置いた。
すると犬は少しずつ近づき、警戒しながらも食べ物に口をつけた。
(かわいい……もふもふしてるなぁ)
私は彼をじっと見つめながら、彼に触れることを願った。少しずつ、彼の警戒心がほぐれていくのが感じられた。
「よかったら、うちに来ない?」
私は微笑みながら言った。そして、私は犬に名前をつけた。名前はロッキー。その名前は強さと忠誠心を表しているように思えた。
以後、私とロッキーは森で過ごす日々を送るようになった。私は魔法で彼の傷を癒し、彼との絆を深めていった。彼の存在が私の心に温かさをもたらしていることに気付いていた。
そして、ある日、私はまた森で新たなる存在に出会った。木陰で小さな猫が傷つきながらうずくまっているのが見えた。彼女の瞳には恐れが宿っており、どこか憔悴した様子だった。
「大丈夫だよ、怖くないよ。」
私はロッキーの時と同じように猫に声をかけながら、ゆっくりと手を差し伸べた。きっと、彼女も獣人たちから逃げてきたのだろうと思ったのだ。そして、食べ物を取り出し、それを彼女の前に置いた。
猫はしばらく警戒しながらも、食べ物の匂いに惹かれて近づいてきた。私は彼女の近くに座り、彼女と共に食事を摂りながら、静かな時間を過ごした。
「君も大変だったんだね。でも、これからは安心して過ごせる場所を私があげる」
私は猫に語りかけ、彼女に名前をつけた。名前はエリオット。その名前は知恵と勇気を象徴しているように思えた。
私の屋敷には、ロッキーとエリオットが新たなる風を持ち込んでくれた。私は彼らに愛情を注ぎ、傷ついた心を癒すように心がけた。そして、彼らとの日々が私の冷たく凍りついた心を温めていくのを感じていた。
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