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第三巻 Éternité
第7話「夏灯花火」③
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『いや、うん。疲れてる。けど……それより……』
一瞬、間があく。
セナ君の声が、少しだけ柔らかくなった。
『……声、聞きたくなった』
ふっと胸の奥が熱くなる。
「……忙しそうだもんね、最近」
『うん。っていうかさ、オレ今、干からびてる自覚ある』
「え!?干からびてる!?大変!!」
『ぷっ、冗談だって。曲、作ってる?』
「……作ってるよ。……でも今は数学の課題中」
『もったいな。世界で一番もったいない時間の使い方だわ、それ』
くすっと笑ってしまうと、向こうも少し息を漏らした。
『でもさ、ライブで『Dear You』歌った時、客席……すごかった。みんな、聴き入ってた』
「……そうなんだ。嬉しいな」
あ……
なんか、ちょっと、無性に会いたいかも。
『ドームは来るんだっけ?』
「……うん。八神さんが、部屋も取ってくれたの」
『マジ!?じゃあ、あとちょっと。頑張れるわ、オレ』
「……がんばって」
『うん。……夢に出てこいよ』
「出るようにがんばって寝る」
『それもう寝技じゃん……じゃ、おやすみ』
「……おやすみ、セナくん」
通話が切れても、しばらく画面を見つめてしまった。
耳に残る声が、じんわり胸に滲みてくる。
……会いたいな。
でも、あと少し。
ちゃんと、がんばらなきゃ。
そう思えただけで……
今夜、声が聞けてよかった。
7月に入って、期末テスト勉強の合間……
賑やかなLINEを見るのが、ひそかな楽しみになっていた。
柊真央:沖縄ついたー!気温34度!溶けるて!
豊田遊里:お土産何がいい?泡盛?ちんすこう?シーサー?
御影怜央:飲めません
天野蓮:おれもだけど、遊里君も未成年だからね
諏訪セナ:てか奏、ちゃんと飯食ってる?
井上信:昨日は購買の焼きそばパンでした
諏訪セナ:おまえじゃねーよ
画面越しに浮かぶ、照明に照らされたセナ君の姿。
誰よりも楽しそうにステージを駆ける遊里君。
椿さんのウィンク、真央くんのキメ顔。
その間に、私は信君宛にメッセージを送る。
『信君への誕生日プレゼント、事務所に預けてあるよ。立ち寄ったら受け取ってね』
井上信:……うん、ありがとう
豊田遊里:おぉぉ~~~!レア返信きた~~~!!
柊真央:ついに信くんが喋った記念日
諏訪セナ:お前ら失礼だぞ
御影怜央:でも今日の信、返信3秒だった。やる気すごい
井上信:別にいつも通りだけど
天野蓮:はい、照れてる~~~
椿翔平:めでたい!!
豊田遊里:おめ~~~~!!
シャーペンを走らせながら、テレビでは情報番組がライブの映像を流していた。
スマホの画面に、少しだけ名残惜しさを残して、また教科書に目を戻す。
ライブが終わったころ、今日もセナ君からの着信がくる。
『さっきまで、シンに居座られてさ……』
「ふふ、誕生日直後のライブだもんね」
『ライブの前日が誕生日だったからさ、ファンもお祝いモードで……
そんな中で『夏灯花火』披露したんだけど、泣いてくれてる子もいた』
「ほんとに?嬉しいな……」
『夏灯花火』……
あの曲は、セナ君と初めてぶつかった冬…仲直りした後に書いたものだった。
言葉が届かなくて、セナ君がよくわからなくなって、でも、あの時の私の気持ちをちゃんと届けたくて、作った曲。
ふいに、電話越しから鼻歌が聞こえてきた。
ねぇ、君のまばたきと 夜が重なった気がした
灯りきれず弾けた "ごめん"はまだ喉の奥
掴めない風のように 君は遠ざかって
それでも今も、胸の奥 火花が舞うよ
……きれいな声だった。
ねぇ、セナ君もこの空を見てるの?
遠く離れていることが多いけど、同じ空を見ていると思ったら、少しだけ嬉しくて、少しだけ寂しくなった。
東京ドームまで……あと1ヶ月ちょっと。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
最後まで読んでいただきありがとうございました!
もし少しでも気になってもらえたら、フォローやお気に入りしていただけると励みになります。
第7.5話「電話と熱」【本日夜】に更新予定です!
ぜひまた覗きに来てくださいね!
やまいもさんに信を描いてもらいました!!しかも信の誕生日回!!
本当に感謝です…!
※イラストは描き下ろし作品です。無断転載・無断使用・AI学習等は一切禁止しております。
©︎Starlight Parade / 木風 やまいも
一瞬、間があく。
セナ君の声が、少しだけ柔らかくなった。
『……声、聞きたくなった』
ふっと胸の奥が熱くなる。
「……忙しそうだもんね、最近」
『うん。っていうかさ、オレ今、干からびてる自覚ある』
「え!?干からびてる!?大変!!」
『ぷっ、冗談だって。曲、作ってる?』
「……作ってるよ。……でも今は数学の課題中」
『もったいな。世界で一番もったいない時間の使い方だわ、それ』
くすっと笑ってしまうと、向こうも少し息を漏らした。
『でもさ、ライブで『Dear You』歌った時、客席……すごかった。みんな、聴き入ってた』
「……そうなんだ。嬉しいな」
あ……
なんか、ちょっと、無性に会いたいかも。
『ドームは来るんだっけ?』
「……うん。八神さんが、部屋も取ってくれたの」
『マジ!?じゃあ、あとちょっと。頑張れるわ、オレ』
「……がんばって」
『うん。……夢に出てこいよ』
「出るようにがんばって寝る」
『それもう寝技じゃん……じゃ、おやすみ』
「……おやすみ、セナくん」
通話が切れても、しばらく画面を見つめてしまった。
耳に残る声が、じんわり胸に滲みてくる。
……会いたいな。
でも、あと少し。
ちゃんと、がんばらなきゃ。
そう思えただけで……
今夜、声が聞けてよかった。
7月に入って、期末テスト勉強の合間……
賑やかなLINEを見るのが、ひそかな楽しみになっていた。
柊真央:沖縄ついたー!気温34度!溶けるて!
豊田遊里:お土産何がいい?泡盛?ちんすこう?シーサー?
御影怜央:飲めません
天野蓮:おれもだけど、遊里君も未成年だからね
諏訪セナ:てか奏、ちゃんと飯食ってる?
井上信:昨日は購買の焼きそばパンでした
諏訪セナ:おまえじゃねーよ
画面越しに浮かぶ、照明に照らされたセナ君の姿。
誰よりも楽しそうにステージを駆ける遊里君。
椿さんのウィンク、真央くんのキメ顔。
その間に、私は信君宛にメッセージを送る。
『信君への誕生日プレゼント、事務所に預けてあるよ。立ち寄ったら受け取ってね』
井上信:……うん、ありがとう
豊田遊里:おぉぉ~~~!レア返信きた~~~!!
柊真央:ついに信くんが喋った記念日
諏訪セナ:お前ら失礼だぞ
御影怜央:でも今日の信、返信3秒だった。やる気すごい
井上信:別にいつも通りだけど
天野蓮:はい、照れてる~~~
椿翔平:めでたい!!
豊田遊里:おめ~~~~!!
シャーペンを走らせながら、テレビでは情報番組がライブの映像を流していた。
スマホの画面に、少しだけ名残惜しさを残して、また教科書に目を戻す。
ライブが終わったころ、今日もセナ君からの着信がくる。
『さっきまで、シンに居座られてさ……』
「ふふ、誕生日直後のライブだもんね」
『ライブの前日が誕生日だったからさ、ファンもお祝いモードで……
そんな中で『夏灯花火』披露したんだけど、泣いてくれてる子もいた』
「ほんとに?嬉しいな……」
『夏灯花火』……
あの曲は、セナ君と初めてぶつかった冬…仲直りした後に書いたものだった。
言葉が届かなくて、セナ君がよくわからなくなって、でも、あの時の私の気持ちをちゃんと届けたくて、作った曲。
ふいに、電話越しから鼻歌が聞こえてきた。
ねぇ、君のまばたきと 夜が重なった気がした
灯りきれず弾けた "ごめん"はまだ喉の奥
掴めない風のように 君は遠ざかって
それでも今も、胸の奥 火花が舞うよ
……きれいな声だった。
ねぇ、セナ君もこの空を見てるの?
遠く離れていることが多いけど、同じ空を見ていると思ったら、少しだけ嬉しくて、少しだけ寂しくなった。
東京ドームまで……あと1ヶ月ちょっと。
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最後まで読んでいただきありがとうございました!
もし少しでも気になってもらえたら、フォローやお気に入りしていただけると励みになります。
第7.5話「電話と熱」【本日夜】に更新予定です!
ぜひまた覗きに来てくださいね!
やまいもさんに信を描いてもらいました!!しかも信の誕生日回!!
本当に感謝です…!
※イラストは描き下ろし作品です。無断転載・無断使用・AI学習等は一切禁止しております。
©︎Starlight Parade / 木風 やまいも
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