死にキャラに転生したけど、仲間たちに全力で守られて溺愛されています。

藤原遊

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第2部 死にキャラだけど世界を救う旅に出る

13

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光の扉を抜けたスフィアたちは、広大な闇の空間に足を踏み入れた。そこは静寂に包まれ、ただ一つ、空間の中心に黒い玉座が浮かび上がっていた。

その玉座に座っていたのは、漆黒の鎧をまとった魔王だった。魔王は冷ややかな視線をスフィアたちに向け、口元に不敵な笑みを浮かべた。

「……随分と勇ましい顔をしているな。お前たちは何者だ?」

その問いに、一行は互いに頷き合った後、カインが一歩前に出て答えた。

「俺たちは、この世界を守るためにここへ来た者だ。」

「守る、だと?」

魔王の目が細まり、不気味な笑みが広がる。

「滑稽だな。なんのために戦う。」

カインは剣を握りしめ、低く呟いた。

「俺たちは、仲間を守るために戦っている。それだけだ。」

エリオットが魔導書を手に構え、冷静に続ける。

「スフィアを守るために、ここまで来たんだ。」

魔王はわずかに眉を上げたが、すぐに冷笑に戻る。

「なるほど。だが、そんな思いで私を止められると思うのか?」

「思っているさ。」

ユリウスが静かに頷き、スフィアを見つめた。

「俺たちは、この世界の未来を切り開くために来たんだ。」

その言葉に、スフィアは胸の奥でこみ上げる感情を抑えきれず、小さく息を吐いた。

「皆さん……。」

魔王は一瞬、考え込むように視線を下げたが、すぐに冷笑を浮かべた。

「愚かだな。世界を救おうとするほど、世界は簡単に救えるものではない。」

「そんなことは関係ない。」

カインが強い口調で言い放つ。

「俺たちはスフィアを守るために戦う。それだけだ。」

魔王は玉座から立ち上がり、その全身に黒い霧をまとわせた。

「ならば、見せてもらおう。その選択が正しいかどうかを。」

魔王が一歩踏み出すたび、闇が広がっていく。その闇の力は、スフィアたちの結界を揺るがせた。

「皆さん、気をつけてください……!」

スフィアが結界を強化しながら、仲間たちに声をかけた。カインは剣を構え直し、魔王へと駆け出した。

「行くぞ!」

エリオットが魔法を放ち、レオンが素早く動いて援護する。ユリウスも光の矢を放ち、魔王の動きを封じようとした。

「この戦いは、俺たちの選択の証明だ!」

カインの叫びが響き渡り、スフィアは胸の奥で再び決意を固めた。

「私は、皆さんと共に未来を守ります!」

スフィアは新たに得た「運命の光」を解放し、魔王の闇を貫く光の結界を展開した。その光は闇を切り裂き、希望をもたらす力を放っていた。

「運命の光――!」

スフィアの光が魔王を包み込み、闇と光の力が激しくぶつかり合う。
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