31 / 38
26 戦いの後は(前編)
しおりを挟む
「タート、タート」
私は今ご機嫌なカメさんの背中に乗って海の中を進んでおります。
どういうことだ、と言われても私だってわからない。
海に引きずり込まれたと思ったら、甲羅の上だったのだ。しかも息ができる。
カイ達に何も言わずにきたけど大丈夫かな……
遠い目をする私とは対照的に、かぐやはきゃっきゃ言いながら今の状況を楽しんでいる。横を通り過ぎるカラフルな魚をつついてみたり、ハリセンボンとにらめっこしてみたり。うん、うちの子可愛い。
ゴンちゃんは私達の周りに張られた膜が気になるようで、てしてしと踏んでいる。
お願いだから噛まないでね。
せっかくボスに勝ったのに溺れて死に戻りとか洒落にならないからね。
「私達をどこに連れていくの?」
「タート!タート!」
ダメだ、私にカメ語は早すぎた。
まあ、ゴンちゃんもかぐやもいるしどうにかなるだろう。
私は諦めの境地に達して周りの景色を楽しむことにした。
あ、あれは前逃がしちゃったキスユーだ。
ゴンちゃんがすごく威嚇してる。そんな親の仇みたいな目で見なくても……
前に見えるブヨブヨの魚はブロブフィッシュそっくりだなあ。
深海魚が現れているけれど、見上げれば太陽の光が差し込んでいる。
ゲームだからね、深海とか関係ないんだろうな。
興味本位でつつこうとした時、目の前から魚が消えた。
ええ、食べた!?
カメさんがブロブフィッシュもどき食べちゃった!?
美味しいの?ああ、そう。
いや、私は遠慮しときます。
いる?とでも言いたげに前足に乗ったブロブフイッシュを差し出してきたカメさんには丁重にお断りをさせて頂いた。
そんなことを繰り返すこと暫し、カメさんが一際大きな声で鳴いた。
何事かと顔をあげれば、どんと構える竜宮城があった。
白と赤を基調とした大きな宮殿に、カラフルな海藻や珊瑚が咲き乱れ、たくさんの魚が往来している。
まさに海の都、竜宮城だ。
すごいすごい、と1人テンションが上がる私にカメさんはそうだろうとでも言いたげに胸を張って宮殿の中をぐんぐん進んで行く。
そして大きな広間のようなところで降ろされる。ここは空気があるみたい。
「巫女の女子よ。
あの怪物を倒したのはソナタと聞いた。
この海を統べる者として礼を言う。ありがとう」
透き通った華麗な声とともに現れたのはこの世の者とは思えないほど綺麗な人だった。
艶やかな黒髪を珊瑚や真珠の髪飾りでまとめ、ヒラヒラしたドレスに羽衣を纏っている。
乙姫様だ。本物の乙姫様がいる。
「どうかしたか?」
「ひゃ、ひゃいっ!
私一人だけの力ではありませんし、勝手に倒しちゃってごめんなさい!」
乙姫様の美しさについどもってしまった。私の顔は茹でたこのように真っ赤だろう。
「ふふ、気にするな。
もともとあの怪物はこの海の異端児。生態系を壊されて困っておったのだ。
申し遅れたな、我が名は乙姫。
強く可憐な女子よ、ソナタの名は?」
「ソ、ソラです!
この子がゴンちゃんで、こっちはかぐやです」
「白狐に宝霊か。ふむ、彼らがいるならもう眷属はいらぬな。
ならば……」
乙姫様がパチンと指を鳴らすと先程のカメさんが頭に箱のようなものを乗せて運んできた。
「受け取れ、この度の礼だ。どうやら宴を始めるのは無理そうだからな。地上でソナタを待ちわびている者がいる」
そう言って渡された箱はどう見ても玉手箱だった。どうしよう、これを開けたら年老いてしまうのだろうか。
「気に入らぬか?」
その美貌で眉を八の字なんてやめてほしい。とてつもない罪悪感に駆られる。
「あの、乙姫様。
これ開けたら急激に歳をとってしまうとかあります?」
乙姫様は目をぱちくりした後、声をたてて笑いだした。
「はぁ、久しぶりにこんなに笑ったぞ。
安心せい、恩人にそんなものやるか」
よっぽどツボに入ったのか、乙姫様は時々噎せている。
「地上が騒がしくなって来た。そろそろ戻ってやれ」
「ありがとうございます、乙姫様」
「またいつでも遊びに来い。
待っておるぞ」
「タート!」
カメさんの背中に乗って、乙姫様に手を振る。また遊びに来られたら良いな。
行きと同じように周りの景色を楽しんでいると、直ぐに浜辺に着いた。
カメさんにお礼を言うと、タート!と一声鳴いて海に帰って行った。
「ソラ!」
見えなくなるまで手を振っていると、後ろから名前を呼ばれた。振り向くと、今にも海に飛び込まんとしているカイとそれを羽交い締めにしているレイちゃんがいた。
レイちゃんの目が助けろと訴えかけている。
いや、どういう状況……?
「先程から思っておったのじゃが、奴らはソラの知り合いか?」
「うん。
黒髪の方が双子の弟でもう1人が幼馴染なんだよ」
首に抱きついてるかぐやの質問に答えながら、その頭を撫でる。
恨みがましそうな目でこっちを見ているレイちゃんなんて知らない。知らないったら知らない。
別に投げられたこと根になんて持ってないよ。
「お姉様ーっ!!」
「うわっ!」
「ほぎゃあああああっ」
レイちゃんから目を逸らし続けていると、突然後ろから衝撃がきた。その衝撃でかぐやが飛ばされる。
「お久しぶりです、お姉様!」
私の前に現れたのはニコニコと笑っている美少女だった。魔女っ子のような格好をした彼女はキラキラとした桜色の大きな瞳に同色の髪を高い位置でツインテールにしていた。加えて頭から生えている猫耳がピコピコと動いている。
私のことをお姉様と呼ぶということは
「もしかして琉ちゃん?」
「はい!
プレーヤー名はルゥです!」
「ルゥちゃん」
「はうぅ。ルゥはお姉様に呼ばれたこの名を一生背負って生きてゆきます!」
そんな大袈裟な……
ルゥちゃんは私を盲目に尊敬し過ぎてると思うんだ。
「何なのじゃ、お主は!!
妾を飛ばしよって失礼にも程があるぞ!」
復活したらしいかぐやが、シャーと猫のように威嚇している。
私は苦笑いでその頭を撫でた。
「あら、ごめんなさい。
お姉様にまとわりつく羽虫かと」
「なんじゃとー!」
「ルゥちゃん」
少しキツめに名前を呼ぶと、猫耳がへにゃりと下がった。
「ルゥちゃん、この子はかぐや。足元にいるのはゴンちゃん。私と一緒に旅をしている大切な仲魔だよ」
「うぅ、失礼なこと言ってごめんなさい。
でも、お姉様!
この小さいのが男だとちゃんと分かっていて傍に置いておられますか!?」
「え、ルゥちゃん、かぐやが男の子ってよくわかったね」
一目見ただけでかぐやが男の子だって見抜くなんてすごい。
私が感心している前で、頭を垂れてブツブツと何かを言っているルゥちゃん。
その時、彼女の名を呼ぶ声が聞こえた。
振り向くと、金髪を揺らす美人なエルフがいた。
「お姉ちゃん!」
お姉ちゃん?
ってことは……
「萊姉?」
「うふふ、そうよぉ~
久しぶりねぇ、ソラちゃん」
それを聞いた私は誰もが羨むその完璧な体型に抱きついた。
萊姉だ、久しぶりの萊姉だ!
「お姉ちゃんずるい!」
ルゥちゃんが後ろから私を抱きしめる。
前に美女、後ろに美少女。そろそろ男性陣にサクッと刺されるかもしれない。
「あらあら。
ゲームではララで通っているから、ララ姉って呼んでね、ソラちゃん」
「ララ姉、久しぶり!」
「久しぶりねぇ~。
このままソラちゃんを堪能しておきたいのは山々なんだけど、街の人達があなたを探していたわ」
「街の人?」
「おーい、嬢ちゃーん!」
ララ姉が指さす方を見るとガロンさんとコランさんがこちらに向かって歩いて来ていた。
「ガロンさん!……と、それにコランさんも!」
「おい、俺のついで感」
「嬢ちゃん強えんだな、びっくりしたぞ。
わははは!」
「わわっ」
がしがしとガロンさんに乱暴に頭をかき混ぜられる。
コランさんが大きくため息をついた。
「ガロン、お前は何しに来たんだ」
「おお、そうだった。
嬢ちゃん、街を救ってくれてありがとう。
領主として一言礼を言わせてくれ」
「え?」
領主……嘘、ガロンさんがこの街の街長!?
「えぇーっ!!?」
「わはははは!」
「す、すみません!
私の不注意で大事な街を危険に晒してしまって!」
2人に深く頭を下げる。
「ん?
嬢ちゃんに感謝はすれど、謝られる筋合いはねぇと思うんだが」
「私がよく考えもせず、ボスを釣り上げてしまったから……それで……」
「あー、嬢ちゃんの責任じゃねぇよ。
もともと奴の目撃情報は相次いでたんだ。そろそろギルドに討伐を頼もうとしていたところを、嬢ちゃんが街に被害をもたらすことなく代わりにやっつけてくれた。どこに責める要素があるんだ?」
「そうですわよ、お姉様。
レイドボスのイベントは必ず起きます。
今回はお姉様がイベントが起きる前に見つけてくださったからこその成果です。
もし発見できなかったら被害ゼロで倒すのは難しかったに違いないですわ」
「ルゥちゃん……」
「お前ェは難しく考えすぎなんだよ、ばーか。
いつもみたいに能天気に笑っとけ」
「ちょ、コランさん!
縮む!縮んじゃうから!」
グリグリと大きな手で押さえつけるように撫でられる。必死に抵抗する私にコランさんは愉快そうに声を立てて笑っていた。
もう……
「まあ、でも嬢ちゃんがどうしてもって言うならしばらく付き合ってもらうぜ」
「え……」
ガロンさんの視線の先には、大量のイカを持ったプレーヤーの人達と鉢巻を締め、ヘラを構えた街の人達がいた。
ーーーーーーーー
少々長くなりすぎまして……
後編は明日アップします!
私は今ご機嫌なカメさんの背中に乗って海の中を進んでおります。
どういうことだ、と言われても私だってわからない。
海に引きずり込まれたと思ったら、甲羅の上だったのだ。しかも息ができる。
カイ達に何も言わずにきたけど大丈夫かな……
遠い目をする私とは対照的に、かぐやはきゃっきゃ言いながら今の状況を楽しんでいる。横を通り過ぎるカラフルな魚をつついてみたり、ハリセンボンとにらめっこしてみたり。うん、うちの子可愛い。
ゴンちゃんは私達の周りに張られた膜が気になるようで、てしてしと踏んでいる。
お願いだから噛まないでね。
せっかくボスに勝ったのに溺れて死に戻りとか洒落にならないからね。
「私達をどこに連れていくの?」
「タート!タート!」
ダメだ、私にカメ語は早すぎた。
まあ、ゴンちゃんもかぐやもいるしどうにかなるだろう。
私は諦めの境地に達して周りの景色を楽しむことにした。
あ、あれは前逃がしちゃったキスユーだ。
ゴンちゃんがすごく威嚇してる。そんな親の仇みたいな目で見なくても……
前に見えるブヨブヨの魚はブロブフィッシュそっくりだなあ。
深海魚が現れているけれど、見上げれば太陽の光が差し込んでいる。
ゲームだからね、深海とか関係ないんだろうな。
興味本位でつつこうとした時、目の前から魚が消えた。
ええ、食べた!?
カメさんがブロブフィッシュもどき食べちゃった!?
美味しいの?ああ、そう。
いや、私は遠慮しときます。
いる?とでも言いたげに前足に乗ったブロブフイッシュを差し出してきたカメさんには丁重にお断りをさせて頂いた。
そんなことを繰り返すこと暫し、カメさんが一際大きな声で鳴いた。
何事かと顔をあげれば、どんと構える竜宮城があった。
白と赤を基調とした大きな宮殿に、カラフルな海藻や珊瑚が咲き乱れ、たくさんの魚が往来している。
まさに海の都、竜宮城だ。
すごいすごい、と1人テンションが上がる私にカメさんはそうだろうとでも言いたげに胸を張って宮殿の中をぐんぐん進んで行く。
そして大きな広間のようなところで降ろされる。ここは空気があるみたい。
「巫女の女子よ。
あの怪物を倒したのはソナタと聞いた。
この海を統べる者として礼を言う。ありがとう」
透き通った華麗な声とともに現れたのはこの世の者とは思えないほど綺麗な人だった。
艶やかな黒髪を珊瑚や真珠の髪飾りでまとめ、ヒラヒラしたドレスに羽衣を纏っている。
乙姫様だ。本物の乙姫様がいる。
「どうかしたか?」
「ひゃ、ひゃいっ!
私一人だけの力ではありませんし、勝手に倒しちゃってごめんなさい!」
乙姫様の美しさについどもってしまった。私の顔は茹でたこのように真っ赤だろう。
「ふふ、気にするな。
もともとあの怪物はこの海の異端児。生態系を壊されて困っておったのだ。
申し遅れたな、我が名は乙姫。
強く可憐な女子よ、ソナタの名は?」
「ソ、ソラです!
この子がゴンちゃんで、こっちはかぐやです」
「白狐に宝霊か。ふむ、彼らがいるならもう眷属はいらぬな。
ならば……」
乙姫様がパチンと指を鳴らすと先程のカメさんが頭に箱のようなものを乗せて運んできた。
「受け取れ、この度の礼だ。どうやら宴を始めるのは無理そうだからな。地上でソナタを待ちわびている者がいる」
そう言って渡された箱はどう見ても玉手箱だった。どうしよう、これを開けたら年老いてしまうのだろうか。
「気に入らぬか?」
その美貌で眉を八の字なんてやめてほしい。とてつもない罪悪感に駆られる。
「あの、乙姫様。
これ開けたら急激に歳をとってしまうとかあります?」
乙姫様は目をぱちくりした後、声をたてて笑いだした。
「はぁ、久しぶりにこんなに笑ったぞ。
安心せい、恩人にそんなものやるか」
よっぽどツボに入ったのか、乙姫様は時々噎せている。
「地上が騒がしくなって来た。そろそろ戻ってやれ」
「ありがとうございます、乙姫様」
「またいつでも遊びに来い。
待っておるぞ」
「タート!」
カメさんの背中に乗って、乙姫様に手を振る。また遊びに来られたら良いな。
行きと同じように周りの景色を楽しんでいると、直ぐに浜辺に着いた。
カメさんにお礼を言うと、タート!と一声鳴いて海に帰って行った。
「ソラ!」
見えなくなるまで手を振っていると、後ろから名前を呼ばれた。振り向くと、今にも海に飛び込まんとしているカイとそれを羽交い締めにしているレイちゃんがいた。
レイちゃんの目が助けろと訴えかけている。
いや、どういう状況……?
「先程から思っておったのじゃが、奴らはソラの知り合いか?」
「うん。
黒髪の方が双子の弟でもう1人が幼馴染なんだよ」
首に抱きついてるかぐやの質問に答えながら、その頭を撫でる。
恨みがましそうな目でこっちを見ているレイちゃんなんて知らない。知らないったら知らない。
別に投げられたこと根になんて持ってないよ。
「お姉様ーっ!!」
「うわっ!」
「ほぎゃあああああっ」
レイちゃんから目を逸らし続けていると、突然後ろから衝撃がきた。その衝撃でかぐやが飛ばされる。
「お久しぶりです、お姉様!」
私の前に現れたのはニコニコと笑っている美少女だった。魔女っ子のような格好をした彼女はキラキラとした桜色の大きな瞳に同色の髪を高い位置でツインテールにしていた。加えて頭から生えている猫耳がピコピコと動いている。
私のことをお姉様と呼ぶということは
「もしかして琉ちゃん?」
「はい!
プレーヤー名はルゥです!」
「ルゥちゃん」
「はうぅ。ルゥはお姉様に呼ばれたこの名を一生背負って生きてゆきます!」
そんな大袈裟な……
ルゥちゃんは私を盲目に尊敬し過ぎてると思うんだ。
「何なのじゃ、お主は!!
妾を飛ばしよって失礼にも程があるぞ!」
復活したらしいかぐやが、シャーと猫のように威嚇している。
私は苦笑いでその頭を撫でた。
「あら、ごめんなさい。
お姉様にまとわりつく羽虫かと」
「なんじゃとー!」
「ルゥちゃん」
少しキツめに名前を呼ぶと、猫耳がへにゃりと下がった。
「ルゥちゃん、この子はかぐや。足元にいるのはゴンちゃん。私と一緒に旅をしている大切な仲魔だよ」
「うぅ、失礼なこと言ってごめんなさい。
でも、お姉様!
この小さいのが男だとちゃんと分かっていて傍に置いておられますか!?」
「え、ルゥちゃん、かぐやが男の子ってよくわかったね」
一目見ただけでかぐやが男の子だって見抜くなんてすごい。
私が感心している前で、頭を垂れてブツブツと何かを言っているルゥちゃん。
その時、彼女の名を呼ぶ声が聞こえた。
振り向くと、金髪を揺らす美人なエルフがいた。
「お姉ちゃん!」
お姉ちゃん?
ってことは……
「萊姉?」
「うふふ、そうよぉ~
久しぶりねぇ、ソラちゃん」
それを聞いた私は誰もが羨むその完璧な体型に抱きついた。
萊姉だ、久しぶりの萊姉だ!
「お姉ちゃんずるい!」
ルゥちゃんが後ろから私を抱きしめる。
前に美女、後ろに美少女。そろそろ男性陣にサクッと刺されるかもしれない。
「あらあら。
ゲームではララで通っているから、ララ姉って呼んでね、ソラちゃん」
「ララ姉、久しぶり!」
「久しぶりねぇ~。
このままソラちゃんを堪能しておきたいのは山々なんだけど、街の人達があなたを探していたわ」
「街の人?」
「おーい、嬢ちゃーん!」
ララ姉が指さす方を見るとガロンさんとコランさんがこちらに向かって歩いて来ていた。
「ガロンさん!……と、それにコランさんも!」
「おい、俺のついで感」
「嬢ちゃん強えんだな、びっくりしたぞ。
わははは!」
「わわっ」
がしがしとガロンさんに乱暴に頭をかき混ぜられる。
コランさんが大きくため息をついた。
「ガロン、お前は何しに来たんだ」
「おお、そうだった。
嬢ちゃん、街を救ってくれてありがとう。
領主として一言礼を言わせてくれ」
「え?」
領主……嘘、ガロンさんがこの街の街長!?
「えぇーっ!!?」
「わはははは!」
「す、すみません!
私の不注意で大事な街を危険に晒してしまって!」
2人に深く頭を下げる。
「ん?
嬢ちゃんに感謝はすれど、謝られる筋合いはねぇと思うんだが」
「私がよく考えもせず、ボスを釣り上げてしまったから……それで……」
「あー、嬢ちゃんの責任じゃねぇよ。
もともと奴の目撃情報は相次いでたんだ。そろそろギルドに討伐を頼もうとしていたところを、嬢ちゃんが街に被害をもたらすことなく代わりにやっつけてくれた。どこに責める要素があるんだ?」
「そうですわよ、お姉様。
レイドボスのイベントは必ず起きます。
今回はお姉様がイベントが起きる前に見つけてくださったからこその成果です。
もし発見できなかったら被害ゼロで倒すのは難しかったに違いないですわ」
「ルゥちゃん……」
「お前ェは難しく考えすぎなんだよ、ばーか。
いつもみたいに能天気に笑っとけ」
「ちょ、コランさん!
縮む!縮んじゃうから!」
グリグリと大きな手で押さえつけるように撫でられる。必死に抵抗する私にコランさんは愉快そうに声を立てて笑っていた。
もう……
「まあ、でも嬢ちゃんがどうしてもって言うならしばらく付き合ってもらうぜ」
「え……」
ガロンさんの視線の先には、大量のイカを持ったプレーヤーの人達と鉢巻を締め、ヘラを構えた街の人達がいた。
ーーーーーーーー
少々長くなりすぎまして……
後編は明日アップします!
21
あなたにおすすめの小説
事情があってメイドとして働いていますが、実は公爵家の令嬢です。
木山楽斗
恋愛
ラナリアが仕えるバルドリュー伯爵家では、子爵家の令嬢であるメイドが幅を利かせていた。
彼女は貴族の地位を誇示して、平民のメイドを虐げていた。その毒牙は、平民のメイドを庇ったラナリアにも及んだ。
しかし彼女は知らなかった。ラナリアは事情があって伯爵家に仕えている公爵令嬢だったのである。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
聖女の私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。
重田いの
ファンタジー
聖女である私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。
あのお、私はともかくお父さんがいなくなるのは国としてマズイと思うのですが……。
よくある聖女追放ものです。
戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに
千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」
「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」
許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。
許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。
上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。
言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。
絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、
「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」
何故か求婚されることに。
困りながらも巻き込まれる騒動を通じて
ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。
こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。
他国から来た王妃ですが、冷遇? 私にとっては厚遇すぎます!
七辻ゆゆ
ファンタジー
人質同然でやってきたというのに、出されるご飯は母国より美味しいし、嫌味な上司もいないから掃除洗濯毎日楽しいのですが!?
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。
石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。
実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。
そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。
血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。
この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。
扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる