【書籍化に伴い近日一部非公開へ移行予定】幼女となった社畜は異世界の救世主となる

藤原遊

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第3部

25章結晶の暴走

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砦の中心に立つセシル王子は、赤く脈動する結晶を高く掲げていた。その光は周囲に溢れ出し、空間全体を不安定にしている。

「これが世界を変える力だ!」

セシル王子の声は高揚し、狂気が滲んでいた。

「この力で、私は誰よりも強く、誰よりも偉大な存在になる!」

「止めろ、セシル!」

ルイスが剣を構えながら叫ぶ。

「その力はお前を滅ぼすだけだ!」

「滅ぼす? この力を恐れているのか、ルイス!」

セシル王子は嘲笑を浮かべながら、結晶の光をさらに増幅させた。

その瞬間、地面が激しく揺れ、砦の壁が崩れ始めた。

「結晶が暴走している……!」

エリオットが眉をひそめながら魔力の乱れを感知する。

「ミユ、光の力で暴走を抑えられるか?」

ライアンが焦りの中で問いかける。

ミユは息を整えながら頷いた。

「試してみます……!」

ミユは結晶の前に進み出ると、手のひらに光を集め始めた。その光は暖かく、柔らかい力を持ちながらも、結晶の暴れ狂う力に圧されていた。

「やめろ!その光は……!」

セシル王子が一瞬たじろいだ。

ミユは祈るように手を差し伸べた。


「この世界を守るために、どうか力を静めて……!」

結晶から溢れる赤い光とミユの光がぶつかり合い、一瞬の閃光が砦全体を照らす。その光景を見守るルイスは、彼女の小さな背中に目を奪われていた。

「君がこの世界に来た理由……それを、今掴もうとしているのか。」

ルイスは剣を握り締めながら、彼女を見守ることしかできない自分を悔いていた。

「くそっ、私はまだ……!」

セシル王子は結晶を取り戻そうと足を踏み出したが、セドリック卿がその前に立ち塞がった。

「ここまでだ、セシル殿下。」

セドリック卿は重々しく剣を構えた。

「その行動は、これ以上許されない。」

ライアンも援護に入り、王子を押さえ込む。彼の叫び声が砦中に響くが、次第に力を失っていった。

一方、ミユの光が結晶の暴走を完全に押さえ込んだ瞬間、赤い光が静かに消え、結晶は砕けるように散っていった。

「砦が崩れるぞ!」

エリオットが叫び、全員が脱出を図る。瓦礫が崩れる音と共に、砦の構造は次第に崩壊していった。

ミユは光の余韻に包まれながら立ち尽くしていたが、ルイスが駆け寄り、彼女の手を引いた。

「ミユ、早く!」

ルイスの声に、ミユははっと我に返り、共に走り出した。

砦から脱出した一行は、遠くで砦が完全に崩壊するのを見届けた。ミユは胸に残る結晶の破片を見つめ、複雑な表情を浮かべていた。

「結晶は……私に何かを託したような気がします。」

彼女は静かに呟いた。

「その答えを探すために、次の一歩を踏み出そう。」

ルイスが優しく答えた。

「女神に返すべきだと思うなら、僕たちも全力で協力する。」

「はい……この結晶の光を、女神様の元へ返しに行きます。」

ミユは決意を固めた瞳で、ルイスを見上げた。

彼は彼女の決意を受け止め、小さく頷く。

「共に行こう、ミユ。君が選んだ道を支えるために。」
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