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第10章 大蛇襲来
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父の執務室を訪れたとき、ふと目が留まった。
父の背後に控える側近護衛たちは、皆が年配で、白髪や深い皺が目立つ。礼儀正しく立ってはいるけれど、動きの一つひとつに年齢の重みが滲んでいた。
(……若い人がいない……どうして?)
瞬間、答えが頭に浮かんだ。
元々父は優先順位の低い領主一族だったから、兄弟と年齢が被り外された
――いや、それだけじゃない。ちょうどその世代の貴族たちは、粛清の嵐に呑まれてしまったのだ。
胸がすっと冷える。先日、祖父の体調の衰えに気づいたばかりだった。
ずっと強いと思っていた人の背に、確かに刻まれた年輪と疲労が見えてしまった。
(父様も……祖父様も……限りある命を削って、領地を背負ってるんだ)
本来なら自分は粛清で消えていたはずの赤子。それなのに、多くの人が必死で守り、大切に育ててくれた。
その想いに報いるなら――背負うしかない。
「領主が背負うものは、領民の未来」
その意味を、今になって骨の奥まで突きつけられる。
息を呑んで背筋を伸ばしたとき、視界の端にリヒャルトとヴィルヘルムの姿が入った。
静かに佇む二人がいるだけで、不思議と心が強くなる。
(……私も、頑張らなきゃ。この人たちに支えられてるんだから)
そう思い直した矢先、胸の奥に小さな塩辛さが広がった。
ヴィルヘルムは説明もなく、自発的に、自分の忠誠を“命ごと”差し出してきた。
本気で一緒に死ぬ気でいる。
(……嬉しいけど、重いんだよね……死んじゃダメだよ、私)
過労死しないのが目標だったはずなのに、こんな覚悟を決める日が来るとは思わなかった。
けれど、もう目を逸らせなかった。
未来を担うのは自分だ。そう思いながら、エレオノーラは父や祖父と同じように静かに前を向いた。
父の背後に控える側近護衛たちは、皆が年配で、白髪や深い皺が目立つ。礼儀正しく立ってはいるけれど、動きの一つひとつに年齢の重みが滲んでいた。
(……若い人がいない……どうして?)
瞬間、答えが頭に浮かんだ。
元々父は優先順位の低い領主一族だったから、兄弟と年齢が被り外された
――いや、それだけじゃない。ちょうどその世代の貴族たちは、粛清の嵐に呑まれてしまったのだ。
胸がすっと冷える。先日、祖父の体調の衰えに気づいたばかりだった。
ずっと強いと思っていた人の背に、確かに刻まれた年輪と疲労が見えてしまった。
(父様も……祖父様も……限りある命を削って、領地を背負ってるんだ)
本来なら自分は粛清で消えていたはずの赤子。それなのに、多くの人が必死で守り、大切に育ててくれた。
その想いに報いるなら――背負うしかない。
「領主が背負うものは、領民の未来」
その意味を、今になって骨の奥まで突きつけられる。
息を呑んで背筋を伸ばしたとき、視界の端にリヒャルトとヴィルヘルムの姿が入った。
静かに佇む二人がいるだけで、不思議と心が強くなる。
(……私も、頑張らなきゃ。この人たちに支えられてるんだから)
そう思い直した矢先、胸の奥に小さな塩辛さが広がった。
ヴィルヘルムは説明もなく、自発的に、自分の忠誠を“命ごと”差し出してきた。
本気で一緒に死ぬ気でいる。
(……嬉しいけど、重いんだよね……死んじゃダメだよ、私)
過労死しないのが目標だったはずなのに、こんな覚悟を決める日が来るとは思わなかった。
けれど、もう目を逸らせなかった。
未来を担うのは自分だ。そう思いながら、エレオノーラは父や祖父と同じように静かに前を向いた。
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