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ぼっちと幼女
幼女と買い物準備
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2人と風呂を一緒に入ってから、あっという間に1週間が経った。
あの日から、風呂と寝るのは「3人セット」が完全に日課となってしまった。
湯を張れば当然のように2人がついてくるし、布団に潜れば当然のように両脇にくっついてくる。
ゆくゆくは自分で洗うことも覚えさせないといけないな、と頭の片隅では思っている。
のぼせた状態で寝かせたあの日からだろうか。
そして――いつの間にか「服を着ないで寝る」のが2人の中で当たり前になってしまったようだ。
無理やり着せて寝かせても、朝起きたら服を着ていない状況が多発したので、今は諦めた。
寝ている間に器用に脱ぎ捨てているらしい。どんなスキルだ、それは。
羞恥心を感じる年頃になれば、自然と直っていくことに賭けよう。
そして今まで2人とずっと遊んでいたが、ふと重要なことに気がついた。
――娯楽がない、ということだ。
俺が1人で過ごす分には何も問題はない。
魔法の研究でも鍛錬でも、やろうと思えばやることはいくらでもある。
だが、シロとミドリのことを考えると、何かしら「遊ぶもの」「楽しむもの」を用意してやらないといけない。
あと、調味料とかも欲しい。これは俺の切実な願いだ。
「よし、買い物に行くぞ」
「おー!」
今日の配置は、ミドリが肩車で、シロが膝の上に座っているパターンだ。
少し違うのは、シロが俺の方を向いているということ。
抱きついて、ちょうど鳩尾《みぞおち》の辺りに頭をぐりぐり押し付けてくる。
この歳で寸分狂わず鳩尾を狙ってくるとは将来有望だな。格闘センスがあるのかもしれない。
ミドリは、俺の頭の上で髪の毛をいじっている。
自分のとは髪質が違うようなので、触り比べでもしているのだろうか。
「なに……かう…ー?」
「欲しいものをメモして、みんなで買いに行くことにしよう」
「ほしいもの……?」
俺が欲しいものは、まず食事に使う調味料だな。
塩は、そこら辺の洞窟に岩塩が生えてるからどうにかなるが、それ以外は全部自家製だ。
醤油もどき、ソースもどき、味噌もどき。どれも「もどき」止まりで、しかも作るのにやたら手間がかかる。
割と手間なので、売っているといいんだが……。
後は、この世界の本だな。
実はここにいる皆――つまり俺とシロとミドリだが――全員、今のところ読み書きができない。
いや、シロとミドリに関しては、世界の加護のお陰で「読み」の方は自動で変換されて頭に入っているらしい。
推測でしかないが、俺の知らない文字を見ても普通に内容を理解している節がある。
ただ、「書き」に関しては自分で覚えないといけない。
取り敢えず、俺がこの世界の文字を覚えて、そのあと2人に教える流れにしたい。
「ほしいもの……ない」
「にーにがいればいいかなー」
「嬉しいことを言ってくれるじゃないの」
1週間で他に変わったことと言えば、懐き度が青天井で上昇していることだろう。
朝起きてリビングに向かう時は、足にしがみついて移動。
飯を食うときは、なぜか俺の正面ではなく、横にぴったりくっついて座るようになった。
風呂と寝るときもそうだが、トイレ以外は俺から50センチ以上離れない。
「まち……いく……?」
「ああ、そんなに時間はかからないみたいだぞ」
1番近い街が、ここから二千キロ近く離れたところにあるのが、魔力感知で分かった。
因みに、俺たちがいる場所は森の中心部のようだった。
世界地図で見たら、確実に「ここ行っちゃダメ」って赤く塗られる場所だ。
五百キロ離れたところに、よく分からない気配もあったが、動く感じがなかったので頭の片隅にしまっておくことにした。
ああいう「よく分からないもの」は、基本的に関わると碌なことがない。
「本当に欲しいものが無いのか?」
「ない!」
「ない……」
そうか……。
街を見ながら、屋台の買い食いでもして、何か気に入ったものがあれば買ってやるか。
金に関しては、魔物の素材を売ればどうにでもなるだろう。
この森で2万年近く暮らした結果、「希少素材」の在庫だけは山ほどある。
「よし、今日はもう夕方だから準備だけして、明日出発だ」
シロとミドリを装備したまま立ち上がる。
そのまま素材倉庫に向かった。
素材倉庫の中に入ると、しがみ付いていたシロがするっと降りて、何処かへ走っていった。
何か気になるものを見つけたのだろうか……。
素材倉庫は出入り口が1つしかないため、外には出られない。
それに、風呂の時に展開した遮断結界がまだ残っているはずなので、大丈夫だろう。
さて、空間魔法を使って持って行きすぎるのもよろしくないな。
武器として使えそうなモノだけ持ってくか……。
熊の爪、でっかいトカゲの牙、大蛇の毒袋……などなど、二十種類くらいを選び出し、
空間魔法を使って亜空間にぶち込んだ。
売るにせよ、自分で使うにせよ、これだけあれば困らないだろう。
用済みなので戻るとしよう。
「シロー! 戻るぞー!」
「はーい!」
倉庫の奥の方から、元気な返事が返ってきた。
ほどなくして、左手に何かを握りしめながら、シロがこっちに走ってくる。
「何持ってんだ?」
「このいしきらきら!」
「きれい……」
シロとミドリが、手のひらに乗った石を見せてくる。
これは……あれか。魔力が込められる石だ。
俺が持っているフライパンとか、魔導具の原材料とかになっている石だな。
「はいっ!」
「ん?」
「あげる!」
「おっ、おう……ありがとな」
満面の笑みで、シロが俺に石を差し出してくる。
俺が採取してきた物なんだが……まあいいか。
「くれる」という気持ちが嬉しいので、素直に受け取っておく。
丁度いい。アクセサリーでも作ってやるか。
ネックレスでいいな。身につけやすいし、いざという時の起点にもなる。
「【形状変換】」
石の形を二つの小さなネックレスに変え、魔力を込めていく。
【遮断結界】と【完全回復】と【時間停止】の魔法を、極小の魔法陣としてそれぞれ刻み込む。
発動条件と魔力の流れを誤魔化しが効かないように固定し、トリガーを「強い救助願望」に設定する。
完成だ。
「プレゼントだ」
「くれるの…?」
「そうだ。何か危ないことが起きたら、そのネックレスを握って俺を呼べ。秒もかけずに駆けつける」
膨大な魔力と、魔法を発動させる魔法陣がそこにある。
魔法陣のトリガーは、心の底から「助けて」と願った時に発動するようになっている。
「ありがと! へへへっ……」
「ありがと…」
「喜んでくれて何よりだ」
ネックレスを両手で包み込むように持ちながら、二人が嬉しそうに笑う。
何をする物なのだろう? というように、首を傾げているのも分かりやすい。
一旦、2人から受け取って、首にかけてやる。
小さな鎖が鎖骨の辺りで揺れ、石がちょうど胸の真ん中にくる位置で止まった。
大切にしてくれるとなお嬉しい。
シロが、いつものように俺をよじ登り、肩の上の定位置におさまる。
素材倉庫の外に出ると、日が沈みかけていて、空は赤く染まっていた。
あの日から、風呂と寝るのは「3人セット」が完全に日課となってしまった。
湯を張れば当然のように2人がついてくるし、布団に潜れば当然のように両脇にくっついてくる。
ゆくゆくは自分で洗うことも覚えさせないといけないな、と頭の片隅では思っている。
のぼせた状態で寝かせたあの日からだろうか。
そして――いつの間にか「服を着ないで寝る」のが2人の中で当たり前になってしまったようだ。
無理やり着せて寝かせても、朝起きたら服を着ていない状況が多発したので、今は諦めた。
寝ている間に器用に脱ぎ捨てているらしい。どんなスキルだ、それは。
羞恥心を感じる年頃になれば、自然と直っていくことに賭けよう。
そして今まで2人とずっと遊んでいたが、ふと重要なことに気がついた。
――娯楽がない、ということだ。
俺が1人で過ごす分には何も問題はない。
魔法の研究でも鍛錬でも、やろうと思えばやることはいくらでもある。
だが、シロとミドリのことを考えると、何かしら「遊ぶもの」「楽しむもの」を用意してやらないといけない。
あと、調味料とかも欲しい。これは俺の切実な願いだ。
「よし、買い物に行くぞ」
「おー!」
今日の配置は、ミドリが肩車で、シロが膝の上に座っているパターンだ。
少し違うのは、シロが俺の方を向いているということ。
抱きついて、ちょうど鳩尾《みぞおち》の辺りに頭をぐりぐり押し付けてくる。
この歳で寸分狂わず鳩尾を狙ってくるとは将来有望だな。格闘センスがあるのかもしれない。
ミドリは、俺の頭の上で髪の毛をいじっている。
自分のとは髪質が違うようなので、触り比べでもしているのだろうか。
「なに……かう…ー?」
「欲しいものをメモして、みんなで買いに行くことにしよう」
「ほしいもの……?」
俺が欲しいものは、まず食事に使う調味料だな。
塩は、そこら辺の洞窟に岩塩が生えてるからどうにかなるが、それ以外は全部自家製だ。
醤油もどき、ソースもどき、味噌もどき。どれも「もどき」止まりで、しかも作るのにやたら手間がかかる。
割と手間なので、売っているといいんだが……。
後は、この世界の本だな。
実はここにいる皆――つまり俺とシロとミドリだが――全員、今のところ読み書きができない。
いや、シロとミドリに関しては、世界の加護のお陰で「読み」の方は自動で変換されて頭に入っているらしい。
推測でしかないが、俺の知らない文字を見ても普通に内容を理解している節がある。
ただ、「書き」に関しては自分で覚えないといけない。
取り敢えず、俺がこの世界の文字を覚えて、そのあと2人に教える流れにしたい。
「ほしいもの……ない」
「にーにがいればいいかなー」
「嬉しいことを言ってくれるじゃないの」
1週間で他に変わったことと言えば、懐き度が青天井で上昇していることだろう。
朝起きてリビングに向かう時は、足にしがみついて移動。
飯を食うときは、なぜか俺の正面ではなく、横にぴったりくっついて座るようになった。
風呂と寝るときもそうだが、トイレ以外は俺から50センチ以上離れない。
「まち……いく……?」
「ああ、そんなに時間はかからないみたいだぞ」
1番近い街が、ここから二千キロ近く離れたところにあるのが、魔力感知で分かった。
因みに、俺たちがいる場所は森の中心部のようだった。
世界地図で見たら、確実に「ここ行っちゃダメ」って赤く塗られる場所だ。
五百キロ離れたところに、よく分からない気配もあったが、動く感じがなかったので頭の片隅にしまっておくことにした。
ああいう「よく分からないもの」は、基本的に関わると碌なことがない。
「本当に欲しいものが無いのか?」
「ない!」
「ない……」
そうか……。
街を見ながら、屋台の買い食いでもして、何か気に入ったものがあれば買ってやるか。
金に関しては、魔物の素材を売ればどうにでもなるだろう。
この森で2万年近く暮らした結果、「希少素材」の在庫だけは山ほどある。
「よし、今日はもう夕方だから準備だけして、明日出発だ」
シロとミドリを装備したまま立ち上がる。
そのまま素材倉庫に向かった。
素材倉庫の中に入ると、しがみ付いていたシロがするっと降りて、何処かへ走っていった。
何か気になるものを見つけたのだろうか……。
素材倉庫は出入り口が1つしかないため、外には出られない。
それに、風呂の時に展開した遮断結界がまだ残っているはずなので、大丈夫だろう。
さて、空間魔法を使って持って行きすぎるのもよろしくないな。
武器として使えそうなモノだけ持ってくか……。
熊の爪、でっかいトカゲの牙、大蛇の毒袋……などなど、二十種類くらいを選び出し、
空間魔法を使って亜空間にぶち込んだ。
売るにせよ、自分で使うにせよ、これだけあれば困らないだろう。
用済みなので戻るとしよう。
「シロー! 戻るぞー!」
「はーい!」
倉庫の奥の方から、元気な返事が返ってきた。
ほどなくして、左手に何かを握りしめながら、シロがこっちに走ってくる。
「何持ってんだ?」
「このいしきらきら!」
「きれい……」
シロとミドリが、手のひらに乗った石を見せてくる。
これは……あれか。魔力が込められる石だ。
俺が持っているフライパンとか、魔導具の原材料とかになっている石だな。
「はいっ!」
「ん?」
「あげる!」
「おっ、おう……ありがとな」
満面の笑みで、シロが俺に石を差し出してくる。
俺が採取してきた物なんだが……まあいいか。
「くれる」という気持ちが嬉しいので、素直に受け取っておく。
丁度いい。アクセサリーでも作ってやるか。
ネックレスでいいな。身につけやすいし、いざという時の起点にもなる。
「【形状変換】」
石の形を二つの小さなネックレスに変え、魔力を込めていく。
【遮断結界】と【完全回復】と【時間停止】の魔法を、極小の魔法陣としてそれぞれ刻み込む。
発動条件と魔力の流れを誤魔化しが効かないように固定し、トリガーを「強い救助願望」に設定する。
完成だ。
「プレゼントだ」
「くれるの…?」
「そうだ。何か危ないことが起きたら、そのネックレスを握って俺を呼べ。秒もかけずに駆けつける」
膨大な魔力と、魔法を発動させる魔法陣がそこにある。
魔法陣のトリガーは、心の底から「助けて」と願った時に発動するようになっている。
「ありがと! へへへっ……」
「ありがと…」
「喜んでくれて何よりだ」
ネックレスを両手で包み込むように持ちながら、二人が嬉しそうに笑う。
何をする物なのだろう? というように、首を傾げているのも分かりやすい。
一旦、2人から受け取って、首にかけてやる。
小さな鎖が鎖骨の辺りで揺れ、石がちょうど胸の真ん中にくる位置で止まった。
大切にしてくれるとなお嬉しい。
シロが、いつものように俺をよじ登り、肩の上の定位置におさまる。
素材倉庫の外に出ると、日が沈みかけていて、空は赤く染まっていた。
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