【書籍化に伴い近日一部非公開へ移行予定】幼女となった社畜は異世界の救世主となる

藤原遊

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第1部

16章 深淵の声

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塔の奥へ進むと、空気がさらに重く、息苦しささえ感じるようになっていた。暗い回廊を抜けた一行の目の前に、突然、大きな空間が広がった。その中央にそびえる黒い結晶は、異様なまでの存在感を放っていた。

「……こんなもの、見たこともない」

ライアンが足を止め、低い声で呟いた。

結晶は天井近くまで届くほど巨大で、その表面には不規則な模様が浮かび上がっている。模様の中には、まるで苦痛に歪む顔のような形がいくつも浮かび上がっては消えていった。

「なんて不気味なんだ……」

エリオットが眉をしかめながら結晶を見上げた。

「ただの魔力の結晶じゃない。何かもっと別の意図が込められてる感じがするよ」

ミユもまた、結晶を見つめながら小さく震えていた。目を背けたくなるような禍々しさがあり、それを見ているだけで心に重い石を乗せられたような感覚がする。

「これがこの塔の中心にあるということは、何か重要な役割を担っているはずだ」とルイスが剣を構えたまま、鋭い目で結晶を見据えた。

オーウェンが壁に刻まれた文字を読みながら静かに言った。

「これだけ強力な結晶を作るには、膨大な魔力と意図が必要だ。おそらく、何かを封じ込めるか、逆に何かを呼び出すためのものだろう」

その言葉に、ミユの胸がざわついた。彼女は結晶から漂う不気味な光を見つめながら、かすかに聞こえるざわめきのような音を耳に感じた。

「これ……声が聞こえる気がします……」

彼女が震える声で言うと、全員が彼女を振り返った。

「声?」

ライアンが眉をひそめた。

「はい……誰かが、何かを囁いてるみたいで……でも、何を言っているのか分からないんです」

ミユは耳を抑えながら、少しだけ顔を歪めた。

エリオットが神妙な顔つきで杖を握り直しながら呟いた。

「それって……」

その瞬間、結晶が突如として赤い光を放ち、周囲に漂っていた霧が渦を巻き始めた。その不気味な光景に、一行全員が剣や杖を構え、身構えた。

「来るぞ!」

ルイスが鋭く叫び、一行は一気に緊張を高めた。

結晶から現れた影は、全身を黒い鎖で覆い、赤い目を持つ巨人のような姿をしていた。その圧倒的な威圧感が広間全体に満ち、一行の足元にまで響くような低い唸り声を上げていた。

「歓迎するぞ……愚か者どもよ」

低く冷たい声が広間に響き渡った。

「やはり、これが黒幕か……!」

エリオットが声を上げた。

「ここで倒さなければ、結晶の力がさらに悪用されるだろう」

ルイスが剣を振り上げ、一行を守るように前に立った。その言葉に全員が頷き、魔物に向かって構えを取った。
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