乙女ゲームの悪役令嬢は前世の推しであるパパを幸せにしたい

藤原遊

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黒幕は王宮内に

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翌日、グレイストーン公爵が王都近郊にある彼の別邸に向かうという情報が入った。
アイリスとレオナードは、彼を追うため少数の騎士団員を率いて現地へ向かうことを決めた。

「別邸……そこが彼の計画を進める拠点かもしれませんわね」

馬車の中、アイリスが静かに呟くと、レオナードは短く頷いた。

「可能性は高い。だが、彼は慎重な性格だ。何も証拠を残さずに動いている可能性もある」

「だからこそ、私たちが動きを抑え、隙を突く必要がありますわね」

「その通りだ。貴女の機転を期待している」

レオナードの言葉に、アイリスは心の中で緊張を高めながらも微笑んだ。

グレイストーン公爵の別邸に到着した一行は、邸内の警備が厳重であることに気づいた。
門前には複数の兵士が立ち、敷地内を巡回する姿も見える。

「さすが公爵……まるで要塞のようですわね」

アイリスが低く呟くと、レオナードは冷静に策を練り始めた。

「正面から突破するのは得策ではない。裏手に回って侵入する」

彼の指示のもと、一行は敷地の裏手から慎重に進み、邸内への潜入を試みた。
やがて、屋敷の中に入ることに成功する。

邸内を進む中、アイリスはふと奥から聞こえてくる声に気づいた。

「誰か話しているようですわ」

「行くぞ。静かに」

レオナードと共に声のする方向へ向かうと、公爵が何者かと密談をしている場面に出くわした。

「……計画は順調に進んでいる。このままいけば、王太子の立場を完全に失墜させることができるだろう」

「だが、アイリスという令嬢が厄介だ。彼女が殿下を支えている限り、完全に掌握するのは難しい」

公爵の言葉にアイリスは息を飲んだ。
レオナードが彼女を庇うように手を伸ばす。

(やはり彼らの計画は、殿下を失脚させることが目的なのね……)

「安心しろ。彼女もいずれは排除する。だが、今は慎重に進めるべきだ」

もう一人の声は低く、明確に権力を持つ者の響きを帯びていた。
その瞬間、アイリスはその声がバルドゥック侯爵に似ていることに気づく。

「バルドゥック侯爵……」

彼女が小声で呟くと、レオナードはわずかに頷いた。

「これで確信できたな」

二人がその場を離れようとした瞬間、足元の床が僅かに軋む音が響いた。
密談をしていた公爵と侯爵が一斉にこちらを振り向く。

「誰だ!」

公爵が叫ぶと、レオナードが堂々と姿を現した。

「私だ、グレイストーン公爵。貴殿の動きは全て見抜いている」

その威厳ある声に、公爵の目が怯む。
だが、すぐに冷笑を浮かべた。

「さすが王太子殿下……だが、ここで私を捕らえられるとでも?」

彼の合図とともに、屋敷の中から複数の兵士が現れ、一行を取り囲む。

「やはり用意周到だな」

レオナードが剣を抜き、騎士団員たちも応戦の準備を整える。
その隙に、アイリスは侯爵が持つ書類に目を向けた。

(あれが証拠になるはず……でも、どうやって手に入れるか)

彼女は瞬時に考えを巡らせ、部屋の構造を観察した。

「殿下、あの書類を抑えれば、彼らの計画を完全に阻止できます!」

アイリスがそう叫ぶと、レオナードは即座に頷いた。

「わかった。私が引きつける。貴女はそれを手に入れろ」

レオナードが兵士たちの注意を引きつける中、アイリスは素早く部屋の奥へと駆け込んだ。
書類を手に取ろうとする瞬間、侯爵が彼女の前に立ちはだかる。

「ここまで動くとは……だが、私を超えることはできない」

侯爵が剣を構える中、アイリスは冷静に隙を狙った。
近くにあった燭台を巧みに使い、彼の視界を遮ることに成功する。

「失礼いたしますわ」

書類を手にしたアイリスは、すぐさまレオナードの元へと戻った。

「殿下、これで決定的な証拠が揃いました!」

「よくやった。これで奴らの動きは終わりだ」

レオナードが兵士たちを制圧し、ついにグレイストーン公爵とバルドゥック侯爵を拘束することに成功した。

その後、持ち帰った書類を王宮で精査した結果、二人が盗賊団を使い王太子の失脚を狙っていた証拠が次々と明らかになった。
レオナードはすぐに二人を王宮の法廷に送り、厳しく裁きを下すよう命じた。

その夜、アイリスとレオナードは王宮の庭園で再び顔を合わせた。

「貴女の勇気と知恵がなければ、今回の件は解決できなかった」

「そんなことはありませんわ。殿下がいてくださったから、私は力を出せました」

「……これからも、私のそばにいてくれるか?」

レオナードの静かな問いに、アイリスは少しだけ微笑んで答えた。

「もちろんです、殿下。それが私の務めですから」

月明かりの下、二人は穏やかな時間を共有しながら、次なる未来へ向けての決意を新たにしていた。
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