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第三部 世界と対立
第23話 アルヴェル王国の圧力
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村の外れ。
夕陽の色が静かに落ち、影が長く伸びていた。
そこへ、黒い外套の男が馬を止めた。
隣国アルヴェル王国の、王家付きの使者だった。
「……レオン殿下。陛下よりお言付けです」
レオンは眉をわずかに寄せる。
使者はそれに構わず、淡々と続けた。
「すぐに帰国しなさい。そして――“聖女と距離を置け”と」
レオンは短く息を吐いた。
「またそれか。理由は?」
「民心が、あなたと聖女を中心に動きすぎている。
殿下が辺境に留まれば、反乱の火種になる、と上層部は判断しています」
レオンの眼差しが、わずかに鋭くなる。
「俺が? 反乱を?」
「ええ。『英雄は王権の脅威』。今の王都では、常識です」
使者の口調は冷ややかだった。
さらに畳みかけるように告げてくる。
「殿下は“庶子”であることをお忘れなく。
王家はあなたを守る義務を負いません。
命じられた任務を果たした以上――距離を置くのが、賢明です」
その言葉に、レオンはゆっくり目を閉じた。
一度、考える。
次に、選ぶ。
そして――迷いなく、動いた。
「……なら、俺は王家に戻らない」
使者が目を見開く。
レオンは静かに言い切った。
「俺はもう、あなた方の“道具”ではない。
魔王を倒したのも、民を守ったのも……全部、自分の意思だ」
胸の奥から湧き上がるような、強い声。
「俺は王位には興味がない。
――欲しいのは、エリシアの隣だけだ」
レオンの言葉を聞いた瞬間、エリシアは思わず足を止めた。
“欲しいのは、エリシアの隣だけだ”
胸が一度だけ、大きく跳ねる。
気づいたレオンが、くるりと振り返る。
「エ、エリシア……? い、今のは……その……!」
勇者とは思えないほどあたふたしている。
耳まで真っ赤だ。
エリシアは瞬きも忘れて見つめてしまった。
「レオンが……そんなふうに言うなんて、思っていませんでした」
「あれは、その……違う。いや違わないけど、でも、えっと……!」
レオンが困ったようにこちらへ一歩近づく。
その距離に、エリシアの心が強く揺れた。
指先が触れそうで触れない。
息を吸う音さえ聞こえる距離。
レオンは悔しそうに視線を逸らす。
「本当は……もっとちゃんと言いたいんだけどな」
その小さな声に、エリシアは頬が熱くなるのを感じた。
二人の間に落ちる沈黙は、重さではなく――甘さで満たされていた。
使者が気まずそうに咳払いする。
「……では、私は王都へ戻ります。何も聞いていません」
レオンはほぼ無視している。
エリシアを見る瞳が、少しだけ怖いほど真剣だった。
その強さに、胸がまた跳ねる。
“この人は、本気で私を選んでくれた”
言葉にはできないけれど。
この手を取ってしまいそうなほど、心が近かった。
夕陽の色が静かに落ち、影が長く伸びていた。
そこへ、黒い外套の男が馬を止めた。
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「……レオン殿下。陛下よりお言付けです」
レオンは眉をわずかに寄せる。
使者はそれに構わず、淡々と続けた。
「すぐに帰国しなさい。そして――“聖女と距離を置け”と」
レオンは短く息を吐いた。
「またそれか。理由は?」
「民心が、あなたと聖女を中心に動きすぎている。
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「俺が? 反乱を?」
「ええ。『英雄は王権の脅威』。今の王都では、常識です」
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王家はあなたを守る義務を負いません。
命じられた任務を果たした以上――距離を置くのが、賢明です」
その言葉に、レオンはゆっくり目を閉じた。
一度、考える。
次に、選ぶ。
そして――迷いなく、動いた。
「……なら、俺は王家に戻らない」
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レオンは静かに言い切った。
「俺はもう、あなた方の“道具”ではない。
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胸の奥から湧き上がるような、強い声。
「俺は王位には興味がない。
――欲しいのは、エリシアの隣だけだ」
レオンの言葉を聞いた瞬間、エリシアは思わず足を止めた。
“欲しいのは、エリシアの隣だけだ”
胸が一度だけ、大きく跳ねる。
気づいたレオンが、くるりと振り返る。
「エ、エリシア……? い、今のは……その……!」
勇者とは思えないほどあたふたしている。
耳まで真っ赤だ。
エリシアは瞬きも忘れて見つめてしまった。
「レオンが……そんなふうに言うなんて、思っていませんでした」
「あれは、その……違う。いや違わないけど、でも、えっと……!」
レオンが困ったようにこちらへ一歩近づく。
その距離に、エリシアの心が強く揺れた。
指先が触れそうで触れない。
息を吸う音さえ聞こえる距離。
レオンは悔しそうに視線を逸らす。
「本当は……もっとちゃんと言いたいんだけどな」
その小さな声に、エリシアは頬が熱くなるのを感じた。
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使者が気まずそうに咳払いする。
「……では、私は王都へ戻ります。何も聞いていません」
レオンはほぼ無視している。
エリシアを見る瞳が、少しだけ怖いほど真剣だった。
その強さに、胸がまた跳ねる。
“この人は、本気で私を選んでくれた”
言葉にはできないけれど。
この手を取ってしまいそうなほど、心が近かった。
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