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31章 アトリスの廃城
④
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廃城の内部は、崩れかけた石造りの壁と散らばる瓦礫が目立つ荒廃した光景だった。だが、ただの廃墟ではない。空間全体が魔力に満ちており、その気配が三人の進む足を重くさせていた。
「なんか、やたらと息苦しいね……。」
アリアが呟きながら、盾を片手に周囲を警戒する。彼女の声には少し疲労が混じっていた。
「空間そのものが魔力に満ちている。この密度は尋常じゃない。」
イアンが杖を握りしめながら答える。彼の瞳には冷静な光が宿っていたが、その表情は険しい。
「注意しろ。この先、罠や魔物がさらに厄介になるはずだ。」
ルイスが低い声で言うと、三人はさらに慎重に進んでいった。
廊下の奥からかすかな音が聞こえた次の瞬間、壁の隙間から光の矢が飛び出した。
「来た!」
アリアが素早く盾を構え、矢を受け止める。鋭い衝撃が盾を伝い、彼女の腕に重く響いた。
「なんだこれ……ただの矢じゃない!」
「魔力で形成された矢だな。防御を貫通する特性がある。」
イアンが冷静に矢を観察しながら、杖を振って土壁を作り出す。その壁が新たな矢を防ぎ、音を立てて崩れた。
「ここに留まっても仕方ない。突破するぞ!」
ルイスが叫び、前方へ駆け出す。彼の剣が雷光を纏い、壁に刻まれた魔法陣を一閃で破壊した。
「……通ったみたいだね。」
アリアが息を整えながら言うと、ルイスが軽く肩をすくめた。
「魔力の罠は、魔力で対抗するのが一番手っ取り早い。」
「私の剣でも通用するかな……?」
「お前の場合は……正攻法で斬り伏せる方がいいだろう。」
その返事にアリアが少しムッとした顔をするが、すぐに笑った。
次の広間に足を踏み入れた瞬間、重い足音が響いた。暗闇の中から、二足歩行の魔物――黒い甲殻を纏った異形が姿を現す。
「来たか……!」
イアンが素早く魔法を詠唱し、氷の刃を放つ。だが、魔物の甲殻がその刃を弾き返した。
「硬い!」
「なら、俺が……!」
ルイスが前に出て、剣を振るう。雷光が魔物の甲殻を裂き、わずかな隙間を作り出した。
「アリア、今だ!」
「了解!」
アリアがその隙を見逃さず、剣を振り下ろす。その一撃が魔物の急所を貫き、地響きとともに魔物が崩れ落ちた。
「……いい連携だったな。」
イアンが短く言うと、アリアは少し誇らしげに笑った。
「でしょ? 私たち、だいぶ息が合ってきたよね!」
「調子に乗るなよ。まだ先がある。」
ルイスが淡々とした声で言うが、その目にはわずかな笑みが浮かんでいた。
広間を抜け、次の部屋に向かう途中。短い休憩を取ることになり、三人は石壁に腰を下ろしていた。
アリアがため息をつきながら言った。
「はぁ……休むと、急に疲れが出るよね。」
「だから無茶をするなと言っただろう。」
イアンが呆れたように言うと、アリアは少し拗ねた表情で彼を見た。
「無茶してないもん。ただ、私なりに頑張ってるだけで。」
「その結果、無理をしてるんだ。」
イアンの冷静な声に、アリアは言葉を詰まらせた。だが、彼がほんの少し微笑んで言葉を続ける。
「……それでも、お前が前に立ってくれるおかげで、俺たちが安全に戦えるのも事実だ。だから、感謝してる。」
「……え?」
不意の言葉に、アリアは驚いた顔でイアンを見た。その顔が微かに赤くなるのを、彼は気づかないふりをしてそっと視線を逸らす。
「それだけだ。休憩が終わったら、次に行くぞ。」
「……うん。」
アリアは小さく頷き、その横顔をじっと見つめた。
「なんか、やたらと息苦しいね……。」
アリアが呟きながら、盾を片手に周囲を警戒する。彼女の声には少し疲労が混じっていた。
「空間そのものが魔力に満ちている。この密度は尋常じゃない。」
イアンが杖を握りしめながら答える。彼の瞳には冷静な光が宿っていたが、その表情は険しい。
「注意しろ。この先、罠や魔物がさらに厄介になるはずだ。」
ルイスが低い声で言うと、三人はさらに慎重に進んでいった。
廊下の奥からかすかな音が聞こえた次の瞬間、壁の隙間から光の矢が飛び出した。
「来た!」
アリアが素早く盾を構え、矢を受け止める。鋭い衝撃が盾を伝い、彼女の腕に重く響いた。
「なんだこれ……ただの矢じゃない!」
「魔力で形成された矢だな。防御を貫通する特性がある。」
イアンが冷静に矢を観察しながら、杖を振って土壁を作り出す。その壁が新たな矢を防ぎ、音を立てて崩れた。
「ここに留まっても仕方ない。突破するぞ!」
ルイスが叫び、前方へ駆け出す。彼の剣が雷光を纏い、壁に刻まれた魔法陣を一閃で破壊した。
「……通ったみたいだね。」
アリアが息を整えながら言うと、ルイスが軽く肩をすくめた。
「魔力の罠は、魔力で対抗するのが一番手っ取り早い。」
「私の剣でも通用するかな……?」
「お前の場合は……正攻法で斬り伏せる方がいいだろう。」
その返事にアリアが少しムッとした顔をするが、すぐに笑った。
次の広間に足を踏み入れた瞬間、重い足音が響いた。暗闇の中から、二足歩行の魔物――黒い甲殻を纏った異形が姿を現す。
「来たか……!」
イアンが素早く魔法を詠唱し、氷の刃を放つ。だが、魔物の甲殻がその刃を弾き返した。
「硬い!」
「なら、俺が……!」
ルイスが前に出て、剣を振るう。雷光が魔物の甲殻を裂き、わずかな隙間を作り出した。
「アリア、今だ!」
「了解!」
アリアがその隙を見逃さず、剣を振り下ろす。その一撃が魔物の急所を貫き、地響きとともに魔物が崩れ落ちた。
「……いい連携だったな。」
イアンが短く言うと、アリアは少し誇らしげに笑った。
「でしょ? 私たち、だいぶ息が合ってきたよね!」
「調子に乗るなよ。まだ先がある。」
ルイスが淡々とした声で言うが、その目にはわずかな笑みが浮かんでいた。
広間を抜け、次の部屋に向かう途中。短い休憩を取ることになり、三人は石壁に腰を下ろしていた。
アリアがため息をつきながら言った。
「はぁ……休むと、急に疲れが出るよね。」
「だから無茶をするなと言っただろう。」
イアンが呆れたように言うと、アリアは少し拗ねた表情で彼を見た。
「無茶してないもん。ただ、私なりに頑張ってるだけで。」
「その結果、無理をしてるんだ。」
イアンの冷静な声に、アリアは言葉を詰まらせた。だが、彼がほんの少し微笑んで言葉を続ける。
「……それでも、お前が前に立ってくれるおかげで、俺たちが安全に戦えるのも事実だ。だから、感謝してる。」
「……え?」
不意の言葉に、アリアは驚いた顔でイアンを見た。その顔が微かに赤くなるのを、彼は気づかないふりをしてそっと視線を逸らす。
「それだけだ。休憩が終わったら、次に行くぞ。」
「……うん。」
アリアは小さく頷き、その横顔をじっと見つめた。
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