【完結】悪役令嬢アナスタシアは破滅を嗤う

藤原遊

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第二部 自称ヒロインのミレイナと破滅未遂

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 破滅の火種が現れたと期待していた私だったが――
 その後の展開は、なかなかに予想の斜め上を突き抜けていた。

***

 今日は、王宮の図書室でカイ・ヴァルトンと書類を確認していた。
 最近は王宮の行事でも自然と私の隣に彼がいるのが定番になりつつある。

「まったく……次の予算案もまた揉めそうだな」

 カイは冷静に書類を眺めながら呟く。
 私は頷きつつ、ふと視線を感じてそちらを向いた。

「アナスタシア様~!」

 そこにいたのは、今日も絶好調の伯爵令嬢、ミレイナ・ベルグレイヴ。

 あからさまに泣きそうな顔を作りながら、彼女は小走りで駆け寄ってくる。

「先ほど庭でお会いした貴婦人方が、わたくしのドレスを見て笑いましたの!」

 ……はあ。

 まさかとは思うが、これが悪役令嬢アナスタシアによる陰湿ないじめ、という筋書きのつもりなのだろう。
 だが。

 ――それ、私関係なくない?

「それは……お気の毒でしたわね」

 私は表面上、優しく微笑みながら内心で思わず突っ込んでいた。

 ドレスのセンスは確かに妙に派手だったし、笑った貴婦人方はたぶん素で反応していただけだろう。
 それを私の陰謀にすり替えようとするには、あまりにも筋が悪すぎる。

 案の定、カイが横からさらりと釘を刺してきた。

「それは災難だったね、ミレイナ嬢。だがアナスタシア様は今日はずっと私とここにいたはずだが?」

「そ、そうですわよね!でも……ほら!アナスタシア様の視線が少し冷たかった気がして……」

 いやいやいや。
 それを証拠にするのは無理がありすぎるでしょう。

 私は心の中で思わず両手で頭を抱えた。

 ――ダメだ、この娘……詰めが甘すぎる。

***

 ミレイナは、しかしめげなかった。
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