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第四巻 Only
第9話「レコーディングと進学」
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派手なことなんて、何ひとついらない。
誰に見せるでもない、たった一人の人との、あたたかくて優しくて……
ふいに涙がこぼれそうになるような日々。
そんな気持ちを、ひとつひとつ丁寧に、音にしていく。
……この人となら、大丈夫だって。
……この人と、これからも、生きていけるって。
そう信じた、その瞬間の音だけを、私はこのピアノに込めた。
だから、テクニックなんて要らない。
正確さよりも、感情を。
音の粒よりも、願いを。
“あなたとだから、未来が欲しい”
この気持ちを、旋律に乗せて。
今、ここから、奏でよう。
たった一人の「あなた」に……届きますように。
鍵盤の温度は、思っていたよりも……優しかった。
最初の一音を奏でた瞬間、胸の奥で、何かが震えた。
これは……私の、ただ一人のための音楽。
君と出会った あの日の僕は
何も持たずに ただ不器用で
だけど君は 笑ってくれた
名前を呼ばれるたび 生きててよかったと思えた
セナ君の声が重なる。
あの日の夜、あの声が私を救ってくれた。
今、音になって……私に還ってくる。
初めて手を繋いだ あの瞬間も
今でも覚えてるよ ぎこちない温度さえ
メンバーのハーモニーが重なるたびに、“ひとりじゃない”って思えた。
世界中の言葉を並べたって
君への想いは語りきれない
一人じゃ描けなかった未来を
これからは二人で描いていこう
“あなた”と出会えた奇跡。
“あなた”と一緒にいる日常。
“あなた”と、これからも生きたいって願い。
この曲が……
誰かに届くように。
Only you Only one
誰よりも 君を愛してる
この先もずっと 君の隣で
永遠を奏でたい
最後のフレーズを弾き終え、そっと鍵盤から手を下ろす……
弾けた……
ママの前ですら弾けなくなって、もう3年……
「奏~~!!さいっっこう!!!!!」
「なんか自分が上手くなった気したな」
「本当に、鳥肌すごいんだけど」
「これ生で聴いたら泣かん奴おらんちゃう?」
「ちょっと……これは結婚したくなっちゃうよね」
「あ゛??シン、誰とだよ?」
「威嚇すんな」
ブースの外を見ると、立ち会ってくれた人たちが、拍手を送ってくれていた。
ガラス越しに見えるのは、真剣な表情の怜央さん。
ほんの一枚しか隔てていないのに……
すごく遠くに感じた。
それでも、ヘッドホンをつけてマイクの前に立った怜央さんの背中からは、いつもとは違う空気が伝わってくる。
「じゃあ、Bメロからいこうか。入りはさっきより少し優しく。
“その笑顔を”の“を”を、もう少し開けると、言葉が届きやすくなると思う」
モニター越しに、小暮さんが穏やかな声で指示を出す。
「了解です」
怜央さんの声は、普段から色っぽいけれど……
今、一瞬でさらに艶を増した気がした。
すごい……
プロって、こうやって瞬時に変われるんだ。
「そのままCメロまで流して録っちゃおうか。
『君となら』の“な”、少しハネ気味に歌ってくれるとグルーヴ感出ると思う。伝わる?」
「伝わります。“な”ですね、了解です」
あんなに細かく指示されてるのに、戸惑わずにすぐ応じる。
何度も録ってきたはずの曲なのに、飽きた素振りもなく、一つ一つのテイクに向き合ってる。
「音羽さん、どうかな?」
「はい、良かったと思います。
……誰か一人のことを想って歌っているような、そんな歌声でした」
私が書いた曲が、こんな風に仕上がっていくんだ……
胸の奥が、じんわりと熱くなった。
怜央さんが歌い終えてブースを出てくると、次はセナ君。
「『Only you, Only one』のフレーズ、さっきのも良かったけど……
次は、“君だけ”って感じでもう少し溜めてもらえる?」
「……了解。ちょっと試してみる」
ふわっと笑って、マイクの前に立った瞬間……
空気が、ガラリと変わった。
さっきの「了解」と違う。
声が切り替わった。
喋り方も、トーンも、まるでスイッチが入ったみたいに。
一転して、
たったひとつの「愛してる」にさえ意味を宿すような……
そんな息遣い。
「うん、それそれ。それ、めっちゃいい!……今の溜め、最高だったよ!」
「ならOK出してよ。……もう帰りたいんだけど」
「ダメダメ、もうワンテイクだけ!」
笑いが起きても、音は止まらない。
録音ブースの中には、確かに“本物のプロの仕事”があった。
誰かの歌を、こんなに真剣に聴いたのは……
もしかしたら、初めてかもしれない。
椿さんの歌は、どこか余裕があって、でもちゃんと伝わってきた。
ふざけてるように見せて、じつは一番、人の気持ちを読んでるのかもしれない。
信さんは、まるで手紙みたいに丁寧に言葉を置いていく。
静かなのに、心の奥の奥までちゃんと届いてくる声だった。
蓮くんは、ちょっとテンポが走るところもあったけど、そのまっすぐさが今の彼を映しているようで、愛おしかった。
真央くんの声には、“誰かのために歌いたい”って気持ちが、もう隠しきれないくらい詰まっていた。
年下なのに……ううん、年下だからこそ、ああいう歌が歌えるのかもしれない。
遊里君の声は、ふわふわしてるのに、不思議と芯があって、“好き”っていう気持ちがそのまま音になったみたいだった。
この曲が……
私の音が……
ちゃんと“誰かの気持ち”になるんだ。
胸が、じんわりと温かくなる。
ここ数日でプロの現場に立ち会って……
改めて、自分が向き合わなきゃいけない問題が、見えてきた気がした。
季節は冬に差しかかっていた。
「で、留学する気は無いのね?」
ママなら、きっとそう言うと思ってた。
でも、私がやりたいことを両立させるには……
今の私には、日本でしかできないことなんだよ。
「大学の目星はついているのかい?」
「……やっぱり、音大を考えてる」
またママを失望させてしまうかもしれない。
でも……私が学びたいことは、もう決まっている。
「私は、作曲科がある大学に進みたいの」
私の未来には、ピアノも、作曲も、スターライトパレードのみんなも……
もう、切り離せないと思った。
「ピアノの練習は……絶対に欠かさない。だから……お願いします」
ママの口元がすっと引き締まる。
「日本の音大なんて、ぬるま湯よ。世界では通用しない」
やっぱり、ママならそう言うよね……
私は、何も言い返せなかった。
でも、自分で選んだ道を、引っ込めるつもりもなかった。
その空気を切るように、パパが口を開く。
「ただ……藝大なら話は別じゃないかな」
「……藝大?」
「欧州の音楽大学と比べても、カリキュラムも研究もかなり高度だし、何より……あそこには本物の音楽家を育てる土壌がある。
海外との繋がりも強いから、進学後に留学や研究で世界に出る道も、ちゃんと用意されてる」
「……でも、あなた……」
「奏は今、“日本にしかない場所”で、“今しかできない音楽”をやってる。
それを守りながら学ぶには、藝大が最適なんじゃないかと思うんだよ」
藝大……
名前だけは聞いたことがある。
「音楽の世界は、才能だけじゃ通用しない場面も多い。
実績も、肩書きも、信頼も……全部が“音”の評価に影響する。
でも……藝大なら、それらを築く“土台”になる」
確かに、日本でも有名なアーティストをたくさん輩出している大学。
「藝大出身ってだけで、業界が振り向く場所もあるし、卒業後の繋がりは、君を守ってくれる“名前”にもなる」
私を、守る名前……
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ふいに涙がこぼれそうになるような日々。
そんな気持ちを、ひとつひとつ丁寧に、音にしていく。
……この人となら、大丈夫だって。
……この人と、これからも、生きていけるって。
そう信じた、その瞬間の音だけを、私はこのピアノに込めた。
だから、テクニックなんて要らない。
正確さよりも、感情を。
音の粒よりも、願いを。
“あなたとだから、未来が欲しい”
この気持ちを、旋律に乗せて。
今、ここから、奏でよう。
たった一人の「あなた」に……届きますように。
鍵盤の温度は、思っていたよりも……優しかった。
最初の一音を奏でた瞬間、胸の奥で、何かが震えた。
これは……私の、ただ一人のための音楽。
君と出会った あの日の僕は
何も持たずに ただ不器用で
だけど君は 笑ってくれた
名前を呼ばれるたび 生きててよかったと思えた
セナ君の声が重なる。
あの日の夜、あの声が私を救ってくれた。
今、音になって……私に還ってくる。
初めて手を繋いだ あの瞬間も
今でも覚えてるよ ぎこちない温度さえ
メンバーのハーモニーが重なるたびに、“ひとりじゃない”って思えた。
世界中の言葉を並べたって
君への想いは語りきれない
一人じゃ描けなかった未来を
これからは二人で描いていこう
“あなた”と出会えた奇跡。
“あなた”と一緒にいる日常。
“あなた”と、これからも生きたいって願い。
この曲が……
誰かに届くように。
Only you Only one
誰よりも 君を愛してる
この先もずっと 君の隣で
永遠を奏でたい
最後のフレーズを弾き終え、そっと鍵盤から手を下ろす……
弾けた……
ママの前ですら弾けなくなって、もう3年……
「奏~~!!さいっっこう!!!!!」
「なんか自分が上手くなった気したな」
「本当に、鳥肌すごいんだけど」
「これ生で聴いたら泣かん奴おらんちゃう?」
「ちょっと……これは結婚したくなっちゃうよね」
「あ゛??シン、誰とだよ?」
「威嚇すんな」
ブースの外を見ると、立ち会ってくれた人たちが、拍手を送ってくれていた。
ガラス越しに見えるのは、真剣な表情の怜央さん。
ほんの一枚しか隔てていないのに……
すごく遠くに感じた。
それでも、ヘッドホンをつけてマイクの前に立った怜央さんの背中からは、いつもとは違う空気が伝わってくる。
「じゃあ、Bメロからいこうか。入りはさっきより少し優しく。
“その笑顔を”の“を”を、もう少し開けると、言葉が届きやすくなると思う」
モニター越しに、小暮さんが穏やかな声で指示を出す。
「了解です」
怜央さんの声は、普段から色っぽいけれど……
今、一瞬でさらに艶を増した気がした。
すごい……
プロって、こうやって瞬時に変われるんだ。
「そのままCメロまで流して録っちゃおうか。
『君となら』の“な”、少しハネ気味に歌ってくれるとグルーヴ感出ると思う。伝わる?」
「伝わります。“な”ですね、了解です」
あんなに細かく指示されてるのに、戸惑わずにすぐ応じる。
何度も録ってきたはずの曲なのに、飽きた素振りもなく、一つ一つのテイクに向き合ってる。
「音羽さん、どうかな?」
「はい、良かったと思います。
……誰か一人のことを想って歌っているような、そんな歌声でした」
私が書いた曲が、こんな風に仕上がっていくんだ……
胸の奥が、じんわりと熱くなった。
怜央さんが歌い終えてブースを出てくると、次はセナ君。
「『Only you, Only one』のフレーズ、さっきのも良かったけど……
次は、“君だけ”って感じでもう少し溜めてもらえる?」
「……了解。ちょっと試してみる」
ふわっと笑って、マイクの前に立った瞬間……
空気が、ガラリと変わった。
さっきの「了解」と違う。
声が切り替わった。
喋り方も、トーンも、まるでスイッチが入ったみたいに。
一転して、
たったひとつの「愛してる」にさえ意味を宿すような……
そんな息遣い。
「うん、それそれ。それ、めっちゃいい!……今の溜め、最高だったよ!」
「ならOK出してよ。……もう帰りたいんだけど」
「ダメダメ、もうワンテイクだけ!」
笑いが起きても、音は止まらない。
録音ブースの中には、確かに“本物のプロの仕事”があった。
誰かの歌を、こんなに真剣に聴いたのは……
もしかしたら、初めてかもしれない。
椿さんの歌は、どこか余裕があって、でもちゃんと伝わってきた。
ふざけてるように見せて、じつは一番、人の気持ちを読んでるのかもしれない。
信さんは、まるで手紙みたいに丁寧に言葉を置いていく。
静かなのに、心の奥の奥までちゃんと届いてくる声だった。
蓮くんは、ちょっとテンポが走るところもあったけど、そのまっすぐさが今の彼を映しているようで、愛おしかった。
真央くんの声には、“誰かのために歌いたい”って気持ちが、もう隠しきれないくらい詰まっていた。
年下なのに……ううん、年下だからこそ、ああいう歌が歌えるのかもしれない。
遊里君の声は、ふわふわしてるのに、不思議と芯があって、“好き”っていう気持ちがそのまま音になったみたいだった。
この曲が……
私の音が……
ちゃんと“誰かの気持ち”になるんだ。
胸が、じんわりと温かくなる。
ここ数日でプロの現場に立ち会って……
改めて、自分が向き合わなきゃいけない問題が、見えてきた気がした。
季節は冬に差しかかっていた。
「で、留学する気は無いのね?」
ママなら、きっとそう言うと思ってた。
でも、私がやりたいことを両立させるには……
今の私には、日本でしかできないことなんだよ。
「大学の目星はついているのかい?」
「……やっぱり、音大を考えてる」
またママを失望させてしまうかもしれない。
でも……私が学びたいことは、もう決まっている。
「私は、作曲科がある大学に進みたいの」
私の未来には、ピアノも、作曲も、スターライトパレードのみんなも……
もう、切り離せないと思った。
「ピアノの練習は……絶対に欠かさない。だから……お願いします」
ママの口元がすっと引き締まる。
「日本の音大なんて、ぬるま湯よ。世界では通用しない」
やっぱり、ママならそう言うよね……
私は、何も言い返せなかった。
でも、自分で選んだ道を、引っ込めるつもりもなかった。
その空気を切るように、パパが口を開く。
「ただ……藝大なら話は別じゃないかな」
「……藝大?」
「欧州の音楽大学と比べても、カリキュラムも研究もかなり高度だし、何より……あそこには本物の音楽家を育てる土壌がある。
海外との繋がりも強いから、進学後に留学や研究で世界に出る道も、ちゃんと用意されてる」
「……でも、あなた……」
「奏は今、“日本にしかない場所”で、“今しかできない音楽”をやってる。
それを守りながら学ぶには、藝大が最適なんじゃないかと思うんだよ」
藝大……
名前だけは聞いたことがある。
「音楽の世界は、才能だけじゃ通用しない場面も多い。
実績も、肩書きも、信頼も……全部が“音”の評価に影響する。
でも……藝大なら、それらを築く“土台”になる」
確かに、日本でも有名なアーティストをたくさん輩出している大学。
「藝大出身ってだけで、業界が振り向く場所もあるし、卒業後の繋がりは、君を守ってくれる“名前”にもなる」
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