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第一部 地球編

18 夢幻の三角領域 (ビーストソウル目線)

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「こういうときのために血を集めるように言ってたんだ」

 能力抑制の薬を創る事をアルレットとウィリーに話したときそういわれた。二人とも慈愛に溢れた人だ。能力者を人間に戻したいと思ってたが、きっかけがなかったらしい。ただ条件は薬が完成したとしても、他の能力者には使わせないこと。僕はその条件を飲んだ。三人とも暇を見つけては薬を創っていた。僕は任務に行くが変身はせずに戦い、変身しないから戦いが長引き余計に疲労してから創薬し。アルレットはコスチュームのメンテナンスや道具の開発。ウィリーは兵士達の傷の手当てや手術をしてから作業してたので、みんな休んでなかった。最近あまり寝てない。寝ることで昔の自分が夢に出てくるのが好きだった。しかし、寝てる間に暴走するかもしれない。そう思い、怖くて寝れなかった



 創薬は順調だった。理由は人員と備品が良く。何より治験する人が、大抵の事は大丈夫な体だったから。そして、半年程で注射剤が完成した。シドニーが襲われたときも、CAが何かしても、見ないふりして創った。その間、レッドマジシャンとトリックスターには薬を創ってるのがばれてしまった。そして完璧な薬とはいえないが注射剤ができて良かった

「君の体はこの薬を異物と判断し、能力を使って徐々に元に戻していくだろう。三日に一回服用するように」

 完全に能力を消すわけではなく、能力の力を抑える。そうすることで変身をせずに、強化のみで戦う。完全に能力を消す薬はまだできそうになかった。そして薬を服用し始めた。時々気分が変になっていた



 ようやく寝ることに専念できるが、まだ創薬は残ってる。そんなある日、レッドマジシャンから気分転換にバカンスに行こうと言われた。久しぶりにバカンスに行きたかったのでちょうど良かった。レッドマジシャンとトリックスターと三人で行くことになったが、どこに行くかという話し合いで妙な事が起こった。どこに行くか候補をそれぞれ一つ絞り、その場所の写真を持って集まった。そしたら

「それじゃあ僕が選んできたのはここだよ」

 トリックスターは島の写真を出した。ビックリした俺と同じ島だったから

「ここの島は、大西洋のバミューダトライアングルのなかにある島なんだけど、誰も来ないし、地図に載ってないから良くない?」

「へー奇遇ね。私も同じ場所よ」

 レッドマジシャンは島の写真を出した。同じだった。逆に怖い

「なんで二人ともそこにしたのか理由聞きたいね。ちなみに俺も同じ場所だ」

 写真を見せた。二人とも驚いてる

「へぇーおかしいわね?ここの場所は昔、A.C.T アクトの緊急時に避難する施設がある場所で、一般人が近付くと消される仕組みになってる。だから、みんなこの場所を知らない。そして今はA.C.T アクト内でもそんなに知られてない」

「バミューダトライアングルを引き起こしてる原因だな。A.C.T アクトの乗り物じゃない船や飛行機は防衛機能に撃ち落とされるからな」

「で、どうしてあなた達はここを知ってるのかしら」

「君こそどうして知ったんだ?」

「ほら私って好奇心旺盛だから、そういうこと詳しいのよ」

「奇遇~!僕らもそう」

 三人とも、自分の事情を隠してる。ちなみに僕の場合は、どこにバカンス行くか探すためいろいろ考えてる時に、たまたまサンストーンの部屋の棚に《極秘》と書かれた資料がここの島で、勝手に拝借してきてしまった。ここをコンピューターに調べさせたが、データが無いし、またそもそも衛星写真が無いと言われた。多分消されたんだろう。昔のA.C.T アクトの施設があるとは知らなかった。なんで彼女は知ってるんだ?まぁいいかそんなこと。みんな意味ありげに笑った。その後無人島まではどうやって行くかという話になり、僕が飛行機を操縦したいといったので、それで向かうことになった



「ねぇさっきからちょと揺れすぎてない?」

「ほんと。気持ち悪くなるわ」 

「トリックスターは空間移動のおかげで三半規管強くなってるはずだろ?」

「そうだけど。これはエグい」

「私が操縦しようか?」

「飛行機をちゃんと操縦したことないから、操縦させてよ」

「ちゃんと操縦したことない!?」

「だっていつも翼で飛んでるから、関わることなかったし」

「操縦シミュレーションでのテストがあったでしょ?」

「あのテスト落としたよ。シミュレーション内の飛行機も落ちたけど。サンストーンなんか軽蔑の眼差し向けてきた。けどマスターウェザーが能力的に関係ないだろうって、テストを無かったことにしたよ」

「こんなことで死んだら恥ね」

「いや~離陸はいいんだけど、着陸がダメでね~」
 
 島が前方に見えてきた

「着陸じゃなくて墜落でしょ!」

 うわ~声が少し震えてるじゃん。そんなにヤダ?そろそろ着陸。いや墜落の準備をしないと

「何かに捕まった方がいいかも~!」

「もうやってる~!」

「僕を信じてくれ!」

「ずっと昔から信じてるさ!」

 少し照れた。操縦桿をしっかり握り直した。飛行機の高度が下がるにつれて、なぜか雑音が酷くなる。あれタイヤ出すのってどうするんだっけ?まぁいいか地面に着けば。そして地面に突っ込んだ。飛行機が鈍い音をしながら、減速していく。ごめんなA.C.T アクトよ。弁償はできん。右翼が壊れて破片が散らばる。だが飛行機は停まることができて、無事とはいえないが着いた。生きてる~!急いで二人が座ってた所に行ったが、機体の扉が開いていて二人とも居なかった

「いや、信じてると言ったやん!」

 飛行機から出ると、遠くにレッドマジシャンの姿が見えた。飛行機が堕ちる前に鳥になって飛行機から抜け出したな。するとレッドマジシャンの隣にトリックスターが現れた。お前は、僕らが持ってるボールで来ればいいと考えたか。一回安全な所に行ってたな。すぐに側に寄ったら

「いや~見事な腕前だな」

「逃げたな?全然信じてないな」

「信じてたわよ。墜落するって」

 そしたら背後にあった飛行機が爆発した。帰りどうするか?そしてなんて報告しよう



 飛行機を大破した言い訳は後で考えるとして、僕らは久しぶりの休みを満喫してた。A.C.T アクトの施設があるといってたが、無人島を一通り回ったが何も無かった。ただ美しい自然が広がっていた。浜辺を除いては。浜辺は飛行機や船の瓦礫は仕方ないにしても、瓦礫を優に越えるプラスチックゴミ等が多かった。ただ三人で結構掃除をした。そして綺麗になった浜辺でいろいろ嫌なことを忘れられる時を過すことができた。二人がここに来たかった理由を知るまでは。ずっと疑問に思ってたんだ。どうして二人はここを選んだのだろうと。どうして地図にも載ってない場所を見つけられたんだ?そして楽園が壊れる時が迫ってた



 正午前になると、何故か二人はコスチュームに着替え、武器を持ってた。着替えた二人も互いに驚き、顔が強ばった

「もしかしてあなたも?」

「君もか?誰からあいつが持ってると聞いたんだ?」

「何の話?私はただあいつを倒したいし、捕まえたいし、そして教えて欲しい事があるの」

「教えて欲しいって。やはりそうか!」

「二人とも何の話をしてんの?」

 するとトリックスターが

「『解』」

 剣をこちらに渡してきた。太い洋刀だ

「どうして?こんな物がここに必要なんだよ」

「『トリックスターの能力』」

 すると今度はレッドマジシャンがブラスターを渡してきた。余計に困惑した

「ヤバいやつとやりあう気なのか?」

 冗談で聞いたのに、二人はゆっくり頷いた。バカンスどこいったんだよ!しかし、二人の家族が恐れる奴なんて協力しないと。埋め合わせはしてもらうぞ

「誰と?」

「そいつは僕らより先輩で、今はCAにいる男、三人がかりでも倒せないかもしれない」

「私は一回戦ったけど、本気出さず私と互角かそれ以上」

「タンクやサンストーン、ガントン、カーナと共にマスターウェザーから、あるものを貰えることのできた実力者」

「あるもの?まぁいいわ。そして、そいつから能力は奪ったけど、戦いで気絶したから決着をつけたい相手。そいつの名前は」

 ドシッと砂浜に誰かが来た。そしてそいつは自分で名乗った

「テュ」

「テュールさんね。予想した通りか」

 と。今ちょうど正午を過ぎた。テュールの自己紹介を遮って喋ったので、睨んできた。ていうか薄々わかってたよ。僕もあの時、暴走したから決着ついてないわ。二人は同時に武器を構えた。ワンテンポ遅れて僕も構える

「テュールさん。来ると思ったわ。そして、あなたを捕らえに来た!」

「テュール。マスターウェザーからの情報を渡してもらうぞ」

「僕は別に戦いたくない」

 いや能力に制限かかってるから、秒で負けるぞ。それ分かってて共闘して欲しいのか、こいつら?足手まといになるよ、絶対

「三人がかりなら俺を倒せると?」

「さぁあなたが本気出さないと倒すのなんか余裕」

 いや全力は良くないって

「おや?ビースト君はもうおかしくならないのか?」

 絶対そこ触れてくるよな

「おい、テュール!僕の答えはどうした?」

「お前が言ってることが俺の想像してることと同じなら、なぜお前がそれを知ってるのか知らないが、欲しかったら奪えばいい」

 なんで行くとこ行くとこで戦うんだよ。あ~寝みぃー。帰りてぇー。めんどくせー

「全員まとめてかかってこい!最初から殺しにいってやるよ。『ペタスキル』」
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