悪役令嬢の破滅フラグ?転生者だらけの陰謀劇!勝者は誰だ

藤原遊

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王宮の朝、アルフォンス殿下の執務室にレティシアとリシャールが揃い、ディアナとレオンも報告に訪れていた。
一同が集まり、それぞれの情報を持ち寄る中、いよいよ黒幕の輪郭が見え始めていた。

アルフォンス殿下が重い口調で話し始める。

「皆の協力で、今回の問題の輪郭がかなり明らかになってきた。どうやら、この件の背後には王宮内の一部と貴族社会が絡んでいる可能性が高い」

リシャールが資料をテーブルに広げながら補足する。

「偽造文書の筆跡が判明したが、特定には至っていない。ただし、この筆跡は過去にも宮廷の重要文書で使われていた記録がある」

レティシアがその資料を指差しながら言った。

「つまり、この筆跡の主は、宮廷内で文書作成に関与してきた人物の可能性が高いわね。そして、今もその力を利用して偽造を行っている」

「しかも、その文書が一部の貴族に流れ、旧ハロルド派を利用する形で拡散されている」

ディアナが続ける。

「旧ハロルド派の動きは、それを利用した貴族たちによってさらに煽られていました。そして、彼らの目的は明らかに王宮と殿下の信用を失墜させること」

レオンが深く頷いた。

「そのための策略が、旧ハロルド派を“道具”として使い、さらに王宮内に混乱を生むことだったんだ」

アルフォンス殿下はそれぞれの報告を聞き終えると、静かに頷いた。

「つまり、今回の問題は三つの層が絡み合っている。旧ハロルド派、貴族社会、そして王宮内部だ。これを解決するには、三方向から同時に対処する必要がある」

殿下の言葉に、一同がそれぞれ視線を交わした。

「では、次の方針を決めよう。まず、ディアナとレオン。君たちは旧ハロルド派のリーダーと接触し、彼らがこの策略に気づくよう促してほしい」

ディアナが頷いた。

「旧ハロルド派が道具として使われていると理解させることですね」

「そうだ。彼らが暴走を止めれば、貴族たちの思惑にも影響を与えることができる」

「了解しました」

レオンが力強く答えた。

「次に、レティシア嬢とリシャール卿。君たちには、貴族社会でさらに具体的な情報を掴んでほしい。特に、この筆跡に繋がる人物を特定する必要がある」

リシャールが微笑を浮かべた。

「お任せを。もう一押しで正体に辿り着ける気がしているよ」

レティシアも冷静に頷いた。

「私たちの方も、さらに踏み込んでいきます」

「最後に、マリアと僕だ」

アルフォンス殿下はマリアを見つめた。

「僕たちは王宮内での調査を続け、文書の流通経路を洗い出す。同時に、王宮内で影響力を持つ者たちを監視する必要がある」

マリアは不安げな表情を浮かべながらも、意を決したように頷いた。

「……分かりました、殿下」

「君の助けが必要だ、マリア」

アルフォンス殿下の優しい声に、彼女は少しだけ自信を取り戻すように見えた。

それぞれの役割を胸に、一同は再び行動を開始した。
ディアナとレオンは旧ハロルド派のリーダーと接触するため、彼らの拠点とされる隠れ家へと向かった。

「ディアナ、本当に大丈夫か? 奴らは簡単にこちらの話を聞いてくれるとは思えない」

レオンが警戒を口にするが、ディアナは毅然とした表情で答えた。

「それでもやるしかないわ。彼らが誰かに利用されていると知れば、考えを変えるかもしれない」

「分かった。僕が君を守る」

その言葉に、ディアナはわずかに微笑んだ。

一方、レティシアとリシャールは、筆跡に心当たりがある貴族を特定するため、夜会の情報網をさらに活用していた。
彼らの前に、次第に“協力者”として名前が浮上してくる貴族の姿が明らかになっていた。

「次に狙うのは、この人物だな」

リシャールが指差した名前に、レティシアが目を細めた。

「確かに、この人なら……王宮内との繋がりが深いわね」

「では、早速動こう。僕たちの直感が正しいと証明しに行こうじゃないか」

二人はお互いの意志を確認し、さらなる調査へと乗り出していった。

王宮内では、アルフォンス殿下とマリアが、文書が流通する経路に関する記録を精査していた。

「この資料を見てください、殿下。ここに不自然な空白があります。この時期に処理されたはずの文書が記録から抜け落ちています」

「確かに……ここが重要な手がかりになる。さらに深く調べてみよう」

マリアの報告に、アルフォンス殿下は感心した表情を見せた。

「君がここにいてくれて本当に助かるよ」

その言葉に、マリアは少し頬を赤らめながらも、真剣な表情を浮かべた。

「いえ、まだ何もできていません……でも、頑張ります」

それぞれの調査が進む中、黒幕の影が徐々に形を成し始めていた。彼らは一歩ずつ真実に近づきながら、同時にさらなる危機へと足を踏み入れていることを、まだ知らなかった。
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