乙女ゲームの悪役令嬢は前世の推しであるパパを幸せにしたい

藤原遊

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さらなる陰謀

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盗賊団の拠点を抑えた翌朝、一行は王宮へと戻った。
アイリスとレオナードが王宮の執務室で話し合いをしていると、騎士団長が新たな報告を持ってきた。

「殿下、盗賊団の残党を取り調べた結果、背後に特定の貴族が関与している可能性が高いことが判明しました」

「特定の貴族……?」

レオナードの眉が僅かに動く。

「はい。ただ、まだ名が明らかになっていません。しかし、盗賊団に資金や物資を提供していた痕跡がいくつか見つかっています」

アイリスはその話に耳を傾けながら、冷静に状況を整理していた。

「つまり、盗賊団を利用して王都やその周辺に混乱をもたらそうとしていたということですね」

「その通りです」

騎士団長の答えに、レオナードはしばらく考え込んだ後、アイリスに目を向けた。

「アイリス、貴女の意見を聞かせてほしい。この黒幕をどう炙り出すべきか」

アイリスは少し考えた後、静かに口を開いた。

「盗賊団に物資を提供していたということは、物流の記録を辿れば何か手がかりが見つかるかもしれません。それに……」

「それに?」

「これだけ大胆な行動を取る人物であれば、必ず周囲に何らかの不満や敵対心を抱いている者がいるはずです。そういった者から情報を引き出すのも一つの手ですわ」

その提案に、レオナードは満足げに頷いた。

「なるほど、さすがだ。では、物流記録の調査を進めるとともに、情報を持っていそうな貴族たちに接触してみる」

数日後、アイリスは王宮で開かれた小規模な集まりに出席していた。
ここには、王都の物流に関わる商会の代表や、地方領主の一部が招かれている。

「アイリス様、ごきげんよう」

声をかけてきたのは、以前から面識のあるリディア侯爵夫人だった。
彼女は、貴族たちの噂話に精通していることで知られている。

「ごきげんよう、リディア様。本日はお目にかかれて光栄ですわ」

「ええ、私もですわ。ところで……最近、王都周辺で盗賊団の動きが活発だったという話を耳にしましたが、それについてはご存知かしら?」

リディアの目は好奇心に輝いていたが、その奥には鋭い洞察力が垣間見えた。

(この方から情報を引き出せるかもしれない)

アイリスは内心でそう判断し、慎重に言葉を選びながら話を進めた。

「ええ、その件については少しだけ存じ上げています。ですが、詳しいことはまだ調査中でして」

「まあ、それでも何かお気づきのことがあれば、ぜひ教えていただきたいものですわ。私も最近、いくつか気になる噂を耳にしましたので」

「気になる噂……?」

アイリスが話を促すと、リディアは少し声を低くして続けた。

「ええ。地方領主の一人が、最近になって妙に大きな取引をしているとのことです。その相手が商会を通じて盗賊団とつながっているのではないか、という話もありますわ」

その言葉に、アイリスは心の中で確信を得た。

(やはり物流に何らかの関与がある。それなら、この領主について調べる価値があるわね)

「貴重なお話をありがとうございます、リディア様。大変参考になりましたわ」

「ふふ、何かお役に立てれば嬉しいですわ」

翌日、アイリスはレオナードと共に、王宮の資料室で物流記録を調査していた。
膨大な数の書類に目を通す中で、一つの不自然な取引が目に留まった。

「ここです。地方領主のガレス伯爵が、この数ヶ月間で通常の取引量を大幅に上回る品物を購入しています」

「確かに不自然だな。この取引先を調べる必要がある」

レオナードはすぐに騎士団を動かし、取引先である商会の調査を命じた。

数日後、商会からの情報提供によって、ガレス伯爵が盗賊団に資金を流していた証拠が明らかになった。
アイリスとレオナードはその報告を受け、伯爵の屋敷に直々に向かうことを決めた。

「ガレス伯爵……王宮への忠誠を装いながら、裏では盗賊団を利用していたとはな」

「殿下、伯爵がどのような動機で動いているのか、それを知ることが次の鍵になるはずです」

「わかっている。だが、彼を追い詰めるには、さらに確実な証拠が必要だ」

伯爵の屋敷への訪問が決定し、アイリスとレオナードは新たな戦略を練り始める。
その中で、アイリスはこれまで以上にレオナードの信頼を感じながら、自分の立場と役割を改めて考えていた。

(殿下のそばで動く以上、私はただの婚約者以上の役割を果たす必要がある。そして、それが私の破滅フラグを回避するための最善の道……)

その胸には、かつてないほどの決意が宿っていた。
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