頼ってください!と教え子たちがうるさいので、ソロ討伐を引退した俺をもらってくれる奇特な誰かがいるそうです

波乃宮

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恋灯を手に入れろ!②

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「信じられねぇ……。あの問題で普通、はずさねえって」

 くちびるをとがらせて文句を言うラザリオの横でルウェリンが哀れむような顔をした。
 ラザリオの担当クラスは、閃風祭でパティスリーを運営する。
 生徒たちが用意した清潔感のあるコスチュームは、手足が長くスタイルのいい親友に似合っていた。
 
 白いシャツにエプロン、キャスケット。  モノトーンでシンプルにまとめた制服姿は大好評で他クラスの生徒たちも一目見ようと探し回っていた。
 ルウェリンは制服にフリルや花の装飾を追加する閃風祭ならではの装いに変えられたことに不満げだった。
 こういうのはやりたい人だけやったらいいと文句を並べていたけれど、フリルも花も彼を飾るにはぴったりである。
 
 三人一組でのクイズバトル決勝戦。
 解答権を得るためのボタン早押しダッシュに競り勝ってくれたのはラザリオだ。
 教室からグランドまで魔法なしのガチ疾走。勝者としてコメントを求められて『三十代にはきついです』と観衆を笑わせた親友のパフォーマンスは完璧だった。
 
 解答者がルウェリンとラザリオ。
 問題ごとに指定される場所に立てられたフラッグを誰よりも先につかむのがヴィユ。
 それぞれの適正に合わせて、役割分担をしていたのに、魔法無しでも最短ルートを進み、他の参加者に大差で勝ったヴィユを見てシャッフルルールが追加されてしまった。
 解答者とフラッグレース参加者は、毎回ポジションを変更しなければならない。
 あと付けのルールのせいで、クイズの予習をまったくしていなかったヴィユは一度も正解を答えられなかった。

『では問題です! 学園長が2番目になるのは、何の順番でしょうか?』

 教職員をよく知らないゲストには難しいかもしれない。けれど職員室に出入りする現役の教師なら、誰もが答えられるサービス問題のはずだった。

「身長順じゃなさそうだったから、何となく足の大きさとかかもって思うだろ」
「はあ? 思わねぇよ。俺も学園長の靴のサイズは知らねぇけど、大きい方からも小さい方からも2番目ってことは絶対にないだろ!」

 現在得点数では2位に着けているものの、次がラストのクイズになるので、ここからの巻き返しは無理だろう。
 5位までは入賞扱いなので、コイン数はゼロではない。
 順位によって褒賞の差が大きく変わるため、ヴィユたちより下位のグループも次の問題には全力で挑んでくる。

「次は僕が解答します。今までの傾向からいくと次は学園の施設に関する出題になりそうです。ヴィンバウム先生は、先ほどの失敗を取り戻すためにも必ずフラッグを奪い取ってください」

 淡々とした物言いだが、解答のたび足を引っ張ってしまったヴィユをまだ信じてくれている。
 生徒の期待に応えなければ、教師としてダメダメである。

「ここは任せてくれ」
「頼むぞ、ヴィユ! 泣いても笑ってもここがラストだ!」

 力づけるようにラザリオがぽんと肩に手を乗せた。
 真似してくれても構わないのに、軽々しく触れてもいいのか、人の目が気になるルウェリンは、年相応の純朴さを見せてくれる。

 スタートを告げる笛が鳴り、参加者は一斉に駆け出す。
 魔法さえ使わなければ、どんなルートを使うのも自由だ。
 フラッグがはためく目的地はグランド中央。ヴィユは階段を使う正規ルートではなく、窓から渡り廊下の屋根に飛び降り、グランドへ最初に降り立った。
 柔軟な身体能力はハイミアの特性だが、ヴィユの場合はそれに加えて実戦仕様で鍛えている。
 追いかけてくる若者たちを振り切ってフラッグをつかんだ時、解答権を得たルウェリンが問題に答えた。

 それが正しいものであることを見ていた誰もが知っていた。

 
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