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第一部 地球編

8 マスターウェザー (マスターウェザー目線)

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 リーダーとは何だろう。俺が目指したリーダーは、みんなから慕われ、最前線で命をかけ、弱い者を守る。そんなヒーローのような存在だった。最初の適合者で地球最強。最強だから弱い者は守らないといけない。まだA.C.T アクトが設立前に能力を手に入れた。最初はただ天候を変化させるだけの能力だったが、能力を持ったことにより多くの戦場に駆り出された。死にたくない。その一心で毎日過ごしていると、能力が覚醒した。能力の覚醒は最初は起こると知らなかったが、エイリアンの遺伝子が人間にしっかりと馴染んだら、能力を持った人間は必ず起こる現象だと理解した。また性格や思想、知力や体力で覚醒後の能力は決まると思う。例えば、カーナは覚醒前は触った人に災いをもたらすということで、周りからひどい嫌がらせを受けた。そんな彼女は当時教官であった俺に

「私の能力で誰かを助けることで、周りの人から優しくされたい」

 と涙ながら言ってきた。彼女の能力が覚醒したのはそれからすぐの事だった。覚醒後は触っただけで人を苦しめたり、壊したりするのではなく、人を癒す能力や、能力が上手くコントロールできるようになった



 パリを一人で守るとは言ったものの、結構広いし何人で襲撃してくるか分からんし。多分俺死んだわ。だが俺と一緒に隊を組んでくれるのは兵士隊の中でもエリートの人達だった。そのなかにはガンドルドの姿もあった。彼の人生は哀れだと思ってる。兵士隊隊長エドガーの息子で兵士隊最強、幼少期の彼の境遇は見てるこちらも辛くなるほどだった。そんな境遇のせいで普段はごく普通の男だか、戦闘時や敵を見つけると人格が戦闘狂になる

「マスターウェザー。お久しぶりです」

「ガンドルドさんお元気でしたか?」

「えぇ。貴方は全然変わりませんね」

「いいえ。もう私は年です。体があちこち痛みます。時間には逆らえません」

「カーナさんの能力で治してはもらはないんですか?」

「時々治してくれますが、彼女も忙しいので」

 ガンドルド以外の兵士隊のメンバーは人格豹変する二人が話してるので、興味深く聞いている。ガンドルドがそれに気付いて

「そうでした。私の他の九人を紹介しませんと、右からマーク、サン、エリック、大谷、フレッド、ロナウド、パルメ。そして医班のヘンリとミネルバです」

「よろしくお願いいたします」

 俺はそう言ったが誰も反応しない

「挨拶しろ!」

 ガンドルドがそう怒鳴ると、口々によろしくと言った

「パリは広いですから、どう編成したのですか?」

「パリの周りには兵士隊を一区につき三班と有名建造物に一班ずつ見えないところで待機させています」

「一般人はどうしました?」

「避難させてません」

「避難させてない!?」

「エイリアン達に変な行動されないように。ところで敵の数は?」

「分かりません。一人で来るのか、十人で来るのか」



 俺らはコスチュームに着替えて、ブルボン宮殿の前で指定の時間まで待った。街を歩く人々は変な目で見てきてる。すると一人の男が時間になると視界の奥に現れた。男は歩いてきて俺らの目の前で止まった。マークとサン、ロナウドがブラスターを構えたが、ガンドルドが制止させた

「エイリアンか?」

「要求はどうなりました?」

「お前らに屈して要求飲むと思うか?」

「では被害が大きくなりますね」

 兵士隊がブラスターを撃ったが遅かった。男には弾が当たるが無傷だった。気付くと男はシルバー色になっている

「どうして効かないの?」

「俺は皮膚を触れた物質に変えられるんだ。お前らのブラスターは皮膚の物質を変えれば効かない」

 その時、通信が入った 

「エッフェル塔。襲撃されました」

「凱旋門も襲撃を受けてます」

「ルーブル美術館も襲撃を」

「ノートルダム大聖堂も」

 有名建造物が襲われた。全部で五人か、他の国は

「コンピューター!他の国はどうなった」

「はい。報告によると、どこの国も五人に襲われ有名建造物や大衆に被害出ております」

 そうか。五人倒せば俺らの勝ちだ

「『風神演舞』」

 俺は能力による全身強化と風を出すことによるスピードで相手の間合いに入った

「『雷神の審判』」

 俺は拳につくった雷で相手を殴った。しかし効かなかった

「お爺ちゃん速いね。だけどねお爺ちゃん、俺は最初から金属物質なんだよ。地面に電気流しちゃたよ」

 男はそう言うと素手で攻撃してきた。俺は応戦したが、一発一発がとても重い。危険だと判断し身を引いた

「マスターウェザー!襲撃されなかった所の兵士達を応援に向かわせた」

「ガンドルド!お前だけ残ってマーク達を他に向かわせろ。俺とお前で対処する」

「了解」

 ガンドルドが他の兵士達に指示をした

「ガンドルド。援護射撃しろ!俺に当てるなよ」

「ブラスターは効かないだろ」

「いいからやってくれ」

 ガンドルドの援護射撃が始まった。俺はすぐさま男の背後に回って、がっちり体を捕まえた
 
「ガンドルド。こいつを十秒後に撃ち続けてくれ。さぁエイリアン空の旅に行きましょう。『ゴッドウィンド』」

 俺と男は真上に向かって、猛スピードで上がっていった。十秒後、かなり高い位置で男を下に落とした。男は地上に落ちていく。落ちる途中でガンドルドが撃ち続る為、金属以外の物に変えるとき、恐らくだがいったん通常状態に戻りブラスターで死ぬ。金属状態のままで落ちれば、体の内側が衝撃に耐えられなくなり、致命傷又は死亡する。男がやがて見えなくなった。地上で煙が上がってる。ガンドルドから通信が入った

「まだ落ちた時は生きてたが、回復の為か金属状態がなくなった際に殺した」 

「了解。他の応援に向かいます」

 後四人、俺はすぐ近いルーブル美術館に翔んでった。



 ルーブル美術館に着くと女が兵士隊に銃口向けられてた。エイリアンは疲労してる様子だったが、兵士隊は残り少なく建物も半壊してた。

「応援が来るまでよく耐えた」

 兵士隊の表情が一変した。そのなかにはサン、ロナウド、パルメ、ヘンリの姿があった。

「状況は?」

「はい。敵は時間差で攻撃をしてきます。あいつが腕を振ると斬撃攻撃が数秒後に飛んできます。一緒に応援に来た大谷は死にました」
  
 サンが指差した先に大谷が倒れてた

「能力は理解した。いい能力だが俺もできる技だ」

 女は俺が空から来たのをみて

「お前も能力持ちか?見たところ地球人のようだが」

「人の星で暴れると報復受けるぞ」

「それはお前らだ!私達はお前らと仲良くしたかったのに裏切った。報いを受けろ」

 女が腕で何回も空を切った

「『雹風刀連続斬り』」

 俺は風と雹を混ぜ合わせたものを作り、腕を振って飛ばした。お互いの攻撃が互いに打ち消したが、打ち消さなかったのが、女にも当たったし俺にも当たった。思った通りだ。見えないだけで、存在はしてる。遠くにいけばそれだけ当たるまでの時間がかかる。それを兵士達は時間差攻撃だと勘違いしただけだ。本当に時間差攻撃だったら面倒だったが。ていうか痛いわ。これは普通の人間だったら致命傷だわ

「マスターウェザーに続け!」

 兵士隊の一人がそう叫ぶと、全員が集中砲火した。女はただひたすらそれを浴びた。女は悲痛な叫び声をあげながら死んでいった。兵士隊の者達はこっちを見てた

「どうかしましたか?」

「貴方が来なければ、全滅してたかもしれません。貴方には恩ができました」

 傷を癒しながら聞いてると。通信が入った

「凱旋門のエイリアン倒したぞ!」 

 兵士隊がやってくれたか。残りはノートルダム大聖堂とエッフェル塔か

「コンピューター!ガンドルドに連絡を」

 俺はガンドルドに連絡をした

「俺はエッフェル塔に向かう。大聖堂は兵士隊全員をそっちに送れ」

「御意」

 ルーブル美術館にいた兵士隊達に命令を俺は出した。俺はサンにトリックスターからもらったボールを渡した

「勝てないと判断したら、トリックスターに連絡しろ。助けに来てくれるはずだ」

 サンは頷いて、兵士達を連れて足早に現場に向かった。エッフェル塔まで翔ばねえとな

「『ゴッドウィンド』」



 エッフェル塔の上空に着くと兵士隊がいた。そして一般人が何人も居て、それを盾にするように男の子が立っていた。地面に降りると、足が吸着する感覚になった

「また一人かかった」

 どこからか男の子の声がした。上空では気付かなかったが、一般人も兵士達も立ったまま死んでいる

「なんだよ。動けないじゃねえかよ」

 手や首は動かせるが、向きは腰を捻ることでしか変えられない

「無駄だよ。君はもう一歩も動けない」

 男の子は平然とこっちに歩いてくる。やがて、腰に刺さってた洋刀を抜いた。まずいな

「『雹風刀』」

 腕を振ろうと思ったが、上手く振れない。男の子は俺が飛ばした弱い斬撃を洋刀で受け流した。ならば

「『王者の吐息』」

 男の子に息を吹いて飛ばそうと思ったが、今度は男の子の足が吸着して離れなかった

「コンピューター!誰かに応援を呼べ」

「了解しました」

 応援が来るまでの時間稼ぎをしなくちゃ 

「『ブリザードウォール』」

 氷雪を風に乗せて、男の子の周りに半球の形にした檻をつくった。ただこの技ずっと風を操作しないといけないから消費がエグい。しかし、一番能力を使う傷の再生を一回しかしてないからまだ余裕だ

「クイックからの連絡です」

「どうした?」

「そっちに着くまであと五十分程かかります」

「そうか了解」

 五十分?いや死んでるわ。トリックスターはどうした?

「ガンドルドから大聖堂の敵は倒したと」

 次の瞬間、トリックスターが現れた

「マスター大丈夫ですか?」

「あぁ。敵は今閉じ込めてる」

 俺は男の子を閉じ込めてるブリザードを指した。

「なるほど」

「トリックスター。ボールを空中に投げろ」

 トリックスターがボールを投げた。風を操って、ボールを上空に行かせ、ブリザード目掛けて、急降下させた。ブリザードを止めて男の子が見えたのと同時に叫んだ

「今!」

「『シューティングスター』」

 トリックスターがボールと場所を変え、ボールのスピードのまま、男の子の首を斬った
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