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ぼっちと幼女

幼女とお湯

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 夜飯にオムライスを作ってみたら2人は無心になって食べ続けていた。
 挙句の果てにはおかわりを要求してきたのでもう1つ作って、合計2個ペロリと平らげた。

 卵を採取しておいた甲斐があった。
 全長20mぐらいの炎に包まれた鳥だ。

 殺すと自らを炎に包みこんで灰になって甦る。

 あの不死鳥もどき地味に強いから嫌いなんだよな。
 魔法が強すぎて地形が変わるしさ。

 まあ、そんな話は置いておこう。

「お前ら風呂って知ってるか?」
「おいしいの?」
「食い物じゃないぞ」
「そっかー」

 あからさまに残念そうな顔をするな。
 効果音にショボーンってつきそうなぐらい悲しい顔をするんじゃない。

 なんだか話題を出したこっちが悪いような感じがするだろ……。

「ミドリは知ってるか?」
「しらない……おいしい……?」
「食い物じゃないぞ」
「そう……なんだ……」

 お前もか、2人してそんな顔されるとすごい申し訳ない気分になるんだな。
 間違いなくミドリに関しては確信犯だと思うが。

「そうか……お湯は知ってるか?」
「おゆ? たべもの?」

 コテンッと首を傾げてこちらに聞いてくる。かわいい。
 ……じゃなくて何でも食べ物にしようとするな。
 一応、白湯や重湯は食べ物の部類に入る……のか?
 
 
 そんなことより。腹空いているのか……?
 さっき夜飯食ったばっかりだぞ?

「おねーちゃん…あったかいみずのことだよ」
「みずはつめたいんだよ?」
「たしかに……」

 ミドリ、そこで諦めるな。あってるから。
 お湯も知らないとなると、どうやって体を洗ってたんだ?

「体をきれいにしたことってある?」
「ある!」
「でも……つめたいぬの……ふくだけ……」
 
 なるほど、濡れタオルってことか。

「よし。風呂に入ろう」
「えー?」
「入れば冷たいジュースが飲めるぞ」
「はいる!」

 現金な奴め。
 ミドリがじーっとこっちを見てる。
 お前もか、仕方ない。

「ミドリも入ればジュース飲めるぞ」
「はいる……!」

 昨日作ったのでいいか。
 風呂場は結構広めに作ってある。

 腐っても日本人だからな、もう日本人だったころの肉体じゃないけど。
 そういえば勇者召喚されたクラスの奴らは元気なのだろうか。

 俺がこの世界に来た時と同じ時間に来ていればもう死んでるが……。
 どうなったのだろうか。俺だけ先に転生してもらったからなぁ……。


「さあ、風呂はこっちだぞー」
「じゅーす!」
「あまいの……!」

 仲良く付いて来てくる。
 あ、2人用のボディタオル作らないとマズいな。
 俺のだと間違いなく肌が切れる。

 素材は…あれにしよう。
 700年くらい前に北のほうに探索しに行った時、湖に居た妖精?みたいなのから貰った布があるからそれを使おう。

 素材倉庫に入ってるはずだから取ってくるか。

「【|時間停止⦅タイムストップ⦆】」

 時属性魔法だ。
 世界全体の時間を止めるから秒ごとに尋常じゃない魔力を消耗する。

 初めて使ったときに2秒で魔力切れを起こしてそのまま死んだ。
 あれは苦い思い出だ。

 今なら1年は余裕で止められるだろう。

 そんなに止めている必要もないのでさっさと布取ってボディタオルを作らねば…
 空間を素材倉庫の中と繋げて布を取る。

 いい感じの肌触りだ。
 これなら問題ないだろう。

 空間の接続を解除して時間停止を解除する。
 世界の時間が動き出し、音が帰ってくる。

「おふろってなんだろうねー?」
「なんだろう…?」

 せいぜい楽しみにしてるがいいさ……!
 風呂の心地よさを知ったら風呂なしには戻れない生活になるからな!!!

「ここが風呂場だ」

 扉を開けるともわっと湯気が立ち込める。
 浴槽の素材にしている木の香りが充満する。

 いい香りだ。

「ここでなにするの? じゅーすは?」
「体をきれいにするんだ。ジュースはそのあとだな」
「どうやって…?」

 いい質問だ。
 風呂の入り方から教えて、最終的には一人で入れるようになってもらわないとな。

「ここには服を脱いで入るんだ」
「おー!」
「なるほど…」

 2人が全く疑いもせずに服を脱ぎ始める。
 
「にーに、ぬいだの、どこ?」
 
 シロが脱いだ服をどこにやるか聞いてきた。
 最初に着ていたボロ布みたいな服だしなぁ……。
 
「俺が預かろう」

 シロから預かって別空間に収納する。
 ミドリも渡してきたので2人分収納した。

 いつかシロとミドリが大きくなって自立したときに思い出として振り返れるようにしておこう。



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