【書籍化に伴い近日一部非公開へ移行予定】幼女となった社畜は異世界の救世主となる

藤原遊

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第1部

14章 塔への挑戦

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早朝の王城を薄紅の光が包み始めた頃、ミユは城門前に集まった一行の顔を見上げていた。昨晩、オーウェンがもたらした報告によれば、王都近郊に突如として現れた謎の塔が、今回の魔物の異常な動きの中心である可能性が高いという。

「君たちが向かうべき場所は、この塔だ」とオーウェンが指し示した地図の一点には、これまで存在しなかった建造物が記されていた。

「王都防衛の影響で、周辺の魔物の活動が一時的に低下している今が好機だ。しかし、塔の中に何が待ち受けているかは分からない」と彼が静かに付け加えると、全員が真剣な表情で頷いた。

ルイスが一歩前に出て、視線を全員に向けた。

「塔への探索は僕、ライアン、エリオット、そしてミユの少人数で行う。セドリック卿とオーウェンは、王都の防衛体制を引き続き整えてくれ。塔の中での危険は予想以上だ。慎重に進むが、何かあれば即座に戻る」
「それでいいだろう。ただし、無理をするな」とセドリック卿が厳しい口調で応じた。

ミユは緊張を隠せないまま、皆の言葉を静かに聞いていた。

(本当に……私が役に立てるのかな……)

その時、ルイスが彼女のそばに歩み寄り、柔らかい声で言った。

「ミユ、君がそばにいるだけで大丈夫だ。僕たちがいる限り、君に危険は及ばせない」

彼の言葉に、ミユは小さく頷いた。

「はい……私も頑張ります」

塔に到着したのは、昼を過ぎた頃だった。目の前にそびえる異様な建造物は、黒い石でできており、見る者を圧倒するような不気味さを漂わせていた。周囲にはわずかに漂う霧が陽光を遮り、その中で何かが動く気配があった。

「ここが……例の塔か」

ライアンが剣を握りしめ、警戒を強める。

エリオットが杖を軽く振りながら、冗談めかした声で言った。

「うーん、見るからに悪そうな雰囲気だね。帰った方がよさそうかな?」
「ここまで来て逃げる選択肢はないぞ」とライアンが呆れた声を返す。

ミユはそのやり取りに少しだけ緊張を和らげられた気がしたが、塔の入り口から漂う冷たい空気が彼女を再び硬直させた。

「行こう。まずは入口を確認する」

ルイスが先頭に立ち、一行を誘導する。

塔の扉は思ったよりも簡単に開いた。中に入ると、異様な冷気と不気味な光が広がる空間が現れた。壁には奇妙な文字が刻まれており、床には魔法陣のような紋様が描かれている。

「罠が仕掛けられているかもしれない。注意して進もう」とライアンが低い声で警告を発した。

全員が慎重に歩を進める中、エリオットが壁に刻まれた文字を見て小さく呟いた。

「これ……古代の魔術に使われる文様だね。ここで何か大きな儀式でもしてたのかな?」

「その可能性は高い」とルイスが答えた。「これだけの力を集めるには、単なる拠点ではなく何か目的があったはずだ」

ミユは辺りを見渡しながら、小さく息を呑んだ。

(ここには……何が隠されているんだろう……)

塔の内部は迷路のように入り組んでおり、進むたびに奇妙な音が響き渡る。やがて、一行は広間のような空間にたどり着いた。その中央には、大きな魔法陣が描かれており、その周囲には無数の黒い結晶が配置されていた。

「この魔法陣……何かを召喚するためのものか?」

ライアンが剣を構えながら警戒を強める。

その瞬間、黒い結晶の一つが突然光を放ち、辺りに霧が広がった。そして、霧の中から次々に魔物が現れ、一行に襲いかかってきた。

「来たぞ! 全員、防衛を固めろ!」

ルイスが鋭い声で指示を飛ばす。

ライアンが剣を振るい、魔物の攻撃を防ぎながら反撃する。エリオットは次々に魔法を放ち、霧の中にいる魔物を攻撃する。ミユもまた光の力を解き放ち、仲間たちを支える。

「ミユ、その力で僕たちの体力を回復してくれ!」

エリオットが叫ぶと、ミユは小さく頷き、全身の力を込めて光を広げた。

彼女の光は仲間たちを回復するだけでなく、魔物たちの動きを一瞬鈍らせた。その間にルイスが剣を振り下ろし、魔物を一掃する。

戦いが収まった後、広間は再び静寂に包まれた。ルイスが剣を下ろしながら、周囲を確認する。

「ここがまだ入り口だとすれば、先はさらに危険だろう。慎重に進む必要がある」

全員が頷き、それぞれの武器を握り直した。ミユもまた、胸の奥で緊張を抑えながら、自分にできることを考えていた。
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