乙女ゲームの悪役令嬢は前世の推しであるパパを幸せにしたい

藤原遊

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黒幕は王宮内に

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グレイストーン公爵とバルドゥック侯爵の陰謀が明るみに出たことで、王宮内では大きな波紋が広がっていた。
二人の裁判が行われるたびに、彼らの関与していた不正や計画が次々と暴露され、その規模の大きさに貴族たちも驚きを隠せなかった。

「まさか、あの二人が王太子殿下の失脚を狙っていたなんて……」

「アイリス様も関わっていたそうだ。あの令嬢、ただの公爵令嬢とは思えないな」

王宮のあちこちで、アイリスの名前が囁かれるようになった。
彼女の冷静な判断と行動力が、レオナードを支える重要な存在であることが改めて認識されたのだ。

そんな中、アイリスは父エルネストに報告するため、久しぶりにルクレール公爵家の屋敷を訪れていた。

書斎で向き合うエルネストとアイリス。
アイリスがこれまでの経緯を話すと、エルネストは満足そうに頷いた。

「さすがだ、アイリス。お前ならやり遂げると思っていた」

「ありがとうございます、お父様。ですが……私がここまで動けたのは、殿下のお力があったからです」

アイリスが静かにそう言うと、エルネストはわずかに眉を上げた。

「殿下の力も確かに大きいだろう。だが、それだけではない。お前自身が持つ知恵と勇気が、今回の成果を生んだのだ」

「お父様……」

「私の娘として誇りに思う。そして、これからも王宮で堂々と振る舞い、殿下を支えてやるがいい」

エルネストの力強い言葉に、アイリスは胸が温かくなるのを感じた。

「はい、お父様。私にできる限りのことをいたします」

エルネストは穏やかに微笑みながら、娘の成長を静かに見守っていた。

王宮に戻ったアイリスは、レオナードに呼ばれ、大広間へと足を運んだ。
そこにはレオナードが一人で待っており、彼はアイリスが入ってくると柔らかく微笑んだ。

「来てくれてありがとう、アイリス」

「殿下、お呼びいただき光栄です」

アイリスが頭を下げると、レオナードは少しだけ困ったような表情を浮かべた。

「そのような形式ばった言葉はもう不要だ。今の貴女は、私にとって誰よりも信頼できる存在なのだから」

「殿下……」

レオナードは一歩近づき、真剣な目でアイリスを見つめた。

「今回の件で、私は確信した。貴女は私の婚約者としてだけでなく、私自身にとって必要不可欠な存在だ」

「必要不可欠……?」

アイリスの胸が高鳴る中、レオナードは続けた。

「貴女がそばにいてくれるからこそ、私はこれからも未来を切り開くことができる。だから、改めて聞かせてほしい。これからも、私のそばにいてくれるか?」

彼の言葉に、アイリスは一瞬だけ迷った。
(これは、ただの婚約の延長ではない……彼の言葉には、本当の信頼と……それ以上のものがある)

深呼吸をして気持ちを整え、アイリスは微笑んだ。

「もちろんです、殿下。私は殿下を信じています。そして……殿下の未来を共に歩むことをお約束します」

その答えに、レオナードは穏やかな笑みを浮かべた。

「ありがとう、アイリス。その言葉を聞けて本当に嬉しい」

事件が収束し、王宮内では再び穏やかな日々が戻りつつあった。
アイリスとレオナードは、それぞれの立場で新たな課題に向き合いながらも、確かな絆を築き上げていた。

ある日、アイリスは父エルネストとともに庭園を歩いていた。

「お父様、これから私はもっと忙しくなりそうですわ」

「そうだな。だが、心配はしていない。お前なら、どんな困難でも乗り越えられる」

「……そうですね。私には、支えてくださる方がたくさんいますもの」

アイリスの視線の先には、レオナードの姿があった。
彼もまた、彼女に気づき、微笑みながら軽く手を振る。

アイリスは小さく微笑み返しながら、心の中で新たな決意を抱いていた。

(前世では想像もしなかった未来……でも、今の私なら、きっとこれが正しい道だと信じられる)

風が柔らかく吹き抜ける庭園で、アイリスは一歩、未来へと踏み出した。
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