悪役令嬢の破滅フラグ？転生者だらけの陰謀劇！勝者は誰だ

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廃屋の内部は、まるで時間が止まったかのように荒れ果てていた。壁は剥がれ落ち、埃が床を覆い尽くしている。その静寂の中に、レオンとディアナは緊張感を漂わせながら立っていた。

「信用に足るかどうか試させてもらうと言ったが……具体的にはどうするつもりだ？」

レオンがリーダー格の男に問いかける。男は口元に薄い笑みを浮かべながら、廃屋の奥へと歩き出した。

「話をする前に、一つ頼みがある。俺たちの仲間が捕まっている。そいつをどうにか助け出してほしい」

「捕まっている……？」

ディアナが眉をひそめると、男はその問いに頷いた。

「そうだ。俺たちの仲間で、名はルドルフ。平民出身の青年だ。先月、騎士団に連れて行かれたまま戻ってこない」

「その理由は？」

「理由だと？ 王宮の周囲をうろついていただけだ。それを“怪しい”と決めつけられたのさ」

男の苛立ちがこもった声に、レオンは腕を組んで考え込んだ。

「確かに、王宮周辺を警備している騎士団は、過剰反応することもある。ただ、捕まった理由がそれだけなら少し引っかかるな」

「だからこそ、あんたたちに確かめてほしいんだ。本当にルドルフが悪いことをしていたのか、それとも冤罪なのかを」

男の真剣な目を見つめながら、ディアナは小さく頷いた。

「分かったわ。まずはその人の情報を詳しく調べてみる。そして、必要なら王宮に掛け合うことにする」

「掛け合う？ あんたがか？」

「ええ。私は“自由と平等の会”の代表よ。私たちの目的は不当な扱いを受ける平民を守ること。そうでなければ、私の信念が揺らいでしまう」

その言葉に、男は一瞬驚いたような表情を見せたが、すぐに納得したように頷いた。

「……分かった。頼む」

翌日、ディアナとレオンは王宮へと足を運んだ。ディアナはアルフォンス殿下に直接面会を求める。

「ローレンス嬢が、僕に相談を？」

アルフォンス殿下は少し驚いたようだったが、すぐに笑みを浮かべた。

「君が王宮の問題に関心を持つのは良いことだ。話を聞かせてくれるかい？」

「ありがとうございます、殿下」

ディアナは深く頭を下げ、ルドルフという青年についての事情を説明した。

「殿下、彼は王宮周辺をうろついていたという理由だけで拘束されたようですが、その行動に具体的な違法性があるとは考えられません」

「なるほど……」

アルフォンス殿下はしばらく考え込むと、側近に指示を出した。

「騎士団の記録を確認し、ルドルフという青年が拘束された理由とその状況を調べてくれ。もし不当な理由であれば、即刻釈放するよう手配する」

「承知しました」

側近が退室すると、アルフォンス殿下はディアナに向き直った。

「ローレンス嬢、君の働きかけには感謝するよ。こうした平民の問題に目を向けられるのは、君が信念を持って行動しているからだろう」

「ありがとうございます、殿下。ですが、私はただの理想主義者です。現実を変えるためには、まだまだ力不足です」

「それでも、君の行動は確実に人々を動かしている」

その言葉にディアナは少しだけ肩の力を抜き、穏やかな微笑を浮かべた。

数日後、ルドルフの身柄が釈放されることが決まった。調査の結果、彼の行動には違法性がなく、不当な拘束だったことが判明したのだ。

ルドルフが解放されたとき、ディアナとレオンは彼の前で簡単に状況を説明した。

「あなたの解放は、アルフォンス殿下の寛大な判断によるものです。ただ、それを引き出すために尽力したディアナ嬢のことも忘れないでください」

「ありがとうございます……！」

ルドルフは涙を浮かべながら頭を下げた。その姿を見て、ディアナは満足そうに頷いた。

「これで、私たちも一歩進めたわね」

「そうだな」

レオンはディアナの横顔を見つめながら、彼女の行動力に感心していた。

「君の言葉がなければ、この青年はまだ牢に閉じ込められていたかもしれない」

「あなたが協力してくれたおかげよ。感謝するわ」

二人は穏やかな空気の中、廃屋へ戻る準備を進めた。