33 / 48
さらなる陰謀
⑤
しおりを挟む
盗賊団の拠点を抑えた翌朝、一行は王宮へと戻った。
アイリスとレオナードが王宮の執務室で話し合いをしていると、騎士団長が新たな報告を持ってきた。
「殿下、盗賊団の残党を取り調べた結果、背後に特定の貴族が関与している可能性が高いことが判明しました」
「特定の貴族……?」
レオナードの眉が僅かに動く。
「はい。ただ、まだ名が明らかになっていません。しかし、盗賊団に資金や物資を提供していた痕跡がいくつか見つかっています」
アイリスはその話に耳を傾けながら、冷静に状況を整理していた。
「つまり、盗賊団を利用して王都やその周辺に混乱をもたらそうとしていたということですね」
「その通りです」
騎士団長の答えに、レオナードはしばらく考え込んだ後、アイリスに目を向けた。
「アイリス、貴女の意見を聞かせてほしい。この黒幕をどう炙り出すべきか」
アイリスは少し考えた後、静かに口を開いた。
「盗賊団に物資を提供していたということは、物流の記録を辿れば何か手がかりが見つかるかもしれません。それに……」
「それに?」
「これだけ大胆な行動を取る人物であれば、必ず周囲に何らかの不満や敵対心を抱いている者がいるはずです。そういった者から情報を引き出すのも一つの手ですわ」
その提案に、レオナードは満足げに頷いた。
「なるほど、さすがだ。では、物流記録の調査を進めるとともに、情報を持っていそうな貴族たちに接触してみる」
数日後、アイリスは王宮で開かれた小規模な集まりに出席していた。
ここには、王都の物流に関わる商会の代表や、地方領主の一部が招かれている。
「アイリス様、ごきげんよう」
声をかけてきたのは、以前から面識のあるリディア侯爵夫人だった。
彼女は、貴族たちの噂話に精通していることで知られている。
「ごきげんよう、リディア様。本日はお目にかかれて光栄ですわ」
「ええ、私もですわ。ところで……最近、王都周辺で盗賊団の動きが活発だったという話を耳にしましたが、それについてはご存知かしら?」
リディアの目は好奇心に輝いていたが、その奥には鋭い洞察力が垣間見えた。
(この方から情報を引き出せるかもしれない)
アイリスは内心でそう判断し、慎重に言葉を選びながら話を進めた。
「ええ、その件については少しだけ存じ上げています。ですが、詳しいことはまだ調査中でして」
「まあ、それでも何かお気づきのことがあれば、ぜひ教えていただきたいものですわ。私も最近、いくつか気になる噂を耳にしましたので」
「気になる噂……?」
アイリスが話を促すと、リディアは少し声を低くして続けた。
「ええ。地方領主の一人が、最近になって妙に大きな取引をしているとのことです。その相手が商会を通じて盗賊団とつながっているのではないか、という話もありますわ」
その言葉に、アイリスは心の中で確信を得た。
(やはり物流に何らかの関与がある。それなら、この領主について調べる価値があるわね)
「貴重なお話をありがとうございます、リディア様。大変参考になりましたわ」
「ふふ、何かお役に立てれば嬉しいですわ」
翌日、アイリスはレオナードと共に、王宮の資料室で物流記録を調査していた。
膨大な数の書類に目を通す中で、一つの不自然な取引が目に留まった。
「ここです。地方領主のガレス伯爵が、この数ヶ月間で通常の取引量を大幅に上回る品物を購入しています」
「確かに不自然だな。この取引先を調べる必要がある」
レオナードはすぐに騎士団を動かし、取引先である商会の調査を命じた。
数日後、商会からの情報提供によって、ガレス伯爵が盗賊団に資金を流していた証拠が明らかになった。
アイリスとレオナードはその報告を受け、伯爵の屋敷に直々に向かうことを決めた。
「ガレス伯爵……王宮への忠誠を装いながら、裏では盗賊団を利用していたとはな」
「殿下、伯爵がどのような動機で動いているのか、それを知ることが次の鍵になるはずです」
「わかっている。だが、彼を追い詰めるには、さらに確実な証拠が必要だ」
伯爵の屋敷への訪問が決定し、アイリスとレオナードは新たな戦略を練り始める。
その中で、アイリスはこれまで以上にレオナードの信頼を感じながら、自分の立場と役割を改めて考えていた。
(殿下のそばで動く以上、私はただの婚約者以上の役割を果たす必要がある。そして、それが私の破滅フラグを回避するための最善の道……)
その胸には、かつてないほどの決意が宿っていた。
アイリスとレオナードが王宮の執務室で話し合いをしていると、騎士団長が新たな報告を持ってきた。
「殿下、盗賊団の残党を取り調べた結果、背後に特定の貴族が関与している可能性が高いことが判明しました」
「特定の貴族……?」
レオナードの眉が僅かに動く。
「はい。ただ、まだ名が明らかになっていません。しかし、盗賊団に資金や物資を提供していた痕跡がいくつか見つかっています」
アイリスはその話に耳を傾けながら、冷静に状況を整理していた。
「つまり、盗賊団を利用して王都やその周辺に混乱をもたらそうとしていたということですね」
「その通りです」
騎士団長の答えに、レオナードはしばらく考え込んだ後、アイリスに目を向けた。
「アイリス、貴女の意見を聞かせてほしい。この黒幕をどう炙り出すべきか」
アイリスは少し考えた後、静かに口を開いた。
「盗賊団に物資を提供していたということは、物流の記録を辿れば何か手がかりが見つかるかもしれません。それに……」
「それに?」
「これだけ大胆な行動を取る人物であれば、必ず周囲に何らかの不満や敵対心を抱いている者がいるはずです。そういった者から情報を引き出すのも一つの手ですわ」
その提案に、レオナードは満足げに頷いた。
「なるほど、さすがだ。では、物流記録の調査を進めるとともに、情報を持っていそうな貴族たちに接触してみる」
数日後、アイリスは王宮で開かれた小規模な集まりに出席していた。
ここには、王都の物流に関わる商会の代表や、地方領主の一部が招かれている。
「アイリス様、ごきげんよう」
声をかけてきたのは、以前から面識のあるリディア侯爵夫人だった。
彼女は、貴族たちの噂話に精通していることで知られている。
「ごきげんよう、リディア様。本日はお目にかかれて光栄ですわ」
「ええ、私もですわ。ところで……最近、王都周辺で盗賊団の動きが活発だったという話を耳にしましたが、それについてはご存知かしら?」
リディアの目は好奇心に輝いていたが、その奥には鋭い洞察力が垣間見えた。
(この方から情報を引き出せるかもしれない)
アイリスは内心でそう判断し、慎重に言葉を選びながら話を進めた。
「ええ、その件については少しだけ存じ上げています。ですが、詳しいことはまだ調査中でして」
「まあ、それでも何かお気づきのことがあれば、ぜひ教えていただきたいものですわ。私も最近、いくつか気になる噂を耳にしましたので」
「気になる噂……?」
アイリスが話を促すと、リディアは少し声を低くして続けた。
「ええ。地方領主の一人が、最近になって妙に大きな取引をしているとのことです。その相手が商会を通じて盗賊団とつながっているのではないか、という話もありますわ」
その言葉に、アイリスは心の中で確信を得た。
(やはり物流に何らかの関与がある。それなら、この領主について調べる価値があるわね)
「貴重なお話をありがとうございます、リディア様。大変参考になりましたわ」
「ふふ、何かお役に立てれば嬉しいですわ」
翌日、アイリスはレオナードと共に、王宮の資料室で物流記録を調査していた。
膨大な数の書類に目を通す中で、一つの不自然な取引が目に留まった。
「ここです。地方領主のガレス伯爵が、この数ヶ月間で通常の取引量を大幅に上回る品物を購入しています」
「確かに不自然だな。この取引先を調べる必要がある」
レオナードはすぐに騎士団を動かし、取引先である商会の調査を命じた。
数日後、商会からの情報提供によって、ガレス伯爵が盗賊団に資金を流していた証拠が明らかになった。
アイリスとレオナードはその報告を受け、伯爵の屋敷に直々に向かうことを決めた。
「ガレス伯爵……王宮への忠誠を装いながら、裏では盗賊団を利用していたとはな」
「殿下、伯爵がどのような動機で動いているのか、それを知ることが次の鍵になるはずです」
「わかっている。だが、彼を追い詰めるには、さらに確実な証拠が必要だ」
伯爵の屋敷への訪問が決定し、アイリスとレオナードは新たな戦略を練り始める。
その中で、アイリスはこれまで以上にレオナードの信頼を感じながら、自分の立場と役割を改めて考えていた。
(殿下のそばで動く以上、私はただの婚約者以上の役割を果たす必要がある。そして、それが私の破滅フラグを回避するための最善の道……)
その胸には、かつてないほどの決意が宿っていた。
0
あなたにおすすめの小説
【男装歴10年】異世界で冒険者パーティやってみた【好きな人がいます】
リコピン
ファンタジー
前世の兄と共に異世界転生したセリナ。子どもの頃に親を失い、兄のシオンと二人で生きていくため、セリナは男装し「セリ」と名乗るように。それから十年、セリとシオンは、仲間を集め冒険者パーティを組んでいた。
これは、異世界転生した女の子がお仕事頑張ったり、恋をして性別カミングアウトのタイミングにモダモダしたりしながら過ごす、ありふれた毎日のお話。
※日常ほのぼの?系のお話を目指しています。
※同性愛表現があります。
【完結済】悪役令嬢の妹様
紫
ファンタジー
星守 真珠深(ほしもり ますみ)は社畜お局様街道をひた走る日本人女性。
そんな彼女が現在嵌っているのが『マジカルナイト・ミラクルドリーム』というベタな乙女ゲームに悪役令嬢として登場するアイシア・フォン・ラステリノーア公爵令嬢。
ぶっちゃけて言うと、ヒロイン、攻略対象共にどちらかと言えば嫌悪感しかない。しかし、何とかアイシアの断罪回避ルートはないものかと、探しに探してとうとう全ルート開き終えたのだが、全ては無駄な努力に終わってしまった。
やり場のない気持ちを抱え、気分転換にコンビニに行こうとしたら、気づけば悪楽令嬢アイシアの妹として転生していた。
―――アイシアお姉様は私が守る!
最推し悪役令嬢、アイシアお姉様の断罪回避転生ライフを今ここに開始する!
※長編版をご希望下さり、本当にありがとうございます<(_ _)>
既に書き終えた物な為、激しく拙いですが特に手直し他はしていません。
∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽
※小説家になろう様にも掲載させていただいています。
※作者創作の世界観です。史実等とは合致しない部分、異なる部分が多数あります。
※この物語はフィクションです。実在の人物・団体等とは一切関係がありません。
※実際に用いられる事のない表現や造語が出てきますが、御容赦ください。
※リアル都合等により不定期、且つまったり進行となっております。
※上記同理由で、予告等なしに更新停滞する事もあります。
※まだまだ至らなかったり稚拙だったりしますが、生暖かくお許しいただければ幸いです。
※御都合主義がそこかしに顔出しします。設定が掌ドリルにならないように気を付けていますが、もし大ボケしてたらお許しください。
※誤字脱字等々、標準てんこ盛り搭載となっている作者です。気づけば適宜修正等していきます…御迷惑おかけしますが、お許しください。
【第一章】狂気の王と永遠の愛(接吻)を
逢生ありす
ファンタジー
女性向け異世界ファンタジー(逆ハーレム)です。ヤンデレ、ツンデレ、溺愛、嫉妬etc……。乙女ゲームのような恋物語をテーマに偉大な"五大国の王"や"人型聖獣"、"謎の美青年"たちと織り成す極甘長編ストーリー。ラストに待ち受ける物語の真実と彼女が選ぶ道は――?
――すべての女性に捧げる乙女ゲームのような恋物語――
『狂気の王と永遠の愛(接吻)を』
五大国から成る異世界の王と
たった一人の少女の織り成す恋愛ファンタジー
――この世界は強大な五大国と、各国に君臨する絶対的な『王』が存在している。彼らにはそれぞれを象徴する<力>と<神具>が授けられており、その生命も人間を遥かに凌駕するほど長いものだった。
この物語は悠久の王・キュリオの前に現れた幼い少女が主人公である。
――世界が"何か"を望んだ時、必ずその力を持った人物が生み出され……すべてが大きく変わるだろう。そして……
その"世界"自体が一個人の"誰か"かもしれない――
出会うはずのない者たちが出揃うとき……その先に待ち受けるものは?
最後に待つのは幸せか、残酷な運命か――
そして次第に明らかになる彼女の正体とは……?
悪役令嬢によればこの世界は乙女ゲームの世界らしい
斯波@ジゼルの錬金飴③発売中
ファンタジー
ブラック企業を辞退した私が卒業後に手に入れたのは無職の称号だった。不服そうな親の目から逃れるべく、喫茶店でパート情報を探そうとしたが暴走トラックに轢かれて人生を終えた――かと思ったら村人達に恐れられ、軟禁されている10歳の少女に転生していた。どうやら少女の強大すぎる魔法は村人達の恐怖の対象となったらしい。村人の気持ちも分からなくはないが、二度目の人生を小屋での軟禁生活で終わらせるつもりは毛頭ないので、逃げることにした。だが私には強すぎるステータスと『ポイント交換システム』がある!拠点をテントに決め、日々魔物を狩りながら自由気ままな冒険者を続けてたのだが……。
※1.恋愛要素を含みますが、出てくるのが遅いのでご注意ください。
※2.『悪役令嬢に転生したので断罪エンドまでぐーたら過ごしたい 王子がスパルタとか聞いてないんですけど!?』と同じ世界観・時間軸のお話ですが、こちらだけでもお楽しみいただけます。
政治家の娘が悪役令嬢転生 ~前パパの教えで異世界政治をぶっ壊させていただきますわ~
巫叶月良成
ファンタジー
政治家の娘として生まれ、父から様々なことを学んだ少女が異世界の悪徳政治をぶった切る!?
////////////////////////////////////////////////////
悪役令嬢に転生させられた琴音は政治家の娘。
しかしテンプレも何もわからないまま放り出された悪役令嬢の世界で、しかもすでに婚約破棄から令嬢が暗殺された後のお話。
琴音は前世の父親の教えをもとに、口先と策謀で相手を騙し、男を篭絡しながら自分を陥れた相手に復讐し、歪んだ王国の政治ゲームを支配しようという一大謀略劇!
※魔法とかゲーム的要素はありません。恋愛要素、バトル要素も薄め……?
※注意:作者が悪役令嬢知識ほぼゼロで書いてます。こんなの悪役令嬢ものじゃねぇという内容かもしれませんが、ご留意ください。
※あくまでこの物語はフィクションです。政治家が全部そういう思考回路とかいうわけではないのでこちらもご留意を。
隔日くらいに更新出来たらいいな、の更新です。のんびりお楽しみください。
転生ヒロインは不倫が嫌いなので地道な道を選らぶ
karon
ファンタジー
デビュタントドレスを見た瞬間アメリアはかつて好きだった乙女ゲーム「薔薇の言の葉」の世界に転生したことを悟った。
しかし、攻略対象に張り付いた自分より身分の高い悪役令嬢と戦う危険性を考え、攻略対象完全無視でモブとくっつくことを決心、しかし、アメリアの思惑は思わぬ方向に横滑りし。
【完結】転生したら脳筋一家の令嬢でしたが、インテリ公爵令息と結ばれたので万事OKです。
櫻野くるみ
恋愛
ある日前世の記憶が戻ったら、この世界が乙女ゲームの舞台だと思い至った侯爵令嬢のルイーザ。
兄のテオドールが攻略対象になっていたことを思い出すと共に、大変なことに気付いてしまった。
ゲーム内でテオドールは「脳筋枠」キャラであり、家族もまとめて「脳筋一家」だったのである。
私も脳筋ってこと!?
それはイヤ!!
前世でリケジョだったルイーザが、脳筋令嬢からの脱却を目指し奮闘したら、推しの攻略対象のインテリ公爵令息と恋に落ちたお話です。
ゆるく軽いラブコメ目指しています。
最終話が長くなってしまいましたが、完結しました。
小説家になろう様でも投稿を始めました。少し修正したところがあります。
悪役令嬢エリザベート物語
kirara
ファンタジー
私の名前はエリザベート・ノイズ
公爵令嬢である。
前世の名前は横川禮子。大学を卒業して入った企業でOLをしていたが、ある日の帰宅時に赤信号を無視してスクランブル交差点に飛び込んできた大型トラックとぶつかりそうになって。それからどうなったのだろう。気が付いた時には私は別の世界に転生していた。
ここは乙女ゲームの世界だ。そして私は悪役令嬢に生まれかわった。そのことを5歳の誕生パーティーの夜に知るのだった。
父はアフレイド・ノイズ公爵。
ノイズ公爵家の家長であり王国の重鎮。
魔法騎士団の総団長でもある。
母はマーガレット。
隣国アミルダ王国の第2王女。隣国の聖女の娘でもある。
兄の名前はリアム。
前世の記憶にある「乙女ゲーム」の中のエリザベート・ノイズは、王都学園の卒業パーティで、ウィリアム王太子殿下に真実の愛を見つけたと婚約を破棄され、身に覚えのない罪をきせられて国外に追放される。
そして、国境の手前で何者かに事故にみせかけて殺害されてしまうのだ。
王太子と婚約なんてするものか。
国外追放になどなるものか。
乙女ゲームの中では一人ぼっちだったエリザベート。
私は人生をあきらめない。
エリザベート・ノイズの二回目の人生が始まった。
⭐️第16回 ファンタジー小説大賞参加中です。応援してくれると嬉しいです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる