悪役令嬢の破滅フラグ?転生者だらけの陰謀劇!勝者は誰だ

藤原遊

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ロランの計画が進行する中、それを阻止すべく動くアルフォンス殿下たち。各地で同時に進む行動が、ついに一つの点で交わろうとしていた。

夜が深まる王宮の廊下で、マリアは殿下とともにロランの執務室へと向かっていた。
緊張に包まれる中、マリアは足を止め、殿下に問いかけた。

「殿下、本当にロランが全ての黒幕なのでしょうか?」

殿下はその問いに一瞬目を閉じ、低い声で答えた。

「確信はまだない。しかし、これだけの状況証拠が揃う中で、彼が無関係だとは考えにくい」

「……そうですね」

マリアは頷きながらも、その目に不安が浮かんでいた。

「君の記録と観察が頼りだ。もし彼が嘘をつこうとすれば、それを見抜いてほしい」

「分かりました。私にできる限りのことをします」

二人は改めて歩みを進めた。

ロランの執務室に到着すると、扉の向こうから微かな物音が聞こえてきた。
殿下が慎重に扉を開くと、そこには焦燥感を隠しながら文書を整理しているロランの姿があった。

「ロラン、話がある」

その声に気づいたロランが振り返り、表情を硬くした。

「殿下……こんな夜更けにどうされました?」

「君に確認したいことがある。これまでの文書に関する問題について、君の関与を正直に話してほしい」

「私が……? それは何かの誤解では?」

ロランは笑顔を浮かべながらも、どこかぎこちない。マリアは彼の微妙な表情の変化を見逃さなかった。

「では、この筆跡について説明してもらおうか。この記録が示しているのは、君が偽造文書に関与していたという証拠だ」

殿下が示した資料に、ロランの目が一瞬だけ泳いだ。

「そ、それは……私の筆跡に似ているだけでは?」

マリアはその言葉に即座に反応し、静かに口を開いた。

「ロランさん、先ほど殿下がおっしゃったことに対して、あなたの視線が不自然に動きました。それに、この筆跡は過去の記録とも一致しています」

その冷静な指摘に、ロランは一瞬言葉を失った。

「……なるほど。殿下の部下は優秀だ」

ロランは諦めたように短く笑い、手元の文書を脇に押しやった。

「確かに、この文書は私が作ったものです。しかし、それがどうしました?」

「君はこの国を混乱に陥れる目的で偽造を行っていた。なぜだ?」

アルフォンス殿下の声には、怒りと失望が滲んでいた。ロランはしばらく黙り込んでいたが、やがて冷たい声で語り始めた。

「なぜ……? 簡単な話です。私は、この国が腐り切っていることを知っている。そして、その腐敗を暴くには、混乱を引き起こすしかなかった」

「だからといって、無関係な人々を巻き込むのは許されることではない」

「無関係な人々? 違います、彼らもまた、この腐敗の中で生きてきた者たちです。私は彼らに“真実”を見せてやっただけのこと」

ロランの言葉に、殿下は深く息を吐いた。

「君のやり方は間違っている。この国を変えたいという思いがあったのなら、他に方法があったはずだ」

「それを言うのは簡単でしょう、殿下。王族として守られてきたあなたに、私の立場の何が分かるというのです?」

その言葉に、殿下は一瞬黙り込んだが、静かに答えた。

「分からないかもしれない。しかし、だからこそ私は全ての人々のために行動する必要がある。それが王族の責務だ」

ロランは殿下の言葉に何かを感じ取ったのか、しばらく無言で立ち尽くしていた。

「……殿下、あなたの理想がどれほど高尚でも、この国は変わらない。いずれ、私が正しかったと分かる日が来るでしょう」

そう言い残し、ロランは隙を突いて部屋を飛び出した。

「待て!」

殿下が追いかけようとしたその瞬間、廊下の奥から複数の足音が響いてきた。
それは、ディアナとレオン、そして旧ハロルド派のリーダーたちだった。

「殿下、ロランを逃がすな!」

ディアナの叫び声に反応して、マリアもすぐに行動を開始した。

「殿下、こちらです!」

マリアは、ロランが逃げた方向を指差し、全員がその後を追った。

一方、リシャールとレティシアは、ロランが接触していたオズヴァルト侯爵の屋敷に乗り込んでいた。
侯爵は二人を見て顔を引きつらせながら、必死に平静を装った。

「一体何の用ですかな?」

「侯爵様、ロランの計画についてご存じのことをお聞きに来ました」

リシャールが静かに告げると、侯爵の顔色が青ざめた。

「私は何も知らん! あれは、全てロランが勝手にやったことだ!」

その言葉を聞きながら、レティシアは毅然とした口調で言葉を返した。

「では、なぜあなたが彼に協力していた記録が残っているのでしょう? 言い逃れはできません」

侯爵は追い詰められた表情を浮かべ、ついに全てを白状した。

「分かった、分かった! 私はただ、彼に助けを求められただけだ!」

その言葉を聞き、リシャールとレティシアは即座にロランの次の行動を推測し、王宮へと急行した。

王宮内の混乱の中、全員がロランを追い詰めるために動き始めていた。
物語はついに、その核心に迫りつつある――。
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