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第三巻 Éternité
第5話「模倣と創造」①
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新曲のコンペ……
今回は……南條さんの元で学んだことを活かして、自分でアレンジした曲で挑戦してみようと思った。
この私に、どこまで作れるんだろう。
キーボードとPCに目をやると、不意にセナ君の顔が浮かんだ。
「南條は、やめとけ」
「お前に、あいつは似合わねーよ」
セナ君の言葉を振り払うように、少しずつ作曲のペースを掴みながら、私は毎日、創作に没頭していく。
「丁寧すぎて、逆に展開が予測できちゃうんだよね」
「ポップスなら“引っかかり”もあった方が印象に残るんだ」
「音を詰めすぎるより、1拍引いた方がかえって刺さるよ」
「コツさえ掴めれば、ポップスは“抜く”のがキモ」
……南條さんから言われたアドバイスを思い出しながら、ピアノだけだった旋律に、少しずつ色を重ねていく。
アレンジを仕上げて、みんなに会いに行こう。
そして、あの南條さんにも……完成した音を聴いてもらいたい。
……最後に南條さんと会ったときの空気を思い出すと、このワクワクした気持ちが、ほんの少し冷めてしまうけれど……
それでも、“今の私”にできる曲を、聴いてほしい。
その一心で、私はキーボードに向かった。
「へぇ……本当にすごいね。俺のアレンジ、しっかり踏襲してる」
「どうでしょうか……?次のシングルのコンペに出そうかと……」
「ほんっと、気持ち悪いくらい俺とそっくりな音運び」
……え?
今、なんて言われたの?
聞き間違い……?
呆気に取られていると
「その音源、いったん誰かに聴いてもらうといいよ」
「……あ、はい。ありがとうございます。
今日、このあと、下の事務所でみんなと会う予定もあって」
「そ。いってらっしゃい」
スタジオのドアを背にした瞬間……
「絶対、採用されないから」
……そう聞こえた気がした。
「……あの。実は、次の新曲コンペの曲、作ってみたの」
「え!?本当に?」
「みんなの意見、聞かせてもらってもいいかな?」
「聞きたい聞きたい!」
……『shooting stars』を初めて聴かせたあの時を思い出す。
深呼吸して、再生ボタンを押した。
広いスタジオに響く音。
ほんの一瞬、静寂があって……
「すげーじゃん!本気でビビった!!Dメロからの展開!?」
「……あの音の厚み、初アレンジとは思えない……」
「鳥肌立った。Aメロのブレイクの入り方、舞台演出で照明落としたくなるやつ」
「ステージ映えするって、ああいうのを言うんだな」
「これ流れたらさ、絶対ファン湧くやつ。俺もう湧いたもん」
「ブラス入ってくるところ、ゾワッてした~~~!」
みんなからのリアクションに、ほっと胸を撫でおろす。
でも……
あの時と同じように、セナ君だけは何も言わなかった。
お願い、なにか……言って……
「……完成度は高いし、演出に合わせて作ったら、ライブでは盛り上がるんだろうな」
空気が、一瞬で冷える。
「でも……これは、お前の音じゃない」
その一言で、すべてがわかってしまった気がした。
「南條なんかの音で満足してんなよ」
……静かで、けれど明確な、否定。
「オレはこのアレンジ聴くくらいなら、お前のピアノアレンジの方を選ぶ」
セナ君に贈った、ピアノアレンジのメモリースティック。
あれを……聴いてくれてたんだ。
……私、気づいてた。
どこかで「ウケる曲」を狙ってた。
“通るかもしれない”と思って、無難にまとめてしまった。
でもそれじゃダメだ。
みんなの言葉が嬉しかった。けど……それじゃ足りない。
「2週間後のコンペの締め切りにもう一度出します! 次こそみんなが納得する曲を出します!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
最後まで読んでいただきありがとうございました!
もし少しでも気になってもらえたら、フォローやお気に入りしていただけると励みになります。
第5話「模倣と創造」」②は【本日昼】に更新予定です!
ぜひまた覗きに来てくださいね!
今回は……南條さんの元で学んだことを活かして、自分でアレンジした曲で挑戦してみようと思った。
この私に、どこまで作れるんだろう。
キーボードとPCに目をやると、不意にセナ君の顔が浮かんだ。
「南條は、やめとけ」
「お前に、あいつは似合わねーよ」
セナ君の言葉を振り払うように、少しずつ作曲のペースを掴みながら、私は毎日、創作に没頭していく。
「丁寧すぎて、逆に展開が予測できちゃうんだよね」
「ポップスなら“引っかかり”もあった方が印象に残るんだ」
「音を詰めすぎるより、1拍引いた方がかえって刺さるよ」
「コツさえ掴めれば、ポップスは“抜く”のがキモ」
……南條さんから言われたアドバイスを思い出しながら、ピアノだけだった旋律に、少しずつ色を重ねていく。
アレンジを仕上げて、みんなに会いに行こう。
そして、あの南條さんにも……完成した音を聴いてもらいたい。
……最後に南條さんと会ったときの空気を思い出すと、このワクワクした気持ちが、ほんの少し冷めてしまうけれど……
それでも、“今の私”にできる曲を、聴いてほしい。
その一心で、私はキーボードに向かった。
「へぇ……本当にすごいね。俺のアレンジ、しっかり踏襲してる」
「どうでしょうか……?次のシングルのコンペに出そうかと……」
「ほんっと、気持ち悪いくらい俺とそっくりな音運び」
……え?
今、なんて言われたの?
聞き間違い……?
呆気に取られていると
「その音源、いったん誰かに聴いてもらうといいよ」
「……あ、はい。ありがとうございます。
今日、このあと、下の事務所でみんなと会う予定もあって」
「そ。いってらっしゃい」
スタジオのドアを背にした瞬間……
「絶対、採用されないから」
……そう聞こえた気がした。
「……あの。実は、次の新曲コンペの曲、作ってみたの」
「え!?本当に?」
「みんなの意見、聞かせてもらってもいいかな?」
「聞きたい聞きたい!」
……『shooting stars』を初めて聴かせたあの時を思い出す。
深呼吸して、再生ボタンを押した。
広いスタジオに響く音。
ほんの一瞬、静寂があって……
「すげーじゃん!本気でビビった!!Dメロからの展開!?」
「……あの音の厚み、初アレンジとは思えない……」
「鳥肌立った。Aメロのブレイクの入り方、舞台演出で照明落としたくなるやつ」
「ステージ映えするって、ああいうのを言うんだな」
「これ流れたらさ、絶対ファン湧くやつ。俺もう湧いたもん」
「ブラス入ってくるところ、ゾワッてした~~~!」
みんなからのリアクションに、ほっと胸を撫でおろす。
でも……
あの時と同じように、セナ君だけは何も言わなかった。
お願い、なにか……言って……
「……完成度は高いし、演出に合わせて作ったら、ライブでは盛り上がるんだろうな」
空気が、一瞬で冷える。
「でも……これは、お前の音じゃない」
その一言で、すべてがわかってしまった気がした。
「南條なんかの音で満足してんなよ」
……静かで、けれど明確な、否定。
「オレはこのアレンジ聴くくらいなら、お前のピアノアレンジの方を選ぶ」
セナ君に贈った、ピアノアレンジのメモリースティック。
あれを……聴いてくれてたんだ。
……私、気づいてた。
どこかで「ウケる曲」を狙ってた。
“通るかもしれない”と思って、無難にまとめてしまった。
でもそれじゃダメだ。
みんなの言葉が嬉しかった。けど……それじゃ足りない。
「2週間後のコンペの締め切りにもう一度出します! 次こそみんなが納得する曲を出します!」
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