処刑を望んだ悪役令嬢ですが、幼なじみの騎士が手放してくれません

藤原遊

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番外編 もう一人のヒロイン

16

「……セラフィーナ」

思わず真剣な声になる。

(彼女は未来の変異まで観測してる……動きによって枝分かれする結果を“視てる”ってことか。しかも、さっきみたいに千里眼みたいな使い方まで……)

鳥肌が立った。
こんな能力、為政者が喉から手が出るほど欲しがるに決まっている。
利用するか、封じ込めるか――下手をすれば命すら狙われる。

目の前の彼女は、きょとんと首を傾げ、紅茶のカップを両手で包んでいた。

「その“未来を見た”ってやつ、誰彼かまわず言っていいものじゃない」

低く言い切る。

「悪用されたら危険なんだ。……お前自身が標的になる」

ぱちぱちと瞬いて、わかってなさそうな顔。
それを見て、つい言葉を重ねてしまう。

「俺が悪いやつだったら、もう今ごろ……セラフィーナは殺されてたかもしれないんだぞ」

一拍の沈黙。
けれど次の瞬間、彼女はふわりと笑った。

「だから、エリアス様に言ったんですよ!」

その笑顔は無邪気で、疑う色などひとかけらもない。

(……待て。それって、命を預けるくらいの信頼じゃないか?)

心臓が強く鳴る。
思いがけず急所を突かれたみたいで、息が詰まった。

カップを持つ指先に力を込め、誤魔化すように紅茶をひと口含む。
小さくため息をついた俺の前で、セラフィーナはにこにこと笑い続けていた。

(……くそ。どうしようもなく、やられてる)

視線をそっと逸らしながら、内心で頭を抱えるしかなかった。
感想 1

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