スターライトパレード

木風

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第三巻 Éternité

第6話「Ignition」①

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試聴会が終わると、スターライトパレードのメンバーたちはすぐにレッスンスタジオへ向かった。
私も「よかったら」と誘ってもらい、見学に同行することに。

新曲はテンポも速く、ブレイクも多い構成だから、早めに身体に叩き込む必要があるらしい。
振付師の方が口頭で動きを説明しながら、もう一度曲を再生する。

鏡張りのスタジオに、音が鳴る。

それは……自分がアレンジした、初めて“かたち”になった、自分だけの音。
まるで別世界。

誰かが動くたびに、リズムに命が吹き込まれていくみたいで、心が震えた。

指先で譜面をなぞった旋律が、深夜に何度も調整した低音が、今、手足となって跳ねて、回って、光を放ってる。

「あそこ、あと半拍だけ後ろに動いた方がサビ映えるかも」

演出家の指示にうなずくメンバーたち。
振付師がすぐに動きを修正する。その音に合わせて。

……すごい。
こんな臨機応変に対応できるんだ。
あんな動き、できるなんて……すごすぎる。

ガチャッ

突然、ドアが開いた。

「この曲、誰の?」

……え?

「ねぇ、誰のって聞いてんだけど?」
「カイ……」
「あー……ちょっと休憩入れよっか」

椿さんが空気を読んで促し、怜央さんがその人に声をかける。
「カイ」と呼ばれたその人は、何度か音楽番組で見かけたことがあった。
スターライトパレードよりもダンス色が強くて、攻撃的な音楽が印象的なグループだった気がする。

「はい、奏ちゃん」

信さんが、そっとペットボトルを差し出してくれる。

「あの人、僕らの先輩グループ『G∀ME』のセンター、KAI君」
「KAI……さん」
「翔さんとセナが抜けて、僕らより先にデビューしたグループ」

えっ……!?
椿さんとセナ君が、かつて別グループに……?なにがあって分かれたの……?年齢? 売り方?方向性?

「さっきの曲、もう一回流して」

KAIさんがスピーカーの前に立ち、音を食い入るように聴く。
目を見開いたまま、動かない。
曲が終わると……ニヤリと笑って言った。

「この曲、俺らにちょうだい」

……空気が、一瞬で凍る。

「あ゛??」

セナ君が怒りを隠さず詰め寄ろうとするのを、怜央さんと蓮君が慌てて制止する。

「KAI君、冗談はやめようよ」
「だね!おれら練習あるから、KAI君もこの辺で……」
「でも、この曲、俺の方がカッコよくできるけど?」
「おい、てめー勝手なこと言ってんじゃねーよ」

セナ君の顔が、見たことないくらい険しくなっている。

「ん~~~、そっか!じゃ、仕方ないな。
……俺はこの曲が欲しい。譲る気はないから」

……え?
そんなの……そんなの、ありなの……?

「会社に判断してもらおう。俺らか、お前らか……どっちがやるべきか」

待って。
この曲は……私が、みんなのために作ったのに。

「一週間あればいけるだろ。ここでフリ入れて、歌って、上の人に見てもらおうぜ」
「KAI君、それは……さすがに……」
「じゃ、上行って段取り組んでもらってくるわ」

椿さんも止めに入るけれど、彼は気にも留めない。

「どっちの方が“売れる”か、しっかり見てもらおうぜ」

そう言い残して、KAIさんは嵐のように去って行った……

……何も、言えなかった。

呆然として、ただ立ち尽くしてしまった。

私の曲なのに。
私が“みんなに歌ってほしい”って願って作った曲なのに。
私なんて、ただの“作曲者”なんだって……思い知らされた。


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最後まで読んでいただきありがとうございました!

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第6話「Ignition」②は【明日朝】に更新予定です!

ぜひまた覗きに来てくださいね!
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