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「……それで、とりあえず、しばらくはここにいなよ」
包帯を巻き終えたあと、私はそう告げた。
彼の名前――リュカ、だったか――を一度だけ呼んで。
彼は顔色を変えないまま、じっと私を見返していた。
瞳の色が強いせいか、視線を受けていると少しだけ圧を感じる。
けれど、私は気にしなかった。
「数日は動かない方がいい。体力も足りてないだろうし、熱もあるしね。
魔物に襲われたみたいだけど、そういうの、よくあるの?」
「……わからない」
「そっか」
深くは追及しない。
嘘かもしれないけど、今はそれでいい。
私に害がなければ、それでいい。
「食べられそうなら、後でおかゆでも作る。好き嫌い、ある?」
「……ない」
「よかった」
話は、これで終わった。
私は立ち上がって、使い終えた薬草をまとめ、冷えた鍋を片づける。
ついでに火を起こし、湯を沸かす。
リュカは何も言わず、その様子をじっと見ていた。
目を伏せても、すぐにまたこちらを見る。
体調が悪いせいか、動きはまだ鈍い。
だけど――何かを観察しているような、そんな目だった。
(……なんなんだ、この女は)
頭の中が、ぐるぐるしている。
助けられた。手当された。
なのに、相手は自分に警戒も関心も持っていないように見える。
本当に、たまたま拾っただけのような……そんな態度。
普通なら、俺の顔を見た瞬間に反応が変わるはずなのに。
美しいと言われることには慣れている。
それは、自分の「呪い」によって生じる強制的な魅了だったから。
けれどこの女は――触れても、目を合わせても、微笑まない。
むしろ、ただの“少年”として扱われているような、そんな感じさえする。
(なんで、平気なんだ……?)
「……その顔、ずっとそうなの?」
突然、女がこちらを向いた。
「え?」
「いや、なんかあまりにも整ってるから。
どこかの貴族の子とかじゃないよね? 捜索願が出てるとか」
「……知らない」
「そっか。ならまあ、問題なし」
あっさりとそう言って、彼女はお湯の準備に戻った。
その背中を見ていると、奇妙な気持ちになる。
一体、俺は今――どこに連れてこられたんだろう?
そして、この女は……本当に、何者なんだ?
包帯を巻き終えたあと、私はそう告げた。
彼の名前――リュカ、だったか――を一度だけ呼んで。
彼は顔色を変えないまま、じっと私を見返していた。
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けれど、私は気にしなかった。
「数日は動かない方がいい。体力も足りてないだろうし、熱もあるしね。
魔物に襲われたみたいだけど、そういうの、よくあるの?」
「……わからない」
「そっか」
深くは追及しない。
嘘かもしれないけど、今はそれでいい。
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「食べられそうなら、後でおかゆでも作る。好き嫌い、ある?」
「……ない」
「よかった」
話は、これで終わった。
私は立ち上がって、使い終えた薬草をまとめ、冷えた鍋を片づける。
ついでに火を起こし、湯を沸かす。
リュカは何も言わず、その様子をじっと見ていた。
目を伏せても、すぐにまたこちらを見る。
体調が悪いせいか、動きはまだ鈍い。
だけど――何かを観察しているような、そんな目だった。
(……なんなんだ、この女は)
頭の中が、ぐるぐるしている。
助けられた。手当された。
なのに、相手は自分に警戒も関心も持っていないように見える。
本当に、たまたま拾っただけのような……そんな態度。
普通なら、俺の顔を見た瞬間に反応が変わるはずなのに。
美しいと言われることには慣れている。
それは、自分の「呪い」によって生じる強制的な魅了だったから。
けれどこの女は――触れても、目を合わせても、微笑まない。
むしろ、ただの“少年”として扱われているような、そんな感じさえする。
(なんで、平気なんだ……?)
「……その顔、ずっとそうなの?」
突然、女がこちらを向いた。
「え?」
「いや、なんかあまりにも整ってるから。
どこかの貴族の子とかじゃないよね? 捜索願が出てるとか」
「……知らない」
「そっか。ならまあ、問題なし」
あっさりとそう言って、彼女はお湯の準備に戻った。
その背中を見ていると、奇妙な気持ちになる。
一体、俺は今――どこに連れてこられたんだろう?
そして、この女は……本当に、何者なんだ?
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