【書籍化に伴い近日一部非公開へ移行予定】幼女となった社畜は異世界の救世主となる

藤原遊

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第3部

8章結晶に潜む真実

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翌朝、王宮の魔術研究室では、オーウェンが結晶の欠片を前に集中していた。エリオットも手伝いながら、昨夜の異変の原因を探ろうとしている。

「やはり、何らかの強い魔力か、特殊な気配に反応したようだな。」オーウェンが低く呟きながら、魔力計の数値を確認する。

「でも、その“強い魔力”ってのがどこから来たのかが問題だ。」

エリオットが欠片を軽く杖で指しながら言う。

「俺が魔力を流したから反応した……ってのはあるけど、それだけじゃ説明がつかない気がするんだよな。」

「そうだな。」

オーウェンは考え込むように腕を組んだ。

「結晶そのものの特性をさらに掘り下げる必要がある。だが、昨夜のような反応が続くようなら、この力を持つ者が何者であるか、早急に特定する必要がある。」

エリオットは少し軽い口調で言った。

「その特定ってのは、王族に絞られるってわけか? だったらルイスに試してもらえばいいんじゃないか?」

その言葉にオーウェンは顔をしかめた。

「ルイス殿下に直接試させるのは、危険が伴うかもしれない。結晶の力が完全に制御できない以上、何が起こるか分からないからな。」

一方、ミユは王宮の庭を歩きながら、昨夜の出来事を思い返していた。結晶が王族に反応する可能性があるという話――そして、それがルイス様にどう関わるのか。

「もし、ルイス様が本当にエルフィナスの血を引いていなかったら……結晶は反応しないのかもしれない。」

ミユは小さく呟き、胸の中の重みが増していくのを感じた。

その時、エリオットがふらりと現れた。

「おーい、ミユ。朝からそんな難しい顔してると、鳥たちも逃げてっちまうぞ。」

「エリオット様!」

ミユは驚きながらも少し笑顔を取り戻した。

「いえ、ちょっと考え事をしていただけです。」

「なるほどね。ま、俺がいるから安心して考え込めってことだな。」

エリオットは軽い調子でそう言いながら、ミユの隣に座った。

少しの沈黙の後、ミユはエリオットに向き直った。

「エリオット様……昨夜の結晶のこと、もしルイス様に試していただくべきかどうか、私は迷っています。」

「ほう、そこまで踏み込むか。」

エリオットは目を細めながら彼女を見た。

「理由は分かるけど、君はルイスのことを相当心配してるんだな。」

ミユは小さく頷いた。

「はい。でも、それと同時に、もし私の判断が間違っていたらと思うと……怖くて。」

エリオットはしばらく黙った後、ふっと小さく笑った。

「こんな風に真剣に悩んでくれる君を、ルイスは本当に幸せ者だよな。」

その言葉を口にした瞬間、自分でも驚き、エリオットは慌てて頭を振った。

「いやいや、変な意味じゃないぞ! ただ、君がそこまで想ってくれるのはすごいって話だ。」

彼は照れ隠しのように笑いながら続けた。

「とにかく、無理するな。ルイスのことは俺も一緒に考えるからさ。」

ミユはその言葉に少しだけ気持ちが軽くなった。

「ありがとうございます、エリオット様。」

その日の午後、オーウェンが魔術研究室で呼びかけた。

「ルイス殿下、少しお時間をいただけますか?」

ルイスが研究室に現れると、オーウェンは深刻な表情で結晶の欠片を示した。

「結晶が持つ力をさらに解明するため、殿下にご協力いただきたいのです。」

「僕がこの結晶に触れるということか?」

ルイスは冷静に尋ねた。

「はい。」

オーウェンが慎重に説明する。

「結晶の反応は王族の血筋に関係している可能性があります。その確認のために、殿下に干渉していただきたいのです。」

ルイスはしばらく考え込んだ後、静かに頷いた。

「分かった。必要なことなら協力しよう。」

ミユはそのやり取りを見守りながら、心の中で祈った。

「どうか、何事も起きませんように……」
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