29 / 200
8章 古代戦場跡
②
しおりを挟む
戦場跡の奥に進むにつれ、空気が変わっていくのを二人は感じ取っていた。先ほどの狼型の魔物とは異なる、重く押し寄せるような魔力が漂い、周囲の温度も下がり始めている。
「なんか寒くない?」
アリアが腕をさすりながらつぶやく。
「ここは魔力が異常に濃い。温度低下もその影響だろう。」
イアンが杖を握りしめながら答える。
「でも、戻るわけにはいかないよね。どんどん奥に進もう!」
アリアは剣を構え、前を進む。
やがて二人は広場のような開けた場所にたどり着いた。その中心には巨大な石碑が立っており、黒いひび割れが無数に走っている。石碑の周囲には、かつての戦いの名残と思われる武具が散乱していた。
「この石碑、どこかで見たことがあるような……。」
イアンが近づきながら言う。
「そういえば、黒の峡谷の遺跡の石碑に似てない?」
アリアが石碑を指差す。
「似ているが、これはより古く、荒れ果てている。この場所も遺跡の一部だった可能性がある。」
イアンは慎重に石碑を観察した。
突然、石碑が淡く光り始めた。黒いひび割れから霧のような魔力が漏れ出し、周囲の空間が歪み始める。
「ちょっと!また何か来るの!?」
アリアが剣を構えた瞬間、霧の中から人影が現れた。
現れたのは、鎧に身を包んだ騎士のような姿をした魔物だった。だが、その姿はどこか不自然で、体の一部が霧に溶け込んでいる。
「これは……魔力が形を取った存在。」
イアンが低く呟く。
騎士型の魔物は無言で剣を引き抜くと、二人に向かって突進してきた。
「やるしかないね!」
アリアが叫び、剣を振り上げる。
アリアの「選ばれし刃」が青白い光を放ち、騎士の剣と激しくぶつかり合う。しかし、騎士の剣から放たれる黒い魔力の波動が、アリアを大きく後退させた。
「くっ……なんて力だ!」
アリアが息を整える。
「この魔物の力は、石碑から供給されている可能性があります。石碑を破壊する必要があるかもしれません。」
イアンが冷静に分析する。
「でも、このままじゃ動けないよ!」
アリアが騎士に再び突進するが、攻撃を受け流され、黒い魔力の刃が彼女をかすめた。
「下がれ、アリア!」
イアンが杖を構え、氷の槍を放つ。槍は騎士の動きを一瞬止めたが、すぐに黒い霧にかき消された。
「こんなのキリがないじゃん!」
アリアが焦りの声を上げる。
「君の剣が鍵です。石碑に向けて、その刃を振るう必要があります。」
イアンが叫ぶ。
「分かった!」
アリアは剣を握りしめ、全力で石碑に向かって突進した。
騎士の剣が迫る中、アリアの剣が再び強く光を放ち、彼女の体全体が青白い輝きに包まれた。
「行けええええ!」
アリアが叫びながら剣を振り下ろすと、光の刃が石碑を貫いた。
石碑が砕け散ると同時に、騎士の体も霧となって消え去った。周囲の空気が一気に和らぎ、冷たい霧が晴れていく。
「やった……?」
アリアが剣を下ろし、息を切らしながら振り返る。
「見事でした。君の剣が、この地に残る魔力を断ち切ったようです。」
イアンが彼女に歩み寄り、静かに言った。
「でも、何でこんな剣が私に反応するんだろう。」
アリアが剣を見つめる。
「それは、この剣が君を『選ばれし者』と認めているからだ。理由は分からなくとも、君にはその資格があるのだろう。」
イアンの言葉に、アリアは少しだけ頷いた。
その後、二人は戦場跡のさらに奥へ進み、新たな遺物を発見する。それは、魔王との戦いに関する記録を記した石板だった。
「この記録……『封印の鍵を持つ者、その刃で秩序を繋ぐ』。」
イアンが石板を読み上げる。
「封印の鍵って、この剣のこと?」
アリアが剣を見つめる。
「可能性が高い。この剣が、魔王を封じる力を持っていたとしても不思議ではない。」
「じゃあ、私が魔王を止めるってこと?」
アリアが真剣な表情で聞く。
「それを知るためにも、さらなる調査が必要です。」
イアンが静かに答えた。
二人は新たな手がかりを手にし、ギルドへ戻るために戦場跡を後にした。その胸には、それぞれ新たな決意が芽生え始めていた。
ステータス画面
アリア・マーウェラ
• レベル: 12
• 職業: 剣士(盾なし)
• 体力: 30
• 魔力: 0
• 力: 25
• 敏捷: 19
• 器用: 15
• 知力: 8
• 精神: 12
スキル一覧
• 剣の扱い Lv.5
• 投擲 Lv.1
• 身体強化 Lv.2
• 戦闘直感(パッシブ)
• 特別装備: 選ばれし刃(第一段階解放 / 魔力を断ち切る力)
イアン
• レベル: 14
• 職業: 魔法使い(呪術特化)
• 体力: 10
• 魔力: 43
• 力: 6
• 敏捷: 11
• 器用: 14
• 知力: 27
• 精神: 25
スキル一覧
• 氷結魔法 Lv.4
• 魔力制御 Lv.3
• 詠唱短縮 Lv.2
• 炎魔法付与 Lv.1
• 呪いの触(自動発動 / パッシブ)
「なんか寒くない?」
アリアが腕をさすりながらつぶやく。
「ここは魔力が異常に濃い。温度低下もその影響だろう。」
イアンが杖を握りしめながら答える。
「でも、戻るわけにはいかないよね。どんどん奥に進もう!」
アリアは剣を構え、前を進む。
やがて二人は広場のような開けた場所にたどり着いた。その中心には巨大な石碑が立っており、黒いひび割れが無数に走っている。石碑の周囲には、かつての戦いの名残と思われる武具が散乱していた。
「この石碑、どこかで見たことがあるような……。」
イアンが近づきながら言う。
「そういえば、黒の峡谷の遺跡の石碑に似てない?」
アリアが石碑を指差す。
「似ているが、これはより古く、荒れ果てている。この場所も遺跡の一部だった可能性がある。」
イアンは慎重に石碑を観察した。
突然、石碑が淡く光り始めた。黒いひび割れから霧のような魔力が漏れ出し、周囲の空間が歪み始める。
「ちょっと!また何か来るの!?」
アリアが剣を構えた瞬間、霧の中から人影が現れた。
現れたのは、鎧に身を包んだ騎士のような姿をした魔物だった。だが、その姿はどこか不自然で、体の一部が霧に溶け込んでいる。
「これは……魔力が形を取った存在。」
イアンが低く呟く。
騎士型の魔物は無言で剣を引き抜くと、二人に向かって突進してきた。
「やるしかないね!」
アリアが叫び、剣を振り上げる。
アリアの「選ばれし刃」が青白い光を放ち、騎士の剣と激しくぶつかり合う。しかし、騎士の剣から放たれる黒い魔力の波動が、アリアを大きく後退させた。
「くっ……なんて力だ!」
アリアが息を整える。
「この魔物の力は、石碑から供給されている可能性があります。石碑を破壊する必要があるかもしれません。」
イアンが冷静に分析する。
「でも、このままじゃ動けないよ!」
アリアが騎士に再び突進するが、攻撃を受け流され、黒い魔力の刃が彼女をかすめた。
「下がれ、アリア!」
イアンが杖を構え、氷の槍を放つ。槍は騎士の動きを一瞬止めたが、すぐに黒い霧にかき消された。
「こんなのキリがないじゃん!」
アリアが焦りの声を上げる。
「君の剣が鍵です。石碑に向けて、その刃を振るう必要があります。」
イアンが叫ぶ。
「分かった!」
アリアは剣を握りしめ、全力で石碑に向かって突進した。
騎士の剣が迫る中、アリアの剣が再び強く光を放ち、彼女の体全体が青白い輝きに包まれた。
「行けええええ!」
アリアが叫びながら剣を振り下ろすと、光の刃が石碑を貫いた。
石碑が砕け散ると同時に、騎士の体も霧となって消え去った。周囲の空気が一気に和らぎ、冷たい霧が晴れていく。
「やった……?」
アリアが剣を下ろし、息を切らしながら振り返る。
「見事でした。君の剣が、この地に残る魔力を断ち切ったようです。」
イアンが彼女に歩み寄り、静かに言った。
「でも、何でこんな剣が私に反応するんだろう。」
アリアが剣を見つめる。
「それは、この剣が君を『選ばれし者』と認めているからだ。理由は分からなくとも、君にはその資格があるのだろう。」
イアンの言葉に、アリアは少しだけ頷いた。
その後、二人は戦場跡のさらに奥へ進み、新たな遺物を発見する。それは、魔王との戦いに関する記録を記した石板だった。
「この記録……『封印の鍵を持つ者、その刃で秩序を繋ぐ』。」
イアンが石板を読み上げる。
「封印の鍵って、この剣のこと?」
アリアが剣を見つめる。
「可能性が高い。この剣が、魔王を封じる力を持っていたとしても不思議ではない。」
「じゃあ、私が魔王を止めるってこと?」
アリアが真剣な表情で聞く。
「それを知るためにも、さらなる調査が必要です。」
イアンが静かに答えた。
二人は新たな手がかりを手にし、ギルドへ戻るために戦場跡を後にした。その胸には、それぞれ新たな決意が芽生え始めていた。
ステータス画面
アリア・マーウェラ
• レベル: 12
• 職業: 剣士(盾なし)
• 体力: 30
• 魔力: 0
• 力: 25
• 敏捷: 19
• 器用: 15
• 知力: 8
• 精神: 12
スキル一覧
• 剣の扱い Lv.5
• 投擲 Lv.1
• 身体強化 Lv.2
• 戦闘直感(パッシブ)
• 特別装備: 選ばれし刃(第一段階解放 / 魔力を断ち切る力)
イアン
• レベル: 14
• 職業: 魔法使い(呪術特化)
• 体力: 10
• 魔力: 43
• 力: 6
• 敏捷: 11
• 器用: 14
• 知力: 27
• 精神: 25
スキル一覧
• 氷結魔法 Lv.4
• 魔力制御 Lv.3
• 詠唱短縮 Lv.2
• 炎魔法付与 Lv.1
• 呪いの触(自動発動 / パッシブ)
0
あなたにおすすめの小説
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
【12月末日公開終了】有能女官の赴任先は辺境伯領
たぬきち25番
恋愛
辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26)
ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。
そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。
そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。
だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。
仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!?
そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく……
※お待たせしました。
※他サイト様にも掲載中
猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める
遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】
猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。
そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。
まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。
神様の忘れ物
mizuno sei
ファンタジー
仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。
わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない
しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。
異世界転生したおっさんが普通に生きる
カジキカジキ
ファンタジー
第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位
応援頂きありがとうございました!
異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界
主人公のゴウは異世界転生した元冒険者
引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。
知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる