乙女ゲームの悪役令嬢は前世の推しであるパパを幸せにしたい

藤原遊

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黒幕は王宮内に

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砦での一件を経て、アイリスとレオナードは再び王宮へ戻った。
だが、王宮の空気はどこか張り詰めており、陰謀の影が一層濃く漂っているように感じられた。

執務室で二人が情報を整理していると、王宮内の有力な貴族であるグレイストーン公爵が訪問を告げてきた。

「グレイストーン公爵がここへ?どういうことですか?」

アイリスが問いかけると、レオナードは静かに目を伏せた。

「彼は王宮内でも影響力の強い人物だ。表向きは中立を装っているが、その動きは常に注目されている」

「ということは、彼も黒幕の可能性があるということでしょうか?」

「その可能性を含めて、彼の動きを探る必要がある」

アイリスは頷き、レオナードと共にグレイストーン公爵の応対に向かった。

広間で待っていたグレイストーン公爵は、年齢を感じさせないほどの端正な顔立ちと威厳を持つ人物だった。
彼は柔らかな笑みを浮かべながら、二人を迎えた。

「これは王太子殿下、そしてルクレール公爵家の令嬢。お会いできて光栄です」

「公爵、貴殿がここを訪れるとは珍しいな。一体、何の用件だ?」

レオナードの冷静な問いに、公爵は穏やかな声で答えた。

「実は最近、王宮内で不穏な噂を耳にしましてね。盗賊団の件に関与している者が、内部にいるのではないかと」

「それは貴殿のことではないのか?」

レオナードの鋭い指摘に、公爵は一瞬だけ目を細めた。
だが、すぐに笑みを浮かべて答えた。

「殿下、それが事実であれば、私自ら調査に協力させていただきますとも。ただ、この件で不利益を被るのは、王宮の信頼を揺るがす者たちです」

「具体的には?」

アイリスが問いかけると、公爵は意味深に微笑んだ。

「その答えは、殿下が最もよくご存知ではないですかな?」

その一言に、レオナードは険しい表情を浮かべた。

「……貴殿が何を意図しているのか、すぐに明らかにしてやる」

「楽しみにしておりますよ、殿下」

グレイストーン公爵は軽く一礼し、その場を去っていった。

公爵が去った後、アイリスとレオナードは改めて王宮内の情報を整理し始めた。
彼の言葉に隠された意味を考えながら、資料を調べていると、アイリスがある記録に目を留めた。

「殿下、これをご覧ください」

アイリスが指差したのは、王宮内の財務記録だった。
そこには、不自然な支出が複数記載されており、特定の商会に巨額の資金が流れていることがわかった。

「この商会……王宮専属のはずなのに、地方での取引が多すぎます」

「確かに。しかも、その商会がオーベルン伯爵家とも繋がっている」

レオナードは資料を睨みながら言った。

「つまり、この商会が黒幕との接点になっている可能性が高いということですね」

「その通りだ。この商会を徹底的に調べる必要がある」

アイリスとレオナードはすぐに商会の取引先を調査するため、騎士団を動かす準備を始めた。

商会の調査を進める中、徐々に明らかになる黒幕の影。
商会の記録を追ううちに、ある重要な事実が浮かび上がった。

「殿下、この商会が扱っていた物資の一部が、グレイストーン公爵の領地に運ばれていることがわかりました」

「やはり彼が関与しているのか……だが、それだけでは彼を追及するには足りない」

レオナードは険しい表情を浮かべながら、次の手を考えていた。
その時、アイリスが静かに口を開いた。

「殿下、グレイストーン公爵が次に動く場所を先回りして調査すべきです。彼が直接関与している場面を抑えられれば、決定的な証拠になります」

「なるほど、確かにその通りだ。貴女の案を採用しよう」

アイリスの提案を受け、一行はすぐにグレイストーン公爵の動きを追い始めた。

その夜、アイリスとレオナードは王宮の庭園で静かに話をしていた。
緊張の中でも、彼らの間には信頼が芽生えていた。

「アイリス、今回の件では貴女に頼ってばかりだ」

「そんなことはありませんわ。殿下がいらっしゃるからこそ、私は安心して動けるのです」

「……それでも、貴女を危険に巻き込むことは避けたい」

レオナードの静かな声に、アイリスは胸が少しだけ温かくなるのを感じた。

「殿下、私はルクレール家の令嬢として、そして貴方の婚約者として、この戦いを最後まで共にします」

その言葉に、レオナードは微笑みながら頷いた。

「では、私も全力で貴女を守ると誓おう」

二人は静かな夜の中で、次なる試練に向けての決意を新たにした。
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