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ぼっちと幼女
幼女とお風呂
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風呂を上がる頃には、新しく作った服に入れ替えておこう。
服の造形に関しては、さっき脱いだものと似ている感じだが、色や素材を少し変えてある。
見慣れた形のまま、触り心地や雰囲気だけ変えてやれば、きっと安心して、なおかつ喜んで着てくれるだろう。
「にーに! はやく!」
「滑るから風呂場は走るなよ」
「わかった!」
元気よく返事をしたその足で、シロは風呂場へと駆け出した。
……走るなって言ったと思うんだが。
「転んでも知らないぞ……」
小さくため息を吐きつつ、腰布を洗濯カゴに投げ入れてから、俺も風呂場に入る。
中では、ミドリがきょろきょろとあたりを見回しながら、こちらを凝視していた。
「おにーちゃ……」
「なんだ?」
「これなに……?」
ミドリが、控えめな仕草でシャワーを指差して聞いてくる。
そうか、風呂場そのものが初めてだから、目に入るもの全てが珍しいのか。
「それはな、ここを捻ると温かい水が出るんだ。ホラっ」
ひねる部分を軽く回すと、シャワーヘッドからお湯がざあっと流れ落ちる。
「……!」
ミドリの目が見開かれ、息を呑んだ気配が伝わってくる。
「なにそれー!」
奥のほうからシロが走ってこっちにくる足音がした。
そして――案の定。
ツルッと見事に足を滑らせ、そのままシロの頭が床に向かって一直線に落下――
……する前に、魔法で風のクッションを作って受け止める。
走るなと、あれほど……。
「今みたいに転んで危ないから、走るなよ?」
「わかったー……にーに、ありがとう……」
転ぶ怖さが分かったのか、シロがしょんぼりと肩を落としながら礼を言った。
さっきまで騒がしかったシロが急に静かになったので、浴室にひとときの静寂が訪れる。
見かねたのか、ミドリがそっと口を開いた。
「あったかいのがでるの…!」
「なるほどー? にーに、ここでなにするの?」
「体を洗うんだ」
シロが「何言ってるんだコイツ」みたいな顔でこっちを見る。
その視線はやめろ。こちとら天然素材でシャンプーと石鹸まで用意したんだぞ……?
「さて、どっちから洗われたい?」
「ミドリから!」
「……!?」
すごい勢いでミドリがシロの方を向いた。
驚きと、「姉に売られた」みたいな悲しみとで、顔がぐちゃぐちゃになっている。
「じゃあシロからな」
「やだー!」
「やった……!」
「はい、シロ確保」
「つかまった……!?」
逃げようとしていたシロの脇を抱え、そのままくるりとこちら側に向ける。
もがいていたのも最初だけで、すぐに観念したのか大人しくなった。
「頭から洗うぞー」
「いたくしない?」
「大丈夫だ。目に入ると痛いから、目を瞑ってろよ」
「わかった!」
シロの頭にそっと手を置き、指の腹で髪をかき分ける。
近くで見ると、髪が結構傷んでいるのが分かる。
乾燥していて、ところどころ絡まり、切れ毛も多い。
これはよろしくないな。
魔力を光属性に変換して、治癒の効果をうっすら流しながら頭を洗ってみるか。
泡立てたシャンプーを髪に馴染ませ、指先で優しく地肌をマッサージするように洗っていく。
最初はくすぐったさ半分、不安半分といった顔をしていたシロの表情が、
段々ととろけたような恍惚の表情に変わっていく。
「そこ、きもちいい……」
思わず漏れた声に、少し笑ってしまう。
ひと通り洗い終わったので、シャワーのお湯の温度を調整する。
「流すぞ」
「うん!」
シャワーを頭頂部に当てて、シャンプーを丁寧に流していく。
泡がすべて流れ落ちた頃には、さっきまでぱさぱさだった髪が、
しっとりとした光沢を取り戻しているのが分かった。
光属性様様だ。
「次は体だな」
「あいっ!」
シロがぴしっと気をつけをして、こちらに向き直る。
……うん、全体的に細いな。
肋骨が浮き出るほどではないが、明らかに肉が足りていない。
今後はしっかりしたものを食べさせていけば、多分すぐに肉付きも良くなっていくだろう。そうなってほしい。
ボディタオルに石鹸を擦り付け、よく泡立たせる。
肩から腕、背中、胸、お腹、脚と、上から順に洗っていく。
「にーにっ……くすぐったい……!」
変な声出すな。
なんかすごい背徳感に駆られるだろ。
「よし、終了だ」
最後に足先まで洗い終えて、泡をシャワーで綺麗に流す。
「おはだすべすべー!」
シロが自分の腕を撫でながら、嬉しそうに声を上げる。
「いいだろ? 次はミドリだ」
「……やさしく」
「任せろ」
ミドリの頭にも同じように魔力を流しながら、シャンプーを馴染ませていく。
ミドリは髪が短めなので、洗いやすい。
そのぶん、地肌に触れる指の感触を敏感に感じるのか、時折びくっと肩を震わせている。
「流すぞ」
「うん……」
シャワーで泡を丁寧に落としていく。
ついでに、シャワーヘッドを魔法で固定しておいて、その間にボディタオルに石鹸を付けて泡を立たせる。
「よし、こっち向いてくれ」
「……はい」
ミドリもシロと同じくらい細い。
肩も二の腕も、きゅっとしているというより、ただただ華奢だ。
しっかり食べさせよう、と改めて心に誓う。
上から順に優しく洗っていくとくすぐったそうに身をよじる。
シロは「くすぐったい」と口に出していたが、ミドリは声を堪えようとして、咳払いのような声になっている感じだ。
ボディタオルと泡の触感に慣れていないせいもあるのだろう。
全身を洗い終えたところで、泡をしっかり流す。
「さあ、浴槽に浸かるぞ」
「いくぞー!」
「おー……!」
二人が勢い良く浴槽へ向かっていき――そのまま助走をつけて飛び込もうとした。
おい、プールじゃないんだから飛び込みは禁止だぞ。
飛び込む直前、二人の体に【遮断結界】を展開する。
ありとあらゆる衝撃を遮断する魔法だ。
水面に叩きつけられても痛くない、簡易バリアコーティングみたいなものだな。
ちゃぽん、と大きめの音を立てて、二人の体が湯に沈み込む。
「あったかい!」
「きもちいい…」
「落ちたな」
湯船の中で、二人とも締まりのない顔で笑っている。
頬がゆるみ、目尻が下がり、まさに「風呂の喜びを知った顔」だ。
「ぽへー……」
シロが、力を抜いてぷかぷかと浮いている。
ここは家だからな、銭湯のマナーだの掛け湯だのを厳しく教える必要はない。
今はとにかく、風呂というものを気持ちよく感じてもらえればそれでいい。
その後、湯の温かさと日中の疲れもあって、シロとミドリが逆上せたので、
2人を抱えて風呂場から連れ出し、タオルでしっかり体を拭いて寝室へ運び、布団に寝かせることになった。
頬をうっすら赤く染めたままの寝顔をぼんやり眺めていたら、
心地よい湯の余韻に引きずられるように、俺もそのまま眠りに落ちた。
服の造形に関しては、さっき脱いだものと似ている感じだが、色や素材を少し変えてある。
見慣れた形のまま、触り心地や雰囲気だけ変えてやれば、きっと安心して、なおかつ喜んで着てくれるだろう。
「にーに! はやく!」
「滑るから風呂場は走るなよ」
「わかった!」
元気よく返事をしたその足で、シロは風呂場へと駆け出した。
……走るなって言ったと思うんだが。
「転んでも知らないぞ……」
小さくため息を吐きつつ、腰布を洗濯カゴに投げ入れてから、俺も風呂場に入る。
中では、ミドリがきょろきょろとあたりを見回しながら、こちらを凝視していた。
「おにーちゃ……」
「なんだ?」
「これなに……?」
ミドリが、控えめな仕草でシャワーを指差して聞いてくる。
そうか、風呂場そのものが初めてだから、目に入るもの全てが珍しいのか。
「それはな、ここを捻ると温かい水が出るんだ。ホラっ」
ひねる部分を軽く回すと、シャワーヘッドからお湯がざあっと流れ落ちる。
「……!」
ミドリの目が見開かれ、息を呑んだ気配が伝わってくる。
「なにそれー!」
奥のほうからシロが走ってこっちにくる足音がした。
そして――案の定。
ツルッと見事に足を滑らせ、そのままシロの頭が床に向かって一直線に落下――
……する前に、魔法で風のクッションを作って受け止める。
走るなと、あれほど……。
「今みたいに転んで危ないから、走るなよ?」
「わかったー……にーに、ありがとう……」
転ぶ怖さが分かったのか、シロがしょんぼりと肩を落としながら礼を言った。
さっきまで騒がしかったシロが急に静かになったので、浴室にひとときの静寂が訪れる。
見かねたのか、ミドリがそっと口を開いた。
「あったかいのがでるの…!」
「なるほどー? にーに、ここでなにするの?」
「体を洗うんだ」
シロが「何言ってるんだコイツ」みたいな顔でこっちを見る。
その視線はやめろ。こちとら天然素材でシャンプーと石鹸まで用意したんだぞ……?
「さて、どっちから洗われたい?」
「ミドリから!」
「……!?」
すごい勢いでミドリがシロの方を向いた。
驚きと、「姉に売られた」みたいな悲しみとで、顔がぐちゃぐちゃになっている。
「じゃあシロからな」
「やだー!」
「やった……!」
「はい、シロ確保」
「つかまった……!?」
逃げようとしていたシロの脇を抱え、そのままくるりとこちら側に向ける。
もがいていたのも最初だけで、すぐに観念したのか大人しくなった。
「頭から洗うぞー」
「いたくしない?」
「大丈夫だ。目に入ると痛いから、目を瞑ってろよ」
「わかった!」
シロの頭にそっと手を置き、指の腹で髪をかき分ける。
近くで見ると、髪が結構傷んでいるのが分かる。
乾燥していて、ところどころ絡まり、切れ毛も多い。
これはよろしくないな。
魔力を光属性に変換して、治癒の効果をうっすら流しながら頭を洗ってみるか。
泡立てたシャンプーを髪に馴染ませ、指先で優しく地肌をマッサージするように洗っていく。
最初はくすぐったさ半分、不安半分といった顔をしていたシロの表情が、
段々ととろけたような恍惚の表情に変わっていく。
「そこ、きもちいい……」
思わず漏れた声に、少し笑ってしまう。
ひと通り洗い終わったので、シャワーのお湯の温度を調整する。
「流すぞ」
「うん!」
シャワーを頭頂部に当てて、シャンプーを丁寧に流していく。
泡がすべて流れ落ちた頃には、さっきまでぱさぱさだった髪が、
しっとりとした光沢を取り戻しているのが分かった。
光属性様様だ。
「次は体だな」
「あいっ!」
シロがぴしっと気をつけをして、こちらに向き直る。
……うん、全体的に細いな。
肋骨が浮き出るほどではないが、明らかに肉が足りていない。
今後はしっかりしたものを食べさせていけば、多分すぐに肉付きも良くなっていくだろう。そうなってほしい。
ボディタオルに石鹸を擦り付け、よく泡立たせる。
肩から腕、背中、胸、お腹、脚と、上から順に洗っていく。
「にーにっ……くすぐったい……!」
変な声出すな。
なんかすごい背徳感に駆られるだろ。
「よし、終了だ」
最後に足先まで洗い終えて、泡をシャワーで綺麗に流す。
「おはだすべすべー!」
シロが自分の腕を撫でながら、嬉しそうに声を上げる。
「いいだろ? 次はミドリだ」
「……やさしく」
「任せろ」
ミドリの頭にも同じように魔力を流しながら、シャンプーを馴染ませていく。
ミドリは髪が短めなので、洗いやすい。
そのぶん、地肌に触れる指の感触を敏感に感じるのか、時折びくっと肩を震わせている。
「流すぞ」
「うん……」
シャワーで泡を丁寧に落としていく。
ついでに、シャワーヘッドを魔法で固定しておいて、その間にボディタオルに石鹸を付けて泡を立たせる。
「よし、こっち向いてくれ」
「……はい」
ミドリもシロと同じくらい細い。
肩も二の腕も、きゅっとしているというより、ただただ華奢だ。
しっかり食べさせよう、と改めて心に誓う。
上から順に優しく洗っていくとくすぐったそうに身をよじる。
シロは「くすぐったい」と口に出していたが、ミドリは声を堪えようとして、咳払いのような声になっている感じだ。
ボディタオルと泡の触感に慣れていないせいもあるのだろう。
全身を洗い終えたところで、泡をしっかり流す。
「さあ、浴槽に浸かるぞ」
「いくぞー!」
「おー……!」
二人が勢い良く浴槽へ向かっていき――そのまま助走をつけて飛び込もうとした。
おい、プールじゃないんだから飛び込みは禁止だぞ。
飛び込む直前、二人の体に【遮断結界】を展開する。
ありとあらゆる衝撃を遮断する魔法だ。
水面に叩きつけられても痛くない、簡易バリアコーティングみたいなものだな。
ちゃぽん、と大きめの音を立てて、二人の体が湯に沈み込む。
「あったかい!」
「きもちいい…」
「落ちたな」
湯船の中で、二人とも締まりのない顔で笑っている。
頬がゆるみ、目尻が下がり、まさに「風呂の喜びを知った顔」だ。
「ぽへー……」
シロが、力を抜いてぷかぷかと浮いている。
ここは家だからな、銭湯のマナーだの掛け湯だのを厳しく教える必要はない。
今はとにかく、風呂というものを気持ちよく感じてもらえればそれでいい。
その後、湯の温かさと日中の疲れもあって、シロとミドリが逆上せたので、
2人を抱えて風呂場から連れ出し、タオルでしっかり体を拭いて寝室へ運び、布団に寝かせることになった。
頬をうっすら赤く染めたままの寝顔をぼんやり眺めていたら、
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