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第1章 悪役令嬢の自覚
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城門をくぐると、広い中庭の向こうから白いドレスの影が駆けてくるのが見えた。
(……あれが)
「エリシア、慌てると危ないよ」
ルシアン様が声をかけた刹那、裾を踏んでよろめく。ひやりとした瞬間、伸ばされた腕が彼女を抱きとめていた。
「……っ、恥ずかしい」
頬を赤らめたその人――聖女と称えられる辺境伯家のエリシア様。
「イリーナ様が魔物に襲われたと聞いて……心配で……」
(この方が、お母様の親友……)
胸が詰まる。
私の存在は、この方を傷つけるかもしれない。だって――お母様の“過去”に繋がる噂は、きっと彼女の耳にも届いているだろうから。
私は震えそうになる声を押し殺し、深く礼をした。
「…………ディアス侯爵家の娘、アメリア・ディアスと申します。お噂に違わぬ、銀の髪と翠の瞳のご美貌にお目にかかれて光栄です。この度は、どうぞよろしくお願いいたします」
エリシア様はふと目を丸くした。
「み、見た目はイリーナなのに……アルフレッド様そっくり」
「……!」
その瞬間、胸の奥で固くしていたものが解けた気がした。
責められるどころか、驚きと、どこか懐かしさを滲ませた声色。
(同じ……ルシアン様と同じ感想……どうして?)
不思議に思って首を傾げると、エリシア様は笑みを浮かべて言った。
「言葉もそうだけど、仕草や重心の置き方がね……アルフレッド様と同じなの」
(体術の……観察? 辺境伯領らしい見方だわ)
くすぐったいような安堵と共に、胸が少し温かくなる。
「さ、行こう」
ユリウスがにこりと笑い、手を差し出した。
「僕も!」とエリアスも続ける。
二人に両手を取られるようにして、私は辺境伯家の城へと招き入れられていった。
(……あれが)
「エリシア、慌てると危ないよ」
ルシアン様が声をかけた刹那、裾を踏んでよろめく。ひやりとした瞬間、伸ばされた腕が彼女を抱きとめていた。
「……っ、恥ずかしい」
頬を赤らめたその人――聖女と称えられる辺境伯家のエリシア様。
「イリーナ様が魔物に襲われたと聞いて……心配で……」
(この方が、お母様の親友……)
胸が詰まる。
私の存在は、この方を傷つけるかもしれない。だって――お母様の“過去”に繋がる噂は、きっと彼女の耳にも届いているだろうから。
私は震えそうになる声を押し殺し、深く礼をした。
「…………ディアス侯爵家の娘、アメリア・ディアスと申します。お噂に違わぬ、銀の髪と翠の瞳のご美貌にお目にかかれて光栄です。この度は、どうぞよろしくお願いいたします」
エリシア様はふと目を丸くした。
「み、見た目はイリーナなのに……アルフレッド様そっくり」
「……!」
その瞬間、胸の奥で固くしていたものが解けた気がした。
責められるどころか、驚きと、どこか懐かしさを滲ませた声色。
(同じ……ルシアン様と同じ感想……どうして?)
不思議に思って首を傾げると、エリシア様は笑みを浮かべて言った。
「言葉もそうだけど、仕草や重心の置き方がね……アルフレッド様と同じなの」
(体術の……観察? 辺境伯領らしい見方だわ)
くすぐったいような安堵と共に、胸が少し温かくなる。
「さ、行こう」
ユリウスがにこりと笑い、手を差し出した。
「僕も!」とエリアスも続ける。
二人に両手を取られるようにして、私は辺境伯家の城へと招き入れられていった。
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