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「……就職して、誰かに“あなたはこれをやりなさい”って言われる生活が、
どうしても現実味を持てないんです」
桐山悠人の声は、どこか乾いていた。
怒っているわけでも、投げやりでもない。
ただ、“つながらない”という違和感が、言葉の裏にずっと横たわっていた。
「就職できないのが怖い。でも、就職することも怖い。
前に進んだら、自分じゃなくなるような気がして。
でも進まないと、何者にもなれない気がして……」
梓は、彼の言葉が宙に漂うのを少し待ってから、ゆっくり口を開いた。
「“進まないと何者にもなれない気がする”という思いは、
今までもどこかで、ご自身を支えてきた感覚だったのでしょうか」
「……支え、ですか」
「ええ。“ちゃんとしなきゃ”とか、“遅れちゃいけない”とか。
そういう焦りがあるからこそ、止まらずにこれまで進んできたのかもしれません」
悠人は、小さく笑った。
「……それ、よく言われてました。“まじめで頑張り屋さん”って。
でも本当は、止まるのが怖かっただけです。
立ち止まってしまったら、自分に何もないってバレる気がして」
その“バレる”という言葉に、梓は静かに頷いた。
「“何もない自分”がいても、
それを見つけたときに、責められない場所があること。
それもまた、必要なことだと思います」
「……そんな場所、あるんですか」
「今ここが、そのひとつかもしれません」
梓の声に、悠人はしばらく黙ったまま、ゆっくりと息を吸い込んだ。
「正直、就活を始める勇気はまだ出ません。
でも、“動かなくちゃ”って焦りに飲まれてる自分から、
少しだけ距離がとれた気がします」
「動き出すのに必要なことは、必ずしも“行動”とは限りません。
“いま立ち止まっていることを、自分が認める”というのも、
とても大事な一歩です」
悠人はうなずいた。
「……今日は、来てよかったです」
それは、自分自身の“まだ決まらない状態”を、
初めて責めずに受けとめられた瞬間だった。
どうしても現実味を持てないんです」
桐山悠人の声は、どこか乾いていた。
怒っているわけでも、投げやりでもない。
ただ、“つながらない”という違和感が、言葉の裏にずっと横たわっていた。
「就職できないのが怖い。でも、就職することも怖い。
前に進んだら、自分じゃなくなるような気がして。
でも進まないと、何者にもなれない気がして……」
梓は、彼の言葉が宙に漂うのを少し待ってから、ゆっくり口を開いた。
「“進まないと何者にもなれない気がする”という思いは、
今までもどこかで、ご自身を支えてきた感覚だったのでしょうか」
「……支え、ですか」
「ええ。“ちゃんとしなきゃ”とか、“遅れちゃいけない”とか。
そういう焦りがあるからこそ、止まらずにこれまで進んできたのかもしれません」
悠人は、小さく笑った。
「……それ、よく言われてました。“まじめで頑張り屋さん”って。
でも本当は、止まるのが怖かっただけです。
立ち止まってしまったら、自分に何もないってバレる気がして」
その“バレる”という言葉に、梓は静かに頷いた。
「“何もない自分”がいても、
それを見つけたときに、責められない場所があること。
それもまた、必要なことだと思います」
「……そんな場所、あるんですか」
「今ここが、そのひとつかもしれません」
梓の声に、悠人はしばらく黙ったまま、ゆっくりと息を吸い込んだ。
「正直、就活を始める勇気はまだ出ません。
でも、“動かなくちゃ”って焦りに飲まれてる自分から、
少しだけ距離がとれた気がします」
「動き出すのに必要なことは、必ずしも“行動”とは限りません。
“いま立ち止まっていることを、自分が認める”というのも、
とても大事な一歩です」
悠人はうなずいた。
「……今日は、来てよかったです」
それは、自分自身の“まだ決まらない状態”を、
初めて責めずに受けとめられた瞬間だった。
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