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その障壁を越える者
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「これは想像以上だな」
学舎より高い建造物を見上げたラザリオが第一印象を述べた。
仮設されたアスレチックコースは大掛かりなもので、学校主催のイベントとは思えない予算のかけ方をしていた。
フィールド魔法と組み合わせれば、多種多様な仕掛けを用意出来る。
実戦慣れしたヴィユでも規定時刻でクリアできるかどうか、やってみないとわからなかった。
ソロ討伐に比べたら、このくらいは容易いなどという驕りは身体の動きを鈍らせる。
未知のものに立ち向かう高揚感、一歩間違えば命さえ落とすかもしれないという緊張感。その両方を併せ持つ者だけが勝者でいられるのだとヴィユは身をもって知っている。
今日の見学会で詳細が発表されるということで、参加するとは思えない人間も集まってきていた。
防犯ギミックのテストも兼ねていると言っていたので、出資した研究施設や教育機関の職員もこの場にいるはずである。
予選通過の条件だけでなく、細かい規定を聞いておかなければルール違反で失格ということもありそうだった。
身体能力に優れた種族や強力を誇る種族もいるし、身の軽さや跳躍に特化した者もいる。
公平に勝負をするなら、魔法使用範囲やハンデなど細かい調整が必要になってくるはずだ。あまりに露骨なハンデや目こぼしはイベントの楽しさを半減させ、競技者同士の反発を生むだろう。
こういう大掛かりな企画は、各方面への配慮を重んじてつまらないものになりがちなのである。
つい運営側の気持ちになってしまったヴィユは、腕や足を動かしウォーミングアップを始めたラザリオに倣った。
魔法で補強されたテストコースを希望者は試走できるらしい。
挑戦者大歓迎です! 改善案のためにもお願いします! と声を張り上げていた学生にとって、初見でこのコースを踏破してもらえるのは理想だろう。
「ここまで来たんだから、やってみようぜ。ウチでもこういうのやる場合の参考にもなるだろ?」
こちらの返事も聞かず、先に行って一番乗りの参加を決めてしまったラザリオにヴィユは従った。
ざっと見ただけでも跳躍や筋力だけを鍛えている人間では全体の半分も進めないだろう。
障害物タイムアタックの経験はないが、生徒たちに指導する立場の人間がこの程度の難易度で立ちすくむなんてあってはならない。
「ヴィユって、こういうのと対峙する時が一番、冴えてる顔すんだよな」
気合を入れるためにバシッと背中を叩いてくるラザリオもいつもは見せない闘志を燃やしている。
この程度に恥をかかされる自分を二人とも想定していなかった。フィールド魔法と魔法装置が現段階でどこまで使い物になっているかはわからないが、伸び盛りの生徒たちと実戦を行うよりも気が楽だった。
「ラザリオだって、弱っちいのを気持ちよく叩きのめしていくの好きだろ?」
「……そりゃあ、まぁ」
親友は頭脳派に見えて、割とパワーで解決まで持っていくタイプの人間だとヴィユは知っている。
コースを視認し、自分を駒のように動かして最短距離での攻略ルートを探し出すまでかかった時間はごくわずかだった。
初めてやり合う相手には常に冷静に対処しなければならないのだ。
「それではお二人とも準備はよろしいですか?」
スタートを知らせる旗を持った学生が風を切るように大きく腕を振った。
学舎より高い建造物を見上げたラザリオが第一印象を述べた。
仮設されたアスレチックコースは大掛かりなもので、学校主催のイベントとは思えない予算のかけ方をしていた。
フィールド魔法と組み合わせれば、多種多様な仕掛けを用意出来る。
実戦慣れしたヴィユでも規定時刻でクリアできるかどうか、やってみないとわからなかった。
ソロ討伐に比べたら、このくらいは容易いなどという驕りは身体の動きを鈍らせる。
未知のものに立ち向かう高揚感、一歩間違えば命さえ落とすかもしれないという緊張感。その両方を併せ持つ者だけが勝者でいられるのだとヴィユは身をもって知っている。
今日の見学会で詳細が発表されるということで、参加するとは思えない人間も集まってきていた。
防犯ギミックのテストも兼ねていると言っていたので、出資した研究施設や教育機関の職員もこの場にいるはずである。
予選通過の条件だけでなく、細かい規定を聞いておかなければルール違反で失格ということもありそうだった。
身体能力に優れた種族や強力を誇る種族もいるし、身の軽さや跳躍に特化した者もいる。
公平に勝負をするなら、魔法使用範囲やハンデなど細かい調整が必要になってくるはずだ。あまりに露骨なハンデや目こぼしはイベントの楽しさを半減させ、競技者同士の反発を生むだろう。
こういう大掛かりな企画は、各方面への配慮を重んじてつまらないものになりがちなのである。
つい運営側の気持ちになってしまったヴィユは、腕や足を動かしウォーミングアップを始めたラザリオに倣った。
魔法で補強されたテストコースを希望者は試走できるらしい。
挑戦者大歓迎です! 改善案のためにもお願いします! と声を張り上げていた学生にとって、初見でこのコースを踏破してもらえるのは理想だろう。
「ここまで来たんだから、やってみようぜ。ウチでもこういうのやる場合の参考にもなるだろ?」
こちらの返事も聞かず、先に行って一番乗りの参加を決めてしまったラザリオにヴィユは従った。
ざっと見ただけでも跳躍や筋力だけを鍛えている人間では全体の半分も進めないだろう。
障害物タイムアタックの経験はないが、生徒たちに指導する立場の人間がこの程度の難易度で立ちすくむなんてあってはならない。
「ヴィユって、こういうのと対峙する時が一番、冴えてる顔すんだよな」
気合を入れるためにバシッと背中を叩いてくるラザリオもいつもは見せない闘志を燃やしている。
この程度に恥をかかされる自分を二人とも想定していなかった。フィールド魔法と魔法装置が現段階でどこまで使い物になっているかはわからないが、伸び盛りの生徒たちと実戦を行うよりも気が楽だった。
「ラザリオだって、弱っちいのを気持ちよく叩きのめしていくの好きだろ?」
「……そりゃあ、まぁ」
親友は頭脳派に見えて、割とパワーで解決まで持っていくタイプの人間だとヴィユは知っている。
コースを視認し、自分を駒のように動かして最短距離での攻略ルートを探し出すまでかかった時間はごくわずかだった。
初めてやり合う相手には常に冷静に対処しなければならないのだ。
「それではお二人とも準備はよろしいですか?」
スタートを知らせる旗を持った学生が風を切るように大きく腕を振った。
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