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17 嫌われましたがアタックし続ける所存です
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「食堂には、城の最年少の子がいるんだよ。リヴと1番歳が近いことになるね。」
最年少ってどれぐらい小さいんだろう。
私、子供らしく振舞うなんてできませんよ?
今の私の見た目と同じぐらいの子だとして、
「なかよくできるかな…」
おっと、声に出てしまった。
この姿になってから独り言が多くなったような気がするな。変なことポロリしないよう気をつけなきゃ。
「どうだろう。アイツひねくれているからなぁ。
でも、リヴの可愛さがあればどうにでもなるよ。兄様が保証する。」
会って間もないのに、兄様の兄馬鹿がどんどん加速していく。小さい子って本当に貴重なんだ。
もしも元の姿で召喚されていたら、私生きられなかったんじゃないかな。うん、これは考えないでおこう。
「お、噂をすれば。
ノアール!」
兄様が名前を呼ぶと、廊下のかなり前方にいる人が振り向いた。
私には豆粒にしか見えないが、魔族は五感が相当鋭く、距離が離れていても顔を判別できるそうだ。
兄様が駆け足で廊下を進むにつれ、豆粒が人型を形成していく。
「何ですか。
昼前で忙しいんですけど。」
立ち止まっていた彼は、不服そうに眉をひそめて兄様を見上げた。
灰色の髪が風でサラサラと揺れ、大きな目は空を切り取ったような水色。額には小さな角のようなものが1本生えている。
小柄ではあるが、かなりの美少年だ。年の程は地球で言う13、4歳ぐらいだろうか。
調理服からのぞく雪のような白い手で、野菜が入った籠を抱えている。
美少年にじゃがいもってこんなにも似合わないものなのね。新発見だわ。
「まぁまぁ、少しぐらい良いじゃないか。
リヴ、コイツはノアール。
今日から一緒に暮らすことになるんだ、ちゃんと挨拶するんだよ、ノアール。」
兄様はそう言うと、私を地面に下ろした。
目の前の美少年が小柄とは言え、私の方がまだまだ小さいので見上げる形になってしまう。彼は感情のない目で私を見下ろしていた。
「…はぁ。
ノアール・パルタス。」
彼は名前だけ口に出すと、もう言うことは無い、とでも言いたげに私から視線を外した。
「ノアール、それはいくらなんでも「お、ラミラス!丁度いいところに。性急に手伝ってくれ!人手が足りねぇんだ!」…え、俺用事が「急いでくれ!」…わかったよ。
ごめん、ちょっと向こう手伝ってくるから、俺がいなくても仲良くやるんだよ。」
兄様は、ノアールと同じ調理服を着たお兄さんに呼ばれてこの場を離れた。去り際に私の頭をなでなでするのを忘れなかった。
え…まさかのこの状態で放置?
ちらっとノアールに目を向けてみれば、彼は苦虫を噛み潰したよう顔をしていた。
見なかったことにして、兄様の方に目線を戻せば、彼はノアールと同じ籠を左右に5箱ずつ、計10箱肩に担いでいた。
「…言っておくけど、僕が貧弱な訳じゃないから。ラミラスさんがおかしいだけだから。」
「あい」
はい、見たらわかります。
周りのコックさんも持ってて2箱だもんね。兄様が異常なだけだよね。
私は、そっと兄様の珍行動から目を逸らし、名乗るために再度ノアールに向き合った。
「名前とか言わなくていいから。
僕、アンタと仲良くするつもりないし。」
おぅふ。言う前にバッサリ切り捨てられてしまった。
こっちの世界に来て、ずっと甘やかされていたから、結構グサッときた。
「人間の子供が魔族の城にいるなんて、アンタ人間のスパイかなんかなの?」
「ちがう!」
それだけは聞き捨てならない。私はアレシュさんに命を救ってもらった身だ。
例え彼が人間の敵だとしても、感謝はすれど、反抗心なんて蟻の足の先っぽほども持っていない。
''恩を仇で返すようなことだけはするな''が父の口癖だった。お父さんが遺してくれた数少ない教えだから、地球にいた頃から何があってもこれだけは守ってきた。
「は、どうだか。
突然現れた上に、魔物も連れている。
どこに疑わない要素があるのか逆に聞きたいね。」
「うぐっ…」
正論すぎて何も言えない。
「少しでも怪しい行動を取ってみろ、僕がアンタを殺す。」
ノアールはそう言い放つと、野菜の籠を持って厨房に入っていった。彼がもう一度振り向くことはなかった。
「キュッ…」
「だいじょーぶ
ハクトはわるくないからじぶんをせめちゃだめだよ」
心配そうに私の顔を覗き込むハクトの頭を優しく撫でる。
彼が言っていることは正論だ。
この世界に来て、優しい人たちのおかげで自ら行動しなくても良い方に転がっていたから、気持ちが弛んでいた。
この城の中にだって、人間をよく思っていない人はきっといる。
今までと同じ甘ったれた考えで、下手な行動を起こせばすぐに胴体とおさらばすることになっていただろう。
ノアールは遠回しではあったけれど、忠告してくれたのだ。本当に私がどうでもいい存在ならば、わざわざあんな風に言ったりしない。何も言わなければ勝手に自滅してくれるのだから。
「よち」
頬を叩いて気合を入れ直す。自分より一回りも小さい子に気づかせられるなんて、社会人失格だ。
彼の助言に感謝して
「ノアちゃんってよぼ」
ああいうタイプは子供扱いを極端に嫌がるはずだから。
感謝してるんじゃないのかって?もちろんしてるよ。
でもそれとこれとは話は別。
あそこまで嫌悪感を顕にされたら逆に構いたくなるよね!
近所に住んでいたクソガキにノアちゃんのような子がいた。私が残業で遅く帰ったりすると、次の日グチグチ言ってくる子で、会った際に私から挨拶すれば、「うるせぇ、年増!」って捨て台詞を吐いて逃げる子だった。
最初は気にしなかったけどアラサーに近づくにつれ、笑い事じゃ済まされなくなってねぇ。
だから、ちゃん付けで呼んでやったら、顔を真っ赤にして逃げちゃって。いやあ、あれは傑作だった。
たぶん、今ノアちゃんって呼んだら、首が飛ぶだろうから、暫くは心の中だけかな。
いつか必ず呼んでやるんだから!
覚悟しててね、ノアちゃん。
最年少ってどれぐらい小さいんだろう。
私、子供らしく振舞うなんてできませんよ?
今の私の見た目と同じぐらいの子だとして、
「なかよくできるかな…」
おっと、声に出てしまった。
この姿になってから独り言が多くなったような気がするな。変なことポロリしないよう気をつけなきゃ。
「どうだろう。アイツひねくれているからなぁ。
でも、リヴの可愛さがあればどうにでもなるよ。兄様が保証する。」
会って間もないのに、兄様の兄馬鹿がどんどん加速していく。小さい子って本当に貴重なんだ。
もしも元の姿で召喚されていたら、私生きられなかったんじゃないかな。うん、これは考えないでおこう。
「お、噂をすれば。
ノアール!」
兄様が名前を呼ぶと、廊下のかなり前方にいる人が振り向いた。
私には豆粒にしか見えないが、魔族は五感が相当鋭く、距離が離れていても顔を判別できるそうだ。
兄様が駆け足で廊下を進むにつれ、豆粒が人型を形成していく。
「何ですか。
昼前で忙しいんですけど。」
立ち止まっていた彼は、不服そうに眉をひそめて兄様を見上げた。
灰色の髪が風でサラサラと揺れ、大きな目は空を切り取ったような水色。額には小さな角のようなものが1本生えている。
小柄ではあるが、かなりの美少年だ。年の程は地球で言う13、4歳ぐらいだろうか。
調理服からのぞく雪のような白い手で、野菜が入った籠を抱えている。
美少年にじゃがいもってこんなにも似合わないものなのね。新発見だわ。
「まぁまぁ、少しぐらい良いじゃないか。
リヴ、コイツはノアール。
今日から一緒に暮らすことになるんだ、ちゃんと挨拶するんだよ、ノアール。」
兄様はそう言うと、私を地面に下ろした。
目の前の美少年が小柄とは言え、私の方がまだまだ小さいので見上げる形になってしまう。彼は感情のない目で私を見下ろしていた。
「…はぁ。
ノアール・パルタス。」
彼は名前だけ口に出すと、もう言うことは無い、とでも言いたげに私から視線を外した。
「ノアール、それはいくらなんでも「お、ラミラス!丁度いいところに。性急に手伝ってくれ!人手が足りねぇんだ!」…え、俺用事が「急いでくれ!」…わかったよ。
ごめん、ちょっと向こう手伝ってくるから、俺がいなくても仲良くやるんだよ。」
兄様は、ノアールと同じ調理服を着たお兄さんに呼ばれてこの場を離れた。去り際に私の頭をなでなでするのを忘れなかった。
え…まさかのこの状態で放置?
ちらっとノアールに目を向けてみれば、彼は苦虫を噛み潰したよう顔をしていた。
見なかったことにして、兄様の方に目線を戻せば、彼はノアールと同じ籠を左右に5箱ずつ、計10箱肩に担いでいた。
「…言っておくけど、僕が貧弱な訳じゃないから。ラミラスさんがおかしいだけだから。」
「あい」
はい、見たらわかります。
周りのコックさんも持ってて2箱だもんね。兄様が異常なだけだよね。
私は、そっと兄様の珍行動から目を逸らし、名乗るために再度ノアールに向き合った。
「名前とか言わなくていいから。
僕、アンタと仲良くするつもりないし。」
おぅふ。言う前にバッサリ切り捨てられてしまった。
こっちの世界に来て、ずっと甘やかされていたから、結構グサッときた。
「人間の子供が魔族の城にいるなんて、アンタ人間のスパイかなんかなの?」
「ちがう!」
それだけは聞き捨てならない。私はアレシュさんに命を救ってもらった身だ。
例え彼が人間の敵だとしても、感謝はすれど、反抗心なんて蟻の足の先っぽほども持っていない。
''恩を仇で返すようなことだけはするな''が父の口癖だった。お父さんが遺してくれた数少ない教えだから、地球にいた頃から何があってもこれだけは守ってきた。
「は、どうだか。
突然現れた上に、魔物も連れている。
どこに疑わない要素があるのか逆に聞きたいね。」
「うぐっ…」
正論すぎて何も言えない。
「少しでも怪しい行動を取ってみろ、僕がアンタを殺す。」
ノアールはそう言い放つと、野菜の籠を持って厨房に入っていった。彼がもう一度振り向くことはなかった。
「キュッ…」
「だいじょーぶ
ハクトはわるくないからじぶんをせめちゃだめだよ」
心配そうに私の顔を覗き込むハクトの頭を優しく撫でる。
彼が言っていることは正論だ。
この世界に来て、優しい人たちのおかげで自ら行動しなくても良い方に転がっていたから、気持ちが弛んでいた。
この城の中にだって、人間をよく思っていない人はきっといる。
今までと同じ甘ったれた考えで、下手な行動を起こせばすぐに胴体とおさらばすることになっていただろう。
ノアールは遠回しではあったけれど、忠告してくれたのだ。本当に私がどうでもいい存在ならば、わざわざあんな風に言ったりしない。何も言わなければ勝手に自滅してくれるのだから。
「よち」
頬を叩いて気合を入れ直す。自分より一回りも小さい子に気づかせられるなんて、社会人失格だ。
彼の助言に感謝して
「ノアちゃんってよぼ」
ああいうタイプは子供扱いを極端に嫌がるはずだから。
感謝してるんじゃないのかって?もちろんしてるよ。
でもそれとこれとは話は別。
あそこまで嫌悪感を顕にされたら逆に構いたくなるよね!
近所に住んでいたクソガキにノアちゃんのような子がいた。私が残業で遅く帰ったりすると、次の日グチグチ言ってくる子で、会った際に私から挨拶すれば、「うるせぇ、年増!」って捨て台詞を吐いて逃げる子だった。
最初は気にしなかったけどアラサーに近づくにつれ、笑い事じゃ済まされなくなってねぇ。
だから、ちゃん付けで呼んでやったら、顔を真っ赤にして逃げちゃって。いやあ、あれは傑作だった。
たぶん、今ノアちゃんって呼んだら、首が飛ぶだろうから、暫くは心の中だけかな。
いつか必ず呼んでやるんだから!
覚悟しててね、ノアちゃん。
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