悪役令嬢の破滅フラグ?転生者だらけの陰謀劇!勝者は誰だ

藤原遊

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学園の夜は、昼間の賑わいとは打って変わって静けさに包まれていた。しかし、その静寂の中にもわずかな気配が漂っている。

レオン・ヴァルクライは、学園の門の前で鋭い目つきをして周囲を見回していた。

「……やっぱり動き始めたか」

彼の手には、王国騎士団から届いた一通の密書が握られている。それは、旧ハロルド派の残党が再び集結し、不穏な計画を練っているという内容だった。

「このまま放置しておくわけにはいかないな」

レオンは剣を携え、手早く行動を開始しようとするが、その背後から軽やかな声が聞こえてきた。

「随分と気を張っているわね、ヴァルクライ卿」

振り返ると、そこにはディアナ・ローレンスが立っていた。薄暗い月明かりの下でも、彼女の凛とした姿は目を引くものがあった。

「ローレンス嬢……どうしてここに?」

「私たち“自由と平等の会”の情報網は、あなたの騎士団よりも速いのよ。旧ハロルド派が動いていることくらい、把握しているわ」

ディアナは自信たっぷりに言い放ち、肩をすくめる。

「とはいえ、騎士団だけに任せるのは心もとないから、協力してあげるわ。感謝なさいな」

「感謝しろ、だと……?」

レオンは半ば呆れながらも、ディアナの言葉に隠された本気を見抜いていた。

「なら、協力してもらおう。ただし、僕の指示には従ってもらう」

「ふふ、いいわよ。ただし、私の意見も尊重してくれるならね」

ディアナは挑戦的な笑みを浮かべ、二人は学園の裏手へと足を進めた。

旧ハロルド派が潜伏しているとされる場所は、学園の近くにある廃屋だった。ディアナは手際よく情報を整理し、潜入の準備を進める。

「あなた、意外と冷静なのね。こういう危険な任務には不慣れかと思っていたけれど」

「君みたいな素人と一緒にされちゃ困る。これでも王国騎士団の任務はこなしているからな」

レオンが軽く返すと、ディアナは口元に笑みを浮かべながらも、その目は真剣だった。

「……でも、こうして共闘するのは悪くないわね」

「そうか?」

「ええ。あなたの実直さは、少しだけ頼もしく思えるわ」

その言葉に、レオンは少しだけ照れた様子を見せる。しかし、すぐに顔を引き締めると、剣を抜いて前を指差した。

「話は後だ。まずは、目の前の問題を片付けるぞ」

「了解」

二人の間に奇妙な連帯感が生まれたその時、廃屋の奥から何者かの気配がした。

「来たか……!」

レオンはディアナをかばうように立ちはだかり、剣を構えた。次の瞬間、廃屋の扉が軋む音を立てて開き、数人の男たちが現れた。

「貴族の犬が……何の用だ」

男たちは鋭い目つきで二人を睨みつける。その視線には敵意が満ちていた。

「僕たちはただの犬じゃない。王国を守るためにここに来た」

レオンの言葉に男たちが一瞬動揺するが、すぐに嘲笑を浮かべた。

「守るだと? ふざけるな。お前たち貴族がこの国を壊してきたくせに……!」

男たちが襲いかかってくるその瞬間、ディアナが間に入った。

「待ちなさい!」

その声に男たちが動きを止める。ディアナの目は真剣そのもので、威圧感すら漂わせていた。

「私たちはあなたたちを潰すために来たのではないわ。話を聞くつもりがあるなら、私に協力しなさい」

「協力……だと?」

男たちが顔を見合わせる中、ディアナはさらに続けた。

「無駄な争いを続けるくらいなら、この国を変えるために私たちと手を組むべきよ」

その言葉に男たちは少しずつ態度を和らげた。しかし、その中に一人、鋭い目をしたリーダー格の男が前に出てくる。

「……話を聞くのは後だ。まずはお前たちが信用に足るかどうか試させてもらう」

その言葉とともに、レオンとディアナは新たな試練に直面することとなる――。
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