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第三部 王妃教育と幸福の牢獄
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――破滅? そんなもの、この世界には存在しなかったのかもしれない。
私がそう静かに諦めを深め始めた頃、周囲の空気はさらに妙な方向へ進化を遂げていた。
どうやら、皆はこう思い始めたらしい。
「アナスタシア様は、努力を重ねすぎて無理をしているのでは」
違う。
私は努力すら放棄して、軽くミスっていたつもりなのに。
その結果――
***
「少しでも休息をお取りください」
カイはついに“アナスタシア専用休養日程”を組み始めた。
空白が生まれたスケジュール帳を見て、私は虚無の笑みを浮かべるしかない。
「王妃教育とは長期戦です。ペース管理も重要ですから」
そんなことまで気遣わなくていいのよ!?
***
「護衛もより厳重にします。余計なストレスは排除しましょう」
レオンは新たに選抜した騎士団精鋭部隊を揃えてきた。
もはや私は小国の女王より厳重に守られている気がする。
***
「神殿行事も無理はなさらず、代理出席の調整をしておきます」
シグルドは祭事日程を整理し、私が休めるよう配慮してくる。
「心身の安寧あってこその信仰ですから」
もう、ありがたい通り越して逃げ場がなくなってるのよ。
***
「こちら、リラクゼーションサロンのご案内です!」
ユリオは最新の貴婦人向けスパやエステの特別招待状を大量に用意してきた。
「今は心と身体の癒しが必要でしょう。経費は僕が出しますから!」
もう資金まで出す気満々だ。
***
「では本日は学問は休講にしましょう。代わりに、好きな本を読みましょうか」
アベルは魔導院の蔵書室から大量の娯楽小説を用意していた。
学問の鬼だったはずの彼すら、完全に休養モードに切り替わっている。
***
そして――さらに。
「アナスタシア様!」
ふわりと現れたのは、相変わらずの太陽のような笑顔を浮かべたセラフィーナだった。
「もしお辛いことがあれば、いつでも私に相談してくださいませね! お友だちですもの!」
そう言って、両手で私の手を包み込んでくる。
――いや、セラフィーナ様……
あなたに相談できるような内容じゃないのよ。
『破滅を下さい』なんて、相談できるわけがないでしょう!?
***
そして、極めつけは――
「アナスタシア」
ユリウスが柔らかく私の手を取る。
「君は今まで十分に努力してきた。これからは、僕の腕の中でただ安らげばいい」
そう微笑む彼の隣で、私はまた虚無の奥で静かにため息を落とした。
――破滅どころか、幸福監禁が完成してしまったわね。
誰か。本当に誰か。今からでも遅くないから断罪してくれないかしら?
……まあ、ほとんど諦めてはいるけれど。
私がそう静かに諦めを深め始めた頃、周囲の空気はさらに妙な方向へ進化を遂げていた。
どうやら、皆はこう思い始めたらしい。
「アナスタシア様は、努力を重ねすぎて無理をしているのでは」
違う。
私は努力すら放棄して、軽くミスっていたつもりなのに。
その結果――
***
「少しでも休息をお取りください」
カイはついに“アナスタシア専用休養日程”を組み始めた。
空白が生まれたスケジュール帳を見て、私は虚無の笑みを浮かべるしかない。
「王妃教育とは長期戦です。ペース管理も重要ですから」
そんなことまで気遣わなくていいのよ!?
***
「護衛もより厳重にします。余計なストレスは排除しましょう」
レオンは新たに選抜した騎士団精鋭部隊を揃えてきた。
もはや私は小国の女王より厳重に守られている気がする。
***
「神殿行事も無理はなさらず、代理出席の調整をしておきます」
シグルドは祭事日程を整理し、私が休めるよう配慮してくる。
「心身の安寧あってこその信仰ですから」
もう、ありがたい通り越して逃げ場がなくなってるのよ。
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「こちら、リラクゼーションサロンのご案内です!」
ユリオは最新の貴婦人向けスパやエステの特別招待状を大量に用意してきた。
「今は心と身体の癒しが必要でしょう。経費は僕が出しますから!」
もう資金まで出す気満々だ。
***
「では本日は学問は休講にしましょう。代わりに、好きな本を読みましょうか」
アベルは魔導院の蔵書室から大量の娯楽小説を用意していた。
学問の鬼だったはずの彼すら、完全に休養モードに切り替わっている。
***
そして――さらに。
「アナスタシア様!」
ふわりと現れたのは、相変わらずの太陽のような笑顔を浮かべたセラフィーナだった。
「もしお辛いことがあれば、いつでも私に相談してくださいませね! お友だちですもの!」
そう言って、両手で私の手を包み込んでくる。
――いや、セラフィーナ様……
あなたに相談できるような内容じゃないのよ。
『破滅を下さい』なんて、相談できるわけがないでしょう!?
***
そして、極めつけは――
「アナスタシア」
ユリウスが柔らかく私の手を取る。
「君は今まで十分に努力してきた。これからは、僕の腕の中でただ安らげばいい」
そう微笑む彼の隣で、私はまた虚無の奥で静かにため息を落とした。
――破滅どころか、幸福監禁が完成してしまったわね。
誰か。本当に誰か。今からでも遅くないから断罪してくれないかしら?
……まあ、ほとんど諦めてはいるけれど。
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