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幼女と邪神

幼女と邪神と買い物⑤

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 魔導具店に行ったが正直な話、レベルが低かった。
 単体で魔法を発動させることはできず、付与されている魔導具の属性の魔法が使いやすくなるというだけの物が多かった。
 正直なところ、魔法を発動させるための補助道具としての割合の方が高かった。

「もうやることはなくなったな……」
「んー、他にもおすすめの場所はあるけど、結構この街も広いから今日一日じゃ回りきれないかも……」
「じゃあまた来ればよかろう?」

 それもそうだな。
 もう街に来ないというわけではないので今日はこの辺にしておくか。

「そうだね。シロちゃんも寝ちゃっているみたいだし」

 会って2回目の人間の頭で寝れるとは驚きだ。
 ご丁寧にヨダレまで垂らしている。

「そろそろ帰るとしよう。シロを返してもらうぞ」
「あっ……また来てほしい……かな……」

 名残惜しそうにシロを見ている。
 こいつ、根っからの子供好きなのか……?

「来ると約束しよう!」

 
 俺の代わりにクレバスが答えてくれた。
 気が向いたら来るとしよう。

 ……まあシロとミドリが成長したら学校とか通わせないといけないしな。

 この2人が親離れをすることを想像したら悲しくなってきた。
 当面は想像しないようにしよう。

「じゃあな。世話になった」
「またのう!」
「いつでも来てねー」

 空間転移を発動させるため少しだけ魔力を練る。
 神力と魔力が混ざってきている影響か、魔法の展開速度が早くなり、詠唱が不要な魔法が増えてきた。

「あ、転移魔法教えてもらうの忘れてた……」

 ルナの小さな呟きが聞こえてきた――が、遅い。
 空間転移は発動し、視界が歪み、家の前に来てしまった。

 また今度来たときにでも教えてやるとしよう。

「うにゅ……おうちー?」
「家だぞ。寝るなら寝室行け」
「あーい」

 ぽてぽてと歩いて寝室に向かうシロ。
 家の廊下を把握しているのか前と比べると壁にぶつかったりしていない。成長したな。

「……いえ?」

 ミドリが家に着いたことを今気がついたかのように聞いてきた。
 まさか俺の髪の毛を数えるのに集中してて周りの景色が頭に入っていなかったのか?

 その集中力は違うところで発揮したほうがいいと思うぞ。

「家だ。ミドリも寝るか?」
「いい……おにいちゃ……おろして……」

 リビングの毛皮の上に座ってミドリを頭から下ろす。
 降りたと同時に俺のひざの上に座ってきた。

 ぬくもりを求める猫みたいな動きだったな。
 猫……ペットとか飼ってみるか?

「ペットか……」

 ポツリとつぶやいてみる。
 するとクレバスが勢いよく立ち上がり言い放った。

「ピー太を連れてきてよいのか!?」
「でかすぎるから駄目だ。あまりうるさいと、その鳥始末するぞ?」
「なんじゃと!? 何故じゃ!」
「でかいし喋るし……今まで狩ってきたから素材か食料にしか見えん」
「ぐぬぬ……仕方あるまい……ピー太は8割ぐらい非常食じゃからの…」

 それでいいのか不死鳥。
 非常食兼ペットとか絶対に飼わないからな。

「ミドリは何かペットがほしいとかあるか?」
「いらない……」

 俺に頭を擦りつけながら言った。
 シロは寝ているのでペットの件は保留だな。また今度考えよう。

「ちなみに今日の晩飯は何なのじゃ?」
「鳥の唐揚げだ」
「訂正しよう、ピー太は10割非常食だったのじゃ」

 主が手のひら返しやがった。それでいいのか不死鳥。
 2割ぐらいのペット成分がなくなってるじゃないか。

「からあげ……?」
「なんじゃ。知らんのか。唐揚げというのはのう? 外はカリカリッとしていて噛むと中から肉汁がジュワッと出てきてなんとも言えぬ至福に包まれるのじゃ……」
「ごくり……」

 そんな大層なものじゃないからな。
 揚げたての唐揚げが美味いのは認めるが。

「おにくっ!!!」

 寝室からシロの声が聞こえてきた。
 出てこないのを見ると今のは寝言なのか…?

 結構な声量だったぞ。びっくりした。

「クレバス、昼のときに神気流したがどんな感じなんだ? 流された側って」
「ストローで飲み物を飲んでいたら急にストローがホースになって勢いよく流し込まれた感じじゃのう……」

 それ以外にもあるが言わん――と、言ってクレバスは席を立ってトイレのほうに向かっていった。

 確かにそれはびっくりするな。実に分かりやすい例えだ。
 申し訳ない感じがしたので今度からはやらないでおこう。


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