処刑を望んだ悪役令嬢ですが、幼なじみの騎士が手放してくれません

藤原遊

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第1章 悪役令嬢の自覚

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「……もう大丈夫よ、アメリア」

お母様に抱きしめられたまま、しばらく震えが収まるのを待った。やがて深く息を整えた彼女は、いつもの柔らかな微笑みに戻っていた。

私は姿勢を正し、改めて目の前に立つ人へと向き直る。

「……初めまして。アメリア・ディアスと申します」

膝を少し折り、教えられた通りの礼を尽くす。
その瞬間、ルシアン様の瞳がわずかに和らいだ。

「賢いお嬢さんだ。……アルフレッド殿によく似ている」
「……え?」

驚いて目を瞬いた。初めて口にされた言葉だった。
アルフレッド――父上の名を、辺境伯家の嫡男が自然に呼ぶ。二人が知己であることを、ようやく知った。

隣でお母様が静かに頷いている。
どうやら本当らしい。

その時、ルシアン様の後ろから二つの影が進み出た。

「僕はユリウス」
「俺はエリアス!」

揃って小さな胸を張り、元気に挨拶をしてくる。
どちらも私と同じくらいの背丈――そう思った瞬間、ユリウスが口を開いた。

「僕たち、七歳。同い年だね」
「……本当?」

胸が弾んだ。
初めて出会った同年代の子どもたち。思わず顔が綻ぶ。

「もう怖くないよ」

ユリウスが帯剣している柄に手を添え、落ち着いた声で言う。

「俺もいるから!」

エリアスはにかっと笑い、腰に吊るした剣を軽く叩いて見せた。

私は息を呑む。
まだ幼いのに、すでに帯剣している。震え上がるような恐怖を味わったばかりだからこそ、その姿が眩しく映った。

(……そうか。この子たちは辺境伯家の子。小さくても、剣を取る覚悟を持つのが当たり前なのね)

胸の奥に、不思議な敬意が芽生えていくのを感じた。
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