悪役令嬢の破滅フラグ？転生者だらけの陰謀劇！勝者は誰だ

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廃屋に戻ったレオンとディアナを迎えたのは、ルドルフの解放を知った男たちの安堵の表情だった。
しかし、その中でリーダー格の男は腕を組み、鋭い視線で二人を見据えていた。

「本当に解放してくるとはな……だが、それで済むと思っているのか？」

ディアナがその言葉に眉をひそめた。

「どういう意味？」

「お前たちに協力を頼んだのは、ルドルフを助けるだけが目的じゃない。もっと重要なことがある」

男は廃屋の奥に歩み寄り、一つの封書を取り出すとディアナに手渡した。
その封書には、王宮内で使用される正式な紋章が刻まれている。

「これは……？」

「ルドルフが捕まる直前、王宮周辺で拾ったものだ。中を見れば分かる」

ディアナは警戒しながら封書を開いた。中に記されていたのは、一連の旧ハロルド派への弾圧命令書。しかし、記載されている署名が異常だった。

「……これ、アルフォンス殿下の署名があるけれど……」

レオンが封書を覗き込み、険しい顔をした。

「アルフォンス殿下がこれを発行したというのか？ そんなはずはない。殿下が貴族や平民の弾圧を命じるわけがない」

「当然だろう。俺たちもそうは思っていない」

男は低く呟いた。

「この文書は偽造された可能性が高い。それを使って、騎士団内の誰かが俺たちを追い詰めようとしている」

ディアナは文書を握り締めながら静かに答えた。

「つまり、この文書を使って旧ハロルド派の残党をさらに過激化させようとしている勢力がいる……ということね」

「そうだ。だから、お前たちにそれを暴いてほしい」

男の頼みに、ディアナとレオンは視線を交わした。

「……確かに、放置するわけにはいかない」

レオンが短く答えた。

「殿下の名を騙る者がいるなら、それは国家を揺るがす重大な問題だ」

ディアナも深く頷いた。

「ええ、これ以上の混乱を招かないためにも、真実を突き止める必要があるわね」

その夜、ディアナとレオンは再び王宮を訪れ、アルフォンス殿下に面会を求めた。
応接室に通された二人を見て、アルフォンス殿下は軽く眉を上げた。

「また君たちか。今度は何の相談だい？」

ディアナが手にした封書を差し出すと、アルフォンス殿下の表情が険しくなった。

「これは……僕の署名があるじゃないか」

「ですが、殿下。これが偽造されたものである可能性が高いことは明白です」

ディアナがきっぱりと言い切ると、アルフォンス殿下は肩の力を抜き、小さく息を吐いた。

「君の判断は正しい。僕がこんな文書を発行するはずがない」

「殿下、この文書がどこで偽造されたのか突き止めなければなりません。放っておけば、騎士団内部の混乱を招くだけでなく、国家全体に影響を及ぼします」

レオンが力強く進言すると、アルフォンス殿下は頷いた。

「分かった。僕の側近に調査を命じよう。君たちにも協力してもらえると助かる」

「もちろんです、殿下」

ディアナは微笑みながら答えた。

「殿下がこうして真摯に向き合ってくださるからこそ、私たちは行動できます」

「そう言ってもらえるのは光栄だよ」

アルフォンス殿下の目には、ディアナへの感謝の念が浮かんでいた。

その後、レオンとディアナは王宮を後にし、次の行動を話し合った。

「偽造された文書か……かなりの計画性を感じる」

レオンが呟くと、ディアナは考え込むように頷いた。

「誰が、そして何のためにこんなことを？ 旧ハロルド派を利用して混乱を煽るつもりなのかしら」

「それに、文書が偽造された場所が分かれば、背後にいる人物も見えてくるかもしれない」

「その通りね。急がないと……時間が経てば経つほど、証拠が消される可能性があるわ」

二人は静かな夜の街を歩きながら、次の目的地を見据えていた。国を揺るがす陰謀の真実が少しずつ姿を現し始めている。