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第9章 教育の本格化
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昼は礼儀作法と音楽。
夕刻は祖父とヴィルヘルムに混じっての戦術研究。
体の芯まで疲れ切った夜――リヒャルトが、領主からの手紙を差し出した。
「……父様が、私を?」
「はい。執務室にてお待ちとのことです」
半ばふらつきながらも足を運ぶと、そこにはいつものように緩やかに微笑む父、レオポルトの姿があった。
「来てくれてありがとう、エレオノーラ」
机に広げられていたのは、城の図面と、魔力供給の系統図。
「これは……?」
「城の維持の仕組みと、魔力供給の管理方法だよ。領主を目指すなら、知っておかないといけない」
そう前置きしてから、レオポルトは淡々と語り出した。
「僕たちの一族は、元々“大領地らしい城を維持するための要員”みたいなものだった。言ってしまえば、かさ増し役さ。粛清で本家が潰れて、気づいたら僕らが繰り上がって領主になっただけなんだ」
エレオノーラは迷いながら、胸の奥にあった疑問を口にした。
「……でも、普通は実子に相続させるものと聞きました。イザベラ姉様は継ぐ気がないみたいですが……ユルゲン様では、駄目なのですか?」
レオポルトは一瞬だけ目を細め、それから静かに微笑んだ。
「うん。ユルゲンでももちろん構わない。でもね、エレオノーラがやりたいなら――君がやればいいと思う」
その声には、押しつけも、計算もなかった。
ただ、ありのままの父の本音がそこにあった。
「本当は僕なんて領主に向いてないんだ。ほら、従兄弟……兄上の楽士をしていたくらいだし」
冗談めかして笑いながらも、その目は静かに重さを湛えていた。
(父様……そんな風に考えていたんだ)
普段は穏やかで、ゆるいようにしか見えなかった父。
けれどその実、彼もまた領のために苦しみ、考え続けていたのだと悟り、息が詰まる。
私は強く拳を握った。
(……父様も背負ってる。なら、私も――強くならなきゃ)
決意が胸に深く刻まれ、夜の静寂に溶けていった。
夕刻は祖父とヴィルヘルムに混じっての戦術研究。
体の芯まで疲れ切った夜――リヒャルトが、領主からの手紙を差し出した。
「……父様が、私を?」
「はい。執務室にてお待ちとのことです」
半ばふらつきながらも足を運ぶと、そこにはいつものように緩やかに微笑む父、レオポルトの姿があった。
「来てくれてありがとう、エレオノーラ」
机に広げられていたのは、城の図面と、魔力供給の系統図。
「これは……?」
「城の維持の仕組みと、魔力供給の管理方法だよ。領主を目指すなら、知っておかないといけない」
そう前置きしてから、レオポルトは淡々と語り出した。
「僕たちの一族は、元々“大領地らしい城を維持するための要員”みたいなものだった。言ってしまえば、かさ増し役さ。粛清で本家が潰れて、気づいたら僕らが繰り上がって領主になっただけなんだ」
エレオノーラは迷いながら、胸の奥にあった疑問を口にした。
「……でも、普通は実子に相続させるものと聞きました。イザベラ姉様は継ぐ気がないみたいですが……ユルゲン様では、駄目なのですか?」
レオポルトは一瞬だけ目を細め、それから静かに微笑んだ。
「うん。ユルゲンでももちろん構わない。でもね、エレオノーラがやりたいなら――君がやればいいと思う」
その声には、押しつけも、計算もなかった。
ただ、ありのままの父の本音がそこにあった。
「本当は僕なんて領主に向いてないんだ。ほら、従兄弟……兄上の楽士をしていたくらいだし」
冗談めかして笑いながらも、その目は静かに重さを湛えていた。
(父様……そんな風に考えていたんだ)
普段は穏やかで、ゆるいようにしか見えなかった父。
けれどその実、彼もまた領のために苦しみ、考え続けていたのだと悟り、息が詰まる。
私は強く拳を握った。
(……父様も背負ってる。なら、私も――強くならなきゃ)
決意が胸に深く刻まれ、夜の静寂に溶けていった。
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