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第一部 地球編

17 壊滅 (トリックスター目線)

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 今、走ってる。無我夢中で。これ以上被害地域を広げるのはまずい。だから郊外に行こうとしてるエイリアンを倒さないと

「コンピューター!郊外のエイリアンを倒しに行ってる兵士隊はどれくらいいる?」

「三つの班が対応中」

 たった三つ?どれだけ人員不足なんだよ。国連の会見の後、A.C.T アクトの職員は結構減った。兵士達はみんな強い。能力を使わずに戦ったら負けると思う。ガンドルドとなんかは秒で終わる。だから、減るのは痛い



 郊外付近に着くと兵士隊の人達と合流した。そして、エイリアンと思われる男をコンピューターの情報を元に辿った。武器を全員構えながら。ビル街や港と違い、高い建物は少なく見晴らしがいい。そのため、銃器を持って止まってる男を遠くからすぐに発見できて、奇襲することができた。腕に着けてる発射装置で男に向かってボールを一つ飛ばし、その間に兵士隊の三班はブラスターで一斉射撃した。だが男にはブラスターが効いていない。何の能力か不思議に思った。男はこちらに向かって、発砲してきた。男に向かって撃ったボールが花鳥月露の刃が届く範囲に入ったので

「『神速のアサシン』」

 ボールと位置をチェンジして、男の首を跳ねた。手応えがいつもと違う。すぐに男の体を見たが、再生をしていかない。そんな疑問を抱いたが、兵士隊はエイリアンを倒せたことを喜んでる。何かおかしい。喜ぶのはまだ早い。直感がそう言ってる

「兵士隊警戒体制を取れ。コンピューター!本当にこいつがエイリアンなのか?」

「ずっとここの付近で人を銃撃してたので、エイリアンではないかと思います」

 兵士隊の人達は、不思議にこっちを見てる。コンピューターもエイリアンの可能性が高いと言ってるので、僕の勘違いか?

「どうしたんだ。トリックスター?」

「斬ったとき、感覚がいつもと違かった」

「疲れてるんじゃないのか?エイリアンと戦い過ぎて」

「そうだよ。もう倒せたんだから、ゆっくり休めよ。コスチュームも体もボロボロだぞ」

「違う!そんなんじゃない!」

「コンピューターによると、タンクがエイリアン倒せたんだと。しかもCAが助けたらしい。CAの対応もあるから、兵士隊はそっちに向かっていいか?」

「何でCAがここに」

「さぁな。だが一つ言えるのは」

 次の瞬間。ブラスターで撃たれた。戦士達は、エイリアンの遺伝子が入ってるので、いわば地球人とエイリアンのハーフみたいな生物だ。だから、ブラスターはエイリアンほどではないがダメージを受けてしまう。弾は心臓付近に当たった

「お前は殺す」

 一人の兵士が戦士を撃った。コスチュームのおかげで直撃を免れた。他の兵士達はブラスターではなく、普通の銃を一斉に撃った奴に向ける。僕は能力を使いすぐに再生した

「何してる?何故撃った!」

「お前なんて事したんだ!」

 だが、撃った兵士は普通の銃を今度は取り出そうとしたので、他の兵士達に撃たれ殺された

「大丈夫か?トリックスター」

「妙だ」

 死体を二つ見つめながらそう言った。もう結構戦って能力もそんなに残ってない。致命傷を負ったら死ぬぞ

「トリックスターとかいったか?」

 声の方を見ると、普通の銃を持って構えてる兵士がいた。銃を他の兵士達に向けて、笑ってる

「何人仲間を殺そうが、私は殺せない」

「分かってきたぞ!お前の能力は他者への憑依だな」

「そうかもしれんな」
  
 乗り移られた兵士は発砲した。撃った弾は一人の兵士に当たったが、戦闘服に守られた。他の兵士達は状況を理解したらしく、銃を持ってる手が震えてる

「殺すのか?罪が無いのに」

「殺さないと俺達がやられるぞ」

「この道に入ったときから、死ぬ覚悟ができてるはずだ」

「でも仲間だぞ!一緒に戦ったじゃないか!」

 乗り移ったエイリアンは笑ってる。そして乗り移った兵士の頭に銃を突きつけた

「お前らが殺れないなら。俺が殺してやろうか?それとも、トリックスターに選ばしてやろうか?」 

「これ以上仲間を殺してみろ!後悔させてやる」 

 判断を見誤った。すぐに気付いていればこんなことにはならなかった。レッドマジシャンやビーストソウルだったら、すぐに能力に気付けたかもしれない。エイリアン本体は近くにいるはずだ。すぐにどうにかしないと全滅だ

「これ以上仲間を殺す?こんな風にか?」

 そういうと脳をぶち抜いた。憑依されてた兵士は死んだ。するとまた違う兵士に乗り移られた

「ここにいる仲間を全員殺せば、俺を倒せるかもな」

「取り押さえろ!」
 
 他の兵士達が地面に押さえつけた。すると取り押さえた兵士は元に戻り、取り押さえてた兵士の一人が今度は憑依された

「何をしても無駄だよ」

「なるほどな。ところで何で僕には憑依しない?僕に憑依すれば能力持ちだから都合がいいだろ?」

「お前に見せつけたいんだよ。仲間が死ぬところを」

「そうかもしれないが、憑依できないんだろ?僕が能力を持ってるから」

「そうだとしても状況は変わらないぞ」

 そしてまた乗り移ってる者を殺した。そしてまた違う人に。そのあとドシッという音が二回聞こえた。そして乗り移られた兵士は気絶してその場に倒れた。後ろにハンドジェットがいた。マスターウェザーもその近くにいた。本部から急いで飛んで来たんだ

「仲間が増えたか。チッ」

 また違う兵士が喋り始めた。そしてブラスターを連射してきた。だが三人には一発も当たらない。当たらないと分かったのか、普通の銃で兵士に向けて撃とうとした。しかしその隙にマスターウェザーに気絶させられた

「悪いな兵士隊」

 ハンドジェットはそういうと、マスターウェザーと共に兵士隊全員を気絶させた

「これでエイリアンは操れません」

「コンピューターが能力を先に教えてくれてな。飛びながら対策を考えてた」

 応援が来てくれて良かった

「ビル街の敵も倒されたらしい。だから、こっちの敵に専念できるな」

「遠くにはいないはずだ。手分けして探すぞ」

 

 辺り一帯を急いで探した。各地に銃弾の痕跡や死体があり、生き残ってるものを見つけたらブラスターで撃っていった。地球人には無害なので、ダメージを受けたものがエイリアンとなる

「コンピューター!この付近にあとどれくらいの人間の生体反応がある?」

「あと14人います」

 急いで自分の担当エリアを探してたが、いなかった。他の二人のところにもおらず、どうやら逃げられたらしい。戦いは終わったが、酷かった。結局どれだけ犠牲を出したんだ。一般人をこの手で殺してしまった。兵士隊だってそうだ。こんな男じゃなく、もっと優秀な戦士だったら犠牲を抑えられたんじゃないか?今まで何人この手で殺し、何人見殺しにした?もう数えられないよ。僕の体は血に染まってる。ビーストソウルが過去を見るのが好きなのが分かる。あの頃は楽しかった。こんな思いをせずにすんだ。ただ今を生き抜き、護ることで精一杯だ。正義なんて持ち合わせてなんかいない。その場で横になった

「救助活動が残ってるな」

 もうすぐA.C.T アクト本部から応援が来る。それまでもう少し頑張らないと



 シドニーは崩壊した。港はボロボロ、ビル街は壊れ、各地で死者多数。応援はすぐに来た。スノーメロディーはシドニーを見るなり、膝から崩れ落ち呆然としてた

「故郷が。私の故郷が・・・はっ!家族は・・・パパ!ママ!」

 分かるよ。その気持ちが。東京が襲われたとき僕も思ったよ。そして、本当の家族の安否を調べたよ。故郷が壊れるのがどれだけ辛いか、苦しいか。スノーメロディーは走り去った。助けに来たCAはというと、所在が分からなくなっていた。コンピューターが見張っていたが、それなりの訓練を受けてる者達なので、衛星やカメラから逃れるのなんか楽勝だ。応援が来たので近くの支部に帰り休むことにした


 
 支部に着いて何か食べようかと食堂に行ったが、急に気持ち悪くなり食べれなくなった。死なんて実感したくない。廊下で壁に寄りかかって崩れた。何分たっただろうか?いや何時間たっただろうか?その間兵士隊の者が何人か喋りかけてきたが、耳に入ってこない。もう壊れた。僕自身が。そんな事を思ってると、口に異物を入れられた。ワサビのチューブだった

「トリックスター。横座っても?」

 レッドマジシャンだった。僕はずっと彼女に会いたかった。そして僕は頷いた

「何も口にしてないでしょ。あなたの好きなものがワサビしか思いつかなくて。そんなに美味しいの?私も食べてみようかな」

 そういうと彼女もワサビを取り出して食べ始めた

「あっ!痛い!けど意外と美味しいかも」

「慣れれば痛みはそんなに感じないよ」

「セカンドパワーがあるとするなら、あなたはこれね」

「君はハイスペックすぎる頭脳で、ビーストソウルは寝ることだな」

A.C.T アクトに入っていなかったら、ワサビ農家やってるかもね」

「君は何にでもなれたと思うよ。A.C.T アクトに入ったこと、能力持ったこと後悔してる?」
 
「そんなに後悔してないわ。あなた達と家族になれたのだから」

「もし脱隊できたら、この組織について小説でも書こうかな。みんなに僕たちの事を理解してもう為」

「もう戦うことが辛い?」

「辛い。一般人を殺してしまった。犠牲をいっぱい出した」

「大丈夫。誰よりも努力してここにいるのだから」

 僕が彼女の立場だったら、大丈夫ではなく頑張れと言っていただろう

「僕だったら頑張れと言っていた。一番言ってほしくない言葉なのに。なんで大丈夫って言ったの?」

「私も頑張れって最初に言おうとしたけど、それじゃああなたが頑張ってないみたいじゃない!あなたは十分頑張ってる」

 こういうところが周りに好かれるのだろう。というより関わる人によって性格を変えられるのだろう

「ビーストソウルは来てるの?」

「彼はほとんど寝ずに薬を創ってるわ」

「薬?」

「能力を抑える薬。もう暴走なんてしないため」

 彼が寝ないなんて、どれだけ苦しんでるんだ。僕だけじゃない
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