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恋する猫はRTAの夢を見るか④
しおりを挟む『また日を改めて、色々話を聞いてあげなきゃね』
月に数回ペースではなく、週に数回ペースで飲み会予定を入れていくナディルを止められる気はしなかった。
【ラズくんを励ます会】は彼女の主導で、おそらく3回は開催されそうだった。
気まぐれに止まる枝を変え、気分次第で他へ飛び立つ。
歌うような口調と透き通る声も小鳥の特性そのもので、赤い飾羽を見せなくても彼女が瑠璃鳥種だと気づく者は多いだろう。
それぞれが自宅や寮に帰っていく途上、
軽やかに歩く彼女は綺麗な鳥そのものだった。
『テオドアくんにも望みありそうだった?
彼はライラント研究機関附属のアカデミアに通ってるんだけど、特別扱いされたくないからって偽名を使ってるの』
一般生徒の情報を学校が外部に開示することはない。
ただし研究発表や大会参加した生徒については報道もされているため、その気になればいくらでも情報が引っ張れる。
『ラザリオはワンコみたいだって言ってた』
『印象はひとによって違うでしょうね。調べたいなら、名前を教えてあげましょうか?』
『いや、そのうち顔を見る機会もありそうだ。事前情報は入れずにおく』
『そう? じゃあ私は余計なこと喋らないようにしとくわね』
寮に戻って手早く入浴を済ませ、ヴィユはベッドに寝転がる。
ナディルにはそっけなく答えたけれど、テオドアに関心がないわけではない。
ルウェリンと同世代の真面目な男子学生。年の差や関係性が自分たちに似てるなら、この先どう転がるか興味はある。
ラザリオは惚れっぽいが、考えなしに心を捧げているわけでもない。
年上なら十以上離れていても気にしないが、自分より五つ以上若い相手には一線を引いて恋愛対象から外す慎重さもある。
『若い子にこっちからのめり込むとか絶対ダメだろ。どうしても向こうに我慢させるじゃん。必死に合わせんのも無理が出るし、俺もこの年の時はそうだったなってオジサン目線でしか見れないんだよなぁ』
自分は年上にも果敢に迫っていくくせに、勝手な言い分だと思うのだが自衛としては間違っていない。
まだ二十歳のルウェリンに恋した馬鹿な教師を世間は白い目で見るだろう。
誰に見せるわけでもないくたびれた寝間着の上下を脱ぎ、首からへそのあたりまでゆっくりと指を這わせ、肌の弾力を確かめる。
今のヴィユは、本来の年齢よりもルウェリンに近い。
ハイミアも加齢がゆるやかな種族ではあるけれど、学生たちと比べれば本当の若さというものを失っている。
出してしまいたい欲もないのに、下着を腿までずらして前にふれる。
ダンスのために組み合わせた手、すぐそばで感じたやわらかな息遣い。
ルウェリンをここに思い描くのは今なら容易い。それは良くないことだと理性が警鐘を鳴らす。
優しい声で名を呼ばれて、頬を手のひらが包み込む。
好きです。もっと触れたい。
熱を帯びた囁きに胸が震えて、刺激を与える指は大胆になる。
少し強く握って、こすって。
先端の弱いところをいじめる手つきに迷いはない。
いつもはわずらわしさばかり感じていたのに、なめらかな皮膚の感触が気持ちよくて鼻にかかった声がもれる。
他の相手を思い浮かべるのも問題だが、具体的にルウェリンを想像に招くのもどうなのだろう。
前にしか触れていないけれど、奥を指で拓いたらもっといいだろうか。
視認した指の質量を内に入れる妄想に、理性が麻痺していく。
指の動きを早めて熱くのぼりつめて上りいく中で、未来の恋人の名がこぼれ落ちた。
「ルゥ……」
その声に呼応したように空間が大きく揺らぎ、見覚えのある魔法が展開されていく。
呼ばれてないのに召喚されてきたルウェリンは、ヴィユの状況にすぐ気づき顔を真っ赤に染めあげた。
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