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第12話 屋敷を使う
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雪が降り始めると、外でできる作業は一気に減った。
道は閉ざされ、
畑も、しばらくは様子を見るだけになる。
「手仕事をする場所があればいいんですが」
そんな声が上がったのは、
冬支度が一段落した頃だった。
私は少し考えてから答える。
「屋敷を使ってください」
驚いたように、何人かが顔を上げた。
「……いいんですか」
「使っていない部屋が多いですし、
暖を取れる場所の方が作業しやすいでしょう」
それだけの理由だった。
数日後、屋敷の一角が開放された。
長い机が運び込まれ、
糸や布、木材が並ぶ。
昼の間、そこには常に人の声があった。
黙々と手を動かす者もいれば、
向かい合って話し込む者もいる。
「この編み方、最近流行ってるんだって」
そう言いながら、
細い糸を指に掛ける。
「へえ……」
「難しそうだな」
「大丈夫。
ここを、こう」
最初はおずおずと。
けれど、すぐに手が動き始める。
「……これ、
お貴族様に売れるかしら」
冗談めかした声に、
周囲が笑った。
「どうだろうな」
「でも、きれいだぞ」
そんなやり取りが、自然に続く。
私は部屋の端から、その様子を見ていた。
ここに来る前、
「こんなのできても仕方ない」
そう言われてきた技術だ。
売り物にならない。
役に立たない。
そうやって、しまい込まれてきた手仕事。
今は、違う。
教える者がいて、
習う者がいて、
声が途切れない。
「もう一回、教えてくれませんか」
そう言われて、
少し照れながら頷く姿を見て、
胸の奥が、静かに温かくなった。
雪は降り続いている。
それでも、
屋敷の中では、手が動き、声が続く。
冬の間も、
開拓民同士の会話は途切れなかった。
互いに支え合いながら、
この冬を越えていく。
私は暖炉の火を見つめながら、
その光景を、ただ眺めていた。
道は閉ざされ、
畑も、しばらくは様子を見るだけになる。
「手仕事をする場所があればいいんですが」
そんな声が上がったのは、
冬支度が一段落した頃だった。
私は少し考えてから答える。
「屋敷を使ってください」
驚いたように、何人かが顔を上げた。
「……いいんですか」
「使っていない部屋が多いですし、
暖を取れる場所の方が作業しやすいでしょう」
それだけの理由だった。
数日後、屋敷の一角が開放された。
長い机が運び込まれ、
糸や布、木材が並ぶ。
昼の間、そこには常に人の声があった。
黙々と手を動かす者もいれば、
向かい合って話し込む者もいる。
「この編み方、最近流行ってるんだって」
そう言いながら、
細い糸を指に掛ける。
「へえ……」
「難しそうだな」
「大丈夫。
ここを、こう」
最初はおずおずと。
けれど、すぐに手が動き始める。
「……これ、
お貴族様に売れるかしら」
冗談めかした声に、
周囲が笑った。
「どうだろうな」
「でも、きれいだぞ」
そんなやり取りが、自然に続く。
私は部屋の端から、その様子を見ていた。
ここに来る前、
「こんなのできても仕方ない」
そう言われてきた技術だ。
売り物にならない。
役に立たない。
そうやって、しまい込まれてきた手仕事。
今は、違う。
教える者がいて、
習う者がいて、
声が途切れない。
「もう一回、教えてくれませんか」
そう言われて、
少し照れながら頷く姿を見て、
胸の奥が、静かに温かくなった。
雪は降り続いている。
それでも、
屋敷の中では、手が動き、声が続く。
冬の間も、
開拓民同士の会話は途切れなかった。
互いに支え合いながら、
この冬を越えていく。
私は暖炉の火を見つめながら、
その光景を、ただ眺めていた。
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