死にキャラに転生したけど、仲間たちに全力で守られて溺愛されています。

藤原遊

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第2部 死にキャラだけど世界を救う旅に出る

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北の山脈を越える道中、スフィアたちは数々の魔物と遭遇しながらも順調に進んでいた。しかし、黒い霧が漂うエリアに近づくにつれ、空気が次第に重くなり、肌にまとわりつく不穏な感覚が増していく。

「ここから先は、魔王の影響が強くなっているようだな。」

カインが険しい表情で前方を見据えた。

「注意して進みましょう。この霧に触れると、正気を失う可能性があります。」

エリオットが冷静に指摘しながら、魔導書を手に構える。その言葉に、スフィアは緊張した面持ちで周囲を見回した。

「皆さん、気をつけてください。結界を展開します。」

スフィアが手をかざすと、淡い光が一行を包み込むように結界が展開された。

「ありがとう、スフィア。その結界があるだけでも安心感が違う。」

レオンが微笑み、スフィアに感謝の言葉をかけた。彼の軽口に、少し緊張がほぐれる。

「これで少しは安心できますね。」

そう言いながら歩みを進めると、彼らの目の前に巨大な遺跡が現れた。その遺跡は、黒い霧に包まれ、長い間誰も足を踏み入れたことがないような不気味な雰囲気を漂わせている。

「ここは……?」

スフィアが小さく呟いた。

「遺跡だな。だが、ただの遺跡じゃない。おそらく、魔王に関する何かが眠っている。」

カインが遺跡の門に手を触れると、門は重々しい音を立ててゆっくりと開いた。その先には、無数の石像が立ち並び、不気味な雰囲気を醸し出していた。

「中に何かがいるのか……?」

ユリウスが警戒しながら呟く。

「とにかく進もう。慎重にな。」

カインが皆に指示を出し、一行は遺跡の中へと足を踏み入れた。

遺跡の内部は、古びた石造りの通路が続いていた。壁には古代の文字が刻まれており、エリオットがそれを見つめる。

「この文字……解読できそうだ。」

エリオットは魔導書を開き、古代文字の解読を始めた。

「“闇が目覚めし時、世界は混沌に包まれる”……だそうだ。」

「嫌な予言だな。」

レオンが眉をひそめた。その時、遺跡の奥から不気味な音が響いた。

「……!」

一行が身構えると、石像の一体が突然動き出した。

「来るぞ!」

カインが剣を抜き、戦闘態勢に入る。石像は黒い霧をまとい、一行に襲いかかってきた。

「結界!」

スフィアが即座に結界を張り、仲間たちを守る。エリオットが魔法を放ち、カインが剣で石像を砕こうとするが、石像は何度倒しても立ち上がる。

「しぶといな……!」

レオンが息を切らしながら呟いた。

「これじゃ、キリがない!」

ユリウスが焦った声を上げる中、スフィアは冷静に状況を見極めていた。

「……これは、浄化の結界でしか封じられないかもしれません。」

スフィアは手を組み、深呼吸をした。そして、結界の術式を描き始める。

「皆さん、少しだけ時間を稼いでください!」

「任せろ!」

カインが石像の注意を引きつけ、エリオットとレオンが魔法で援護する。その間に、スフィアは結界の術式を完成させた。

「浄化の結界――展開!」

スフィアの結界が光を放ち、石像を包み込む。黒い霧が浄化され、石像は動きを止め、やがて崩れ落ちた。

「やった……。」

スフィアは小さく息をついた。

「さすがだ、スフィア!」

レオンが親指を立てて笑顔を見せた。ユリウスも優しく微笑む。

「君の成長ぶりは、本当に頼もしい。」

「ありがとう、皆さん。でも、これで終わりではありません。この遺跡には、まだ何か隠されている気がします。」

スフィアの言葉に、カインが頷いた。

「そうだな。先に進もう。魔王の復活を阻止するために。」

一行は再び遺跡の奥へと進んでいった。彼らの前に待ち受けるのは、さらなる試練か、それとも――。

「ここからが、本当の戦いだな。」

カインの言葉が、次なる冒険の始まりを告げていた。
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