死にキャラに転生したけど、仲間たちに全力で守られて溺愛されています。

第2部 死にキャラだけど世界を救う旅に出る

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光の輪に包まれた空間は、現実離れした静寂に満ちていた。スフィアたちは、足元が見えないほどの白い霧の中に立っていた。

「ここが試練の間……。」

スフィアが不安そうに呟くと、カインが彼女の隣に立ち、周囲を見渡した。

「何もないように見えるが、気を抜くな。試練が始まると言っていた。」

その瞬間、霧の中からいくつもの影が現れた。それは、過去にスフィアたちが戦ってきた魔物たちの姿をしていた。

「これは……幻影？」

エリオットが冷静に分析するが、幻影たちはまるで実体を持つかのように動き出し、スフィアたちに襲いかかってきた。

「来るぞ！」

カインが剣を抜き、前に出た。幻影のドラゴンが咆哮を上げ、爪を振り下ろす。しかし、カインは素早くそれをかわし、剣を振りかざした。

「やはり、実体がある……油断するな！」

レオンも軽快な動きで幻影の魔物をかわし、短剣を投げて応戦した。

「厄介な試練だな。過去の戦いを再現してくるなんて。」

エリオットが魔法を放ち、ユリウスが結界を張りながら、仲間たちをサポートする。

「皆さん、私も結界を張ります！」

スフィアが手を広げ、周囲に淡い光の壁を展開した。

「浄化の結界、展開！」

結界が幻影の動きを鈍らせるが、すべての幻影を止めるには至らなかった。その時、再び不気味な声が響いた。

「運命を変えようとする者よ……過去の罪を背負う覚悟はあるか？」

スフィアはその言葉に息を呑んだ。

「過去の……罪？」

「お前たちがこの世界に存在することで、運命は歪んだ。過去を見つめ、選択を誤らなければ、未来を繋ぐ力を与えよう。」

声が響くと同時に、霧の中から新たな幻影が現れた。それは、スフィア自身の姿だった。

「私……？」

幻影のスフィアは冷たい目をして彼女を見つめた。

「お前は本当にこの世界に必要な存在か？」

スフィアは言葉を失い、震えながらその幻影を見つめた。しかし、カインが前に立ち、剣を構えた。

「そんなことを言わせるか。スフィアは俺たちにとって、かけがえのない仲間だ！」

「そうだ。」

ユリウスも頷き、穏やかな声で言葉を添えた。

「君は何度も僕たちを救ってくれた。君の存在が、僕たちの未来を作っているんだ。」

スフィアは仲間たちの言葉に励まされ、拳を強く握りしめた。

「そう……私は、皆さんと共に未来を切り開くために、ここにいるんです！」

幻影のスフィアがゆっくりと微笑み、姿を消した。その瞬間、空間が揺れ、光の輪が再び輝きを放った。

「試練は、乗り越えたようですね。」

ユリウスがほっとしたように呟いた。

「だが、まだ終わりじゃない。先へ進もう。」

カインが剣を収め、一行は再び歩みを進めた。

「私たちは、どんな未来も変えてみせます。」

スフィアの言葉に、仲間たちは力強く頷いた。そして、彼らの前には新たな光の扉が現れた。